土木・建設業界において多くの現場で利用されているデジタル測量機器「TS(トータルステーション)」。
距離や角度を同時に測ることができる便利な製品だが、精度の高い測量を行うためには、TSを利用する際に生じる誤差について押さえておきたい。
距離測定で、毎回決まった値で生じる誤差がある。
まず押さえておきたいのが、TS自体の測定値と実寸値の誤差だ。
TSの中心と光源の位置がずれて生じる器械の誤差で、測量距離には比例しない。この誤差は「器械定数」という。
また、反射鏡の中心と光が反射する位置のズレによって生じる誤差も測量距離には比例せず、この誤差は「反射鏡定数(プリズム定数)」という。
これらの誤差分を、測量の精度を上げるために補正することが必要だ。具体的には、測定した距離に機械定数と反射鏡定数を足して調整した数値が観測値となる。
TSで水平角を測定する場合にも、器械の誤差が生じる。
TSの3軸と言われる、視準軸・水平軸・鉛直軸。これらの軸が直交・水平していないために生じる誤差を「3軸誤差」という。
視準軸が水平軸と直交せずに生じる誤差。正反観測(通常の観測に加え、望遠鏡を180度回転し反位の測定値を出して平均化する)で誤差をなくす必要がある。
水平軸が鉛直軸と直交せずに生じる誤差。視準軸誤差と同様、正反観測で誤差をなくす必要がある。
鉛直軸が鉛直でなく、傾いていることで生じる誤差。誤差は正反観測で消去できないが、補正値を算出して誤差を小さくすることは可能。
このように、TSで生じる器械の誤差の原因を把握し、そのつど注意・補正していく必要がある。
その他にも、TSによる測量では、気温・気圧・湿度や、電源・電圧の変化等の変調周波数などでも誤差が生じる。
自動的に誤差を補正してくれる機能付のTSもあるので、製品の最新情報をチェックしてみると良いだろう。
構造物を建設する上で、高低差を測り標高を求める「水準測量」は重要な業務だ。
水準測量には、レベルと標尺を用いて直接2点間の高低差を求める「直接水準測量」と、海や河など直接水準測量を行うのが難しい現場でTSなどを用いて測定し三角法で計算して高低差を求める「間接水準測量」がある。
TSを使った「間接水準測量」のやり方を見ていこう。
TSと反射鏡を用いてまずは2点間の鉛直角と、斜距離を測定する。TSを設置した既知点(A地点)の標高にTSの高さを足して、TSと反射鏡の高低差を足すと反射鏡の標高がわかる。
そこから反射鏡の高さを引くと、反射鏡を設置した新点(B地点)の標高が求められる。
しかし、離れた2点間で角度と距離を測定するため、どうしても誤差が生じるもの。
大気の密度によって光が屈折するために起こる誤差「気差」と、地球が球面であるために起こる誤差「球差」があり、二つをあわせて「両差」という。
これらを補正することで、測量の精度を高める。
補正するためには、二つの点にTSと反射鏡を設置し正反観測で結果を平均して消去する方法と、観測値から両差を足し引きして補正する方法がある。
直接足し引きする場合は、既知点から新点を観測しているなら「+」、新点から既知点を観測しているなら「−」を補正する。
測量では未知の値を観測していくため、同じ環境で同じ器機で測定しても数値にバラつきが出ることも多い。以下の誤差についても押さえておこう。
機械の特性や気候など、一定の原因から生じる誤差。計算や観測法で消去もしくは小さくできる
偶然によって生じる原因不明の誤差。複数回の観測値を平均にするなどして最確値を求めると、誤差を小さくできる
不注意や経験不足などで生じる、属人的なミス
誤差が生じる場合は、何度か観測しそれぞれの観測値から、できるだけ誤差を少なくしたもっとも確からしい「最確値」を決める必要がある。
最確値とあわせてキーワードとなるのが「標準偏差」。偏差とは平均値との差のことで、標準偏差は観測データのばらつき度を表す。標準偏差が大きいと精度が低く、標準偏差が小さいと精度が高い。
TSのように多様な誤差の補正をする手間がなく、誰でも一人で高精度な測量ができるアプリがある。
人工衛星を用いたGNSS測量を用いて、スマホで簡単に3D測量ができる「OPTiM Geo Scan」だ。
手軽に使える上、国土交通省の出来高管理要領にも準拠しているため、精度の高さは国のお墨付きである。
OPTiM Geo ScanではGNSS測量・杭打ちができる機能「OPTiM Geo Point」が無料で使え、スマホのアプリ上でワンタップすればほぼリアルタイムでGNSS測量が完了。専門的な機器を使わずに杭打ちができる。
初心者でも簡単にゲーム感覚で測量ができ、現場での境界の位置出しや現地調査の座標取得などをたったの一人で行うことが可能だ。
どんな天候や時間でも測量できるというメリットも大きい。汎用性の高いCSV形式で測量データを出力でき、既存のCADソフトに読み込めば、平面図の作成や横断図の作成なども行える便利な機能も。
TSとOPTiM Geo Pointで測量した際の工数を比較した実証データも興味深い。OPTiM Geo Pointでは平面測量や縦断測量で97%の工数を削減(※1)。
現場で約50箇所の杭打ちを行った場合、TSでは2~3名体制で一日かかるが、OPTiM Geo Pointでは一人で数時間〜半日で対応でき、杭打ち時間の90%削減(※2)したという。(※1 ※2オプティム調べ)
国交省も認める高精度な“ひとり測量”アプリ。興味がある方は、まずはウェブセミナーや集団体験会に参加してみると良いだろう。
距離や角度を同時に測ることができる便利な製品だが、精度の高い測量を行うためには、TSを利用する際に生じる誤差について押さえておきたい。
距離測定での誤差とは?
距離測定で、毎回決まった値で生じる誤差がある。
まず押さえておきたいのが、TS自体の測定値と実寸値の誤差だ。
TSの中心と光源の位置がずれて生じる器械の誤差で、測量距離には比例しない。この誤差は「器械定数」という。
また、反射鏡の中心と光が反射する位置のズレによって生じる誤差も測量距離には比例せず、この誤差は「反射鏡定数(プリズム定数)」という。
これらの誤差分を、測量の精度を上げるために補正することが必要だ。具体的には、測定した距離に機械定数と反射鏡定数を足して調整した数値が観測値となる。
角測定での誤差とは?
TSで水平角を測定する場合にも、器械の誤差が生じる。
TSの3軸と言われる、視準軸・水平軸・鉛直軸。これらの軸が直交・水平していないために生じる誤差を「3軸誤差」という。
視準軸誤差
視準軸が水平軸と直交せずに生じる誤差。正反観測(通常の観測に加え、望遠鏡を180度回転し反位の測定値を出して平均化する)で誤差をなくす必要がある。
水平軸誤差
水平軸が鉛直軸と直交せずに生じる誤差。視準軸誤差と同様、正反観測で誤差をなくす必要がある。
鉛直軸誤差
鉛直軸が鉛直でなく、傾いていることで生じる誤差。誤差は正反観測で消去できないが、補正値を算出して誤差を小さくすることは可能。
このように、TSで生じる器械の誤差の原因を把握し、そのつど注意・補正していく必要がある。
その他にも、TSによる測量では、気温・気圧・湿度や、電源・電圧の変化等の変調周波数などでも誤差が生じる。
自動的に誤差を補正してくれる機能付のTSもあるので、製品の最新情報をチェックしてみると良いだろう。
間接水準測量で注意すべき誤差
構造物を建設する上で、高低差を測り標高を求める「水準測量」は重要な業務だ。
水準測量には、レベルと標尺を用いて直接2点間の高低差を求める「直接水準測量」と、海や河など直接水準測量を行うのが難しい現場でTSなどを用いて測定し三角法で計算して高低差を求める「間接水準測量」がある。
TSを使った「間接水準測量」のやり方を見ていこう。
TSと反射鏡を用いてまずは2点間の鉛直角と、斜距離を測定する。TSを設置した既知点(A地点)の標高にTSの高さを足して、TSと反射鏡の高低差を足すと反射鏡の標高がわかる。
そこから反射鏡の高さを引くと、反射鏡を設置した新点(B地点)の標高が求められる。
しかし、離れた2点間で角度と距離を測定するため、どうしても誤差が生じるもの。
大気の密度によって光が屈折するために起こる誤差「気差」と、地球が球面であるために起こる誤差「球差」があり、二つをあわせて「両差」という。
- 気差 ・・・ 大気の密度によって光が屈折するために起こる誤差
- 球差 ・・・ 地球が球面であるために起こる誤差
- 両差 ・・・ 上記ふたつの誤差をあわせた名称
これらを補正することで、測量の精度を高める。
補正するためには、二つの点にTSと反射鏡を設置し正反観測で結果を平均して消去する方法と、観測値から両差を足し引きして補正する方法がある。
直接足し引きする場合は、既知点から新点を観測しているなら「+」、新点から既知点を観測しているなら「−」を補正する。
数値のばらつきには、最確値と標準偏差がカギ
測量では未知の値を観測していくため、同じ環境で同じ器機で測定しても数値にバラつきが出ることも多い。以下の誤差についても押さえておこう。
系統誤差
機械の特性や気候など、一定の原因から生じる誤差。計算や観測法で消去もしくは小さくできる
偶然誤差
偶然によって生じる原因不明の誤差。複数回の観測値を平均にするなどして最確値を求めると、誤差を小さくできる
過失
不注意や経験不足などで生じる、属人的なミス
誤差が生じる場合は、何度か観測しそれぞれの観測値から、できるだけ誤差を少なくしたもっとも確からしい「最確値」を決める必要がある。
最確値とあわせてキーワードとなるのが「標準偏差」。偏差とは平均値との差のことで、標準偏差は観測データのばらつき度を表す。標準偏差が大きいと精度が低く、標準偏差が小さいと精度が高い。
標準偏差を求めるための、計算方法は以下になる。
1、最確値と測定値の差(残差)を求める
2、残差を二乗する
3、1と2を合計する
4、公式に当てはめて計算する
M:最確値の標準偏差 n:観測回数 Σvv:残差の合計
複雑な計算が多いが、精度の高い測量を行うために不可欠な作業となるため、しっかり押さえておきたい。
1、最確値と測定値の差(残差)を求める
2、残差を二乗する
3、1と2を合計する
4、公式に当てはめて計算する
M:最確値の標準偏差 n:観測回数 Σvv:残差の合計
複雑な計算が多いが、精度の高い測量を行うために不可欠な作業となるため、しっかり押さえておきたい。
ひとり測量ができるのに高精度!スマホ測量アプリ「OPTiM Geo Point」がアツい!!
TSのように多様な誤差の補正をする手間がなく、誰でも一人で高精度な測量ができるアプリがある。
人工衛星を用いたGNSS測量を用いて、スマホで簡単に3D測量ができる「OPTiM Geo Scan」だ。
手軽に使える上、国土交通省の出来高管理要領にも準拠しているため、精度の高さは国のお墨付きである。
OPTiM Geo ScanではGNSS測量・杭打ちができる機能「OPTiM Geo Point」が無料で使え、スマホのアプリ上でワンタップすればほぼリアルタイムでGNSS測量が完了。専門的な機器を使わずに杭打ちができる。
初心者でも簡単にゲーム感覚で測量ができ、現場での境界の位置出しや現地調査の座標取得などをたったの一人で行うことが可能だ。
どんな天候や時間でも測量できるというメリットも大きい。汎用性の高いCSV形式で測量データを出力でき、既存のCADソフトに読み込めば、平面図の作成や横断図の作成なども行える便利な機能も。
TSとOPTiM Geo Pointで測量した際の工数を比較した実証データも興味深い。OPTiM Geo Pointでは平面測量や縦断測量で97%の工数を削減(※1)。
現場で約50箇所の杭打ちを行った場合、TSでは2~3名体制で一日かかるが、OPTiM Geo Pointでは一人で数時間〜半日で対応でき、杭打ち時間の90%削減(※2)したという。(※1 ※2オプティム調べ)
国交省も認める高精度な“ひとり測量”アプリ。興味がある方は、まずはウェブセミナーや集団体験会に参加してみると良いだろう。
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