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【トンボ丁張り】の掛け方を解説! 〜 丁張りの基本はこれ!1本杭で「位置」と「高さ」を示す最もシンプルな方法 〜
そもそも、トンボ丁張りとは?
土木・建設工事において「丁張り」は、設計図面を現場で可視化するための重要な作業である。
丁張りにはいくつかの種類があるが、そのなかで最もシンプルな構造を持つのが「トンボ丁張り」だ。
トンボ丁張りは、1本の木杭を地面に打ち込み、そこに1枚の貫板(ヌキ)を十字に取り付けたものである。
その姿が昆虫の蜻蛉(トンボ)に似ていることから、現場では「トンボ」と呼ばれている。
トンボの役割は現場に「位置」と「高さ」を示すこと。
この大前提を押さえておくことが、正確なトンボ丁張りを掛けるための第一歩である。
門型丁張りや法丁張りと比べて構造がシンプルであるため、丁張りの入門としても最適であり、若手技術者がまず習得すべき基本技術と言えるだろう。
トンボ丁張りの活用シーンは?
トンボ丁張りは主に以下のような場面で用いられる。
- 土工事における仕上がり面の高さ管理: 掘削や盛土の仕上がり面を示す
- 法肩(のりかた)・法尻(のりじり)の位置出し: 法面が始まる/終わる位置を現場に示す
- 計画高さのポイント表示: 構造物を構築する前段階として、設計高さを現場の任意の地点に示す
トンボは「高さ」の表示が主な役割であり、側溝などの正確な「幅」が必要な場合は「門型丁張り」、法面の勾配を示す場合は「法丁張り」と使い分けることが重要である。
《 必要な道具 》
トンボ丁張りを掛ける前に。事前準備 〜 計算の考え方 〜
トンボ丁張りの計算は非常にシンプルだ。基本となるのは以下の関係式である。
杭頭の標高 − 設計高さ = 杭頭から設計高さまでの距離
計算のポイント
- プラスの場合: 設計高さは杭頭より「下」にある
- マイナスの場合: 設計高さは杭頭より「上」にある
ここで重要になるのが「仮(かり)」の考え方である。
「仮」とは、貫板の下端から設計高さまでの距離のことで、重機オペレーターが仕上がり面を確認するための基準値となる。
《 例: 杭頭がEL = 10.250m、設計高さがEL =9 .900mの場合 》
10.250 - 9.900 = 0.350m(杭頭から350mm下が設計高)
「仮200」で設置する場合、350mm - 200mm = 150mm
つまり杭頭から150mm下に貫板の下端が来るように取り付ける
10.250 - 9.900 = 0.350m(杭頭から350mm下が設計高)
「仮200」で設置する場合、350mm - 200mm = 150mm
つまり杭頭から150mm下に貫板の下端が来るように取り付ける
現地での作業手順を解説!
1. 設置位置の測量
TSやGNSS測量機器を用いて現地にポイントを落とす(位置出し / 墨出し)。
設置位置を特定したら、木杭の天端(頭)に釘を打つ、スプレーで印を付けるなどして、設計上のポイント(センターや法肩ライン)を明確にする。

トンボは1本杭のため、どこが水平位置の基準なのかを明示することが、後のミスを防ぐ鍵となる。
2. 木杭の打ち込み
打ち込む際は、水平器や下げ振りを使用して、垂直に打ち込むことを意識しよう。
杭が斜めになっていると、杭頭で測った位置と貫板の位置で水平距離にズレが生じてしまうためだ。

3. 杭頭の標高を測定
レベルなどの測量機器を用いて打ち込んだ杭の「杭頭の標高」を測定する。この値がすべての計算の基準となるため、慎重に読み取る。
4. 「仮」の高さを決める
杭頭の標高と設計高さの差分から「仮」の値を決定する。
一般的に「仮」は100mm〜300mm程度だが、現場で使用する重機のバケットの厚みや、検測ロッドの長さに合わせて「仮500」や「仮1000」など、キリの良い数値に設定することもある。
5. 貫板の取り付け
水平器で水平を確認しながら、計算した位置に貫板を取り付ける。

《 計算例 》
杭頭 EL(標高・レベル) = 10.250
設計値 EL (標高・レベル) = 9.900
貫板の下端 = 10.250 – 9.900 = 0.350
杭頭から350下が設計の高さ。なので、仮200の高さで貫板をかけるなら、木杭の天端から150下に貫板の下端が来るように貫板をかける。
杭頭 EL(標高・レベル) = 10.250
設計値 EL (標高・レベル) = 9.900
貫板の下端 = 10.250 – 9.900 = 0.350
杭頭から350下が設計の高さ。なので、仮200の高さで貫板をかけるなら、木杭の天端から150下に貫板の下端が来るように貫板をかける。
6. 設計位置・情報の記入
貫板や杭に「設計高さ(SL)」「仮の値(仮200)」「測点名」を油性ペンやスプレーで大きく明記する。
7. 確認・検査
設置後、別の方法で再測定(検測)を行う。「貫板下端の標高 - 仮 = 設計高さ」となっているか、第三者が確認するか、異なる測量方法で検証する。
応用編 〜 仮の高さの使い分けと注意点 〜
- 仮ゼロ(仮0): 貫板の下端がそのまま設計高さを示す。計算は楽だが、重機が接触して壊れやすい。
- 盛土区間: 杭頭が設計高より低くなる場合は、仮の値を大きく取って対応するが、安定性を欠く場合は長い杭への交換が必要だ。
トンボ丁張りのよくある失敗と対処法
- 杭がぐらつく: 打ち込み不足。地盤が緩い場合は控え杭(筋交い)を追加する。
- 杭が斜め: 位置のズレを招く。必ず垂直を確認しながら打ち込む。
- 計算ミス: 特に盛土(マイナス計算)の際にミスが起きやすい。必ず検算する。
1人スマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」なら、誰でもラクラク&カンタンに測量ができる!
トンボ丁張りは技術者にとって基本業務だが、正確な標高計測と差分計算には手間がかかるのも事実。
特に正しく掛けられているかを確認する場面は、熟練の技術者でも神経を使う。また、その際、高額で重量のある測量機器を持ち歩き、複数人の人手を要して行う必要があるという、人的負担もある。
そんな手間のかかる丁張り作業だが、1人スマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」であれば、普段から使い慣れたiPhoneやiPadを使って、誰でも簡単に、丁張りに必要な測量(位置出し/墨出し)が一人で行えてしまう。

iPhone pro/iPad proに搭載されているLiDARという計測機能と衛星測位システムのGNSS(GPS)レシーバーを組み合わせるため、ミリ単位での位置出し/墨出しが可能なのだ。

ぜひ、以下の動画をチェックして、Geo Scanの利便性の高さを確認していただきたい。
【丁張り紹介パートは、以下動画の10分35秒から】
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