コラム・特集
TS(トータルステーション)で生じる〈誤差〉とは?〜 誤差の種類や原因・対策をわかりやすく解説 〜
土木・建設現場で広く使われている「TS(トータルステーション)」。
水平角・鉛直角と距離を測定できる便利な測量機器だが、TSを使えば誤差がなくなるわけではない。
機器そのものに由来する誤差だけでなく、設置方法、視準、気象条件、観測方法などによっても測定値は変化する。
そこで今回は、TSによる測量で知っておきたい誤差の種類と原因、誤差を小さくするための基本的な考え方を解説していく。
TS(トータルステーション)は、角度と距離を高精度に測定できる測量機器である。
しかし、測量で得られる値は「真の値」そのものではない。
機器の構造上の誤差や観測条件による影響、測定者による操作上の誤りなど、さまざまな要因によって測定値には差が生じる。
TSで注意したい誤差は、大きく分けると以下のように整理できる。
それぞれ詳しく見ていこう。
TS(トータルステーション)の距離測定では、光波を利用して器械と反射プリズムとの距離を測定する。
このとき、測定値に影響する代表的なものが器械定数とプリズム定数である。
器械ごとの特性によって生じるため、適切な設定・点検が必要になる。

使用するプリズムによって設定値が異なる場合があるため、TSに設定されているプリズム定数と、実際に使用するプリズムの設定が合っているかを確認することが重要だ。
器械定数やプリズム定数は、単純に「測定値へ必ず足す」というものではなく、使用する機器の仕様や設定方法に従って適切に補正する必要がある。
TSで水平角を観測するときには、機器内部の軸の関係によって誤差が生じることがある。
代表的なものが、
である。
これらをまとめて説明するとき、「3軸誤差」と呼ばれることがある。
(画像元:https://gitenblog.com/sokuryo-takaku6/)
視準線と水平軸が正しく直交していないことによって生じる誤差である。
視準軸誤差は、望遠鏡を正位・反位にして観測する正反観測によって影響を相殺できる。
正反観測とは、望遠鏡を正位と反位にして同じ対象を観測し、それぞれの観測値を用いて誤差の影響を小さくする方法だ。
水平軸と鉛直軸が正しく直交していないことによって生じる誤差である。
視準軸誤差と同様に、正反観測によって影響を相殺できる。
ただし、実際の測量では、単純に「正反観測をすればすべての器械誤差が消える」と考えるのは適切ではない。
鉛直軸が正確に鉛直になっていないことによって生じる誤差である。
鉛直軸誤差は、正反観測だけでは消去できない。
そのため、TSを正確に整準することが重要になる。
また、機器によっては内部の補正機能によって影響を補正できる場合がある。
TSによる測量では、機器そのものの精度だけでなく、TSを測点に正しく設置することも重要である。
これを「整置」という。
整置では、
などを適切に行う。
TSの中心を測点の鉛直線上に正しく合わせ、機器を水平に整えることで、設置に起因する誤差を小さくできる。
特に三脚が不安定な場所では、観測中にTSが動いてしまう可能性がある。
高精度な測量ほど、観測前の機器設置が重要になる。
TSの光波測距では、光が通過する大気の状態も測定結果に影響する。
特に気温や気圧などによって大気中の光の伝搬特性が変化するため、距離測定では必要に応じて気象補正を行う。
TSには、気温や気圧などの観測条件を入力して補正する機能を備えた機種もある。
したがって、長距離を高精度に測定する場合などには、現場の気象条件にも注意したい。
TSを利用して高低差や標高を求める方法の一つに、間接水準測量(トリゴノメトリック・レベリング)がある。
これは、TSで鉛直角と距離を観測し、三角法によって2点間の高低差を求める方法である。
例えば、既知点にTSを設置し、別の地点に設置した反射プリズムを観測することで、その地点との高低差を求められる。
このとき、長い距離を測定すると問題になってくるのが、球差と気差である。

画像:https://mogist.kkc.co.jp/word/e071abb3-8cd4-4080-b6eb-8000a62b8ae1.htmlより
これらを補正することで、測量の精度を高める。
ここまで見てきたTS固有の誤差とは別に、測量では観測値の性質によって誤差を考えることもできる。
代表的なのが・・・、
である。
一定の原因によって、同じような傾向で生じる誤差である。
機器の特性や観測環境などが原因となる場合があり、原因を特定できれば、補正や観測方法の工夫によって影響を小さくできる。
同じ条件で繰り返し観測しても、偶然の要因によって観測値がばらつくことがある。これが偶然誤差。
同じ条件で複数回観測することで、観測値のばらつきを把握し、平均などの統計的な処理によって、より確からしい値を求めることができる。
測定者による、
なども、測量結果を誤らせる原因となる。
これは機器そのものの「誤差」とは区別して考える必要がある。
当然だが、高精度なTSを使っていても、入力や操作を間違えれば正しい測量結果は得られない。
同じ対象を複数回観測すると、測定値にばらつきが生じることがある。
同一精度の観測を繰り返した場合には、観測値の算術平均を最確値として扱うことができる。
そして、観測値がどの程度ばらついているかを見る指標の一つが標準偏差である。
標準偏差が小さいほど、同じ条件下で得られた観測値のばらつきが小さいことを意味する。
測量では、単に「平均値を見る」だけでなく、観測値のばらつきや残差などを確認し、観測結果の品質を評価することが重要になる。
TSは高い精度が求められる測量を支える重要な機器であり、適切な据え付けや観測、誤差への理解が欠かせない。
一方で、測量のすべての場面でTSを使う必要があるとは限らない。
求められる精度や現場の状況、作業人数、コストなどに応じて、測量方法を使い分けるという考え方もある。
そこで注目したいのが、スマートフォンを活用した測量アプリ「OPTiM Geo Scan」だ。

測量では、求められる精度や作業内容によって、適した機器や方法が異なる。
TSや自動追尾TS、地上型レーザースキャナーは、それぞれ高精度な測量を支える専門機器として重要な役割を担っている。
一方で、すべての現場で同じスペックの機器が必要になるわけではない。
OPTiM Geo Scanは、そうした測量の選択肢を広げる存在である。
スマホアプリの手軽さを保ちながら、LiDARとGNSSレシーバーを組み合わせることで、高精度な測量を実現。
(小型タイプのGNSSレシーバー)
高価な専門機器を導入するほどではないものの、簡易的なスマホ測量では精度が足りない。そんな現場に向けた選択肢として位置づけられる。

OPTiM Geo Scanで注目したいのが、単点計測における測位精度である。
2026年3月Geo Scanは単点計測において、ミリ単位の測位精度を実現した。
オプティムによれば、独自の測量処理技術によってリアルタイム測位データのばらつきを数ミリの範囲に収束させ、水平・鉛直方向ともにミリ単位を達成したと公式発表している。

これにより従来は、TSなどを使って行っていた構造物の位置出しや墨出しといった業務についても、スマホ測量という選択肢が生まれる。

ただし、測量精度は現場の環境条件や測定方法などによって変動する。
TSやTLSなどの専門機器を一律に置き換えるものではなく、求められる精度や作業内容に応じて使い分けることが重要だ。
Geo Scan 資料ダウンロードはこちら
水平角・鉛直角と距離を測定できる便利な測量機器だが、TSを使えば誤差がなくなるわけではない。
機器そのものに由来する誤差だけでなく、設置方法、視準、気象条件、観測方法などによっても測定値は変化する。
そこで今回は、TSによる測量で知っておきたい誤差の種類と原因、誤差を小さくするための基本的な考え方を解説していく。
TSの測量で誤差が生じるのはなぜ?
TS(トータルステーション)は、角度と距離を高精度に測定できる測量機器である。
しかし、測量で得られる値は「真の値」そのものではない。
機器の構造上の誤差や観測条件による影響、測定者による操作上の誤りなど、さまざまな要因によって測定値には差が生じる。
そのため、TSを活用した測量では、「誤差を完全になくす」のではなく、誤差の原因を把握し、適切な観測方法や補正によって影響を小さくすることが重要になる。
TSで注意したい誤差は、大きく分けると以下のように整理できる。
- 距離測定に関係する誤差
- 水平角・鉛直角の測定に関係する誤差
- 気象条件による誤差
- 設置・観測方法による誤差
- 観測値のばらつき
- 人為的なミス
それぞれ詳しく見ていこう。
距離測定で注意したい誤差
TS(トータルステーション)の距離測定では、光波を利用して器械と反射プリズムとの距離を測定する。
このとき、測定値に影響する代表的なものが器械定数とプリズム定数である。
器械定数
器械定数とは、TSの内部における光学的な基準位置などと、実際の測距の基準との関係によって生じる測距上の定数的な誤差を指す。
器械ごとの特性によって生じるため、適切な設定・点検が必要になる。

プリズム定数
プリズム定数は、反射プリズムの光学的な特性などに起因する測距上の補正値である。
使用するプリズムによって設定値が異なる場合があるため、TSに設定されているプリズム定数と、実際に使用するプリズムの設定が合っているかを確認することが重要だ。
器械定数やプリズム定数は、単純に「測定値へ必ず足す」というものではなく、使用する機器の仕様や設定方法に従って適切に補正する必要がある。
TSの角度測定で生じる「3軸誤差」とは?
TSで水平角を観測するときには、機器内部の軸の関係によって誤差が生じることがある。
代表的なものが、
- 視準軸誤差
- 水平軸誤差
- 鉛直軸誤差
である。
これらをまとめて説明するとき、「3軸誤差」と呼ばれることがある。
(画像元:https://gitenblog.com/sokuryo-takaku6/)視準軸誤差
視準線と水平軸が正しく直交していないことによって生じる誤差である。
視準軸誤差は、望遠鏡を正位・反位にして観測する正反観測によって影響を相殺できる。
正反観測とは、望遠鏡を正位と反位にして同じ対象を観測し、それぞれの観測値を用いて誤差の影響を小さくする方法だ。
水平軸誤差
水平軸と鉛直軸が正しく直交していないことによって生じる誤差である。
視準軸誤差と同様に、正反観測によって影響を相殺できる。
ただし、実際の測量では、単純に「正反観測をすればすべての器械誤差が消える」と考えるのは適切ではない。
鉛直軸誤差
鉛直軸が正確に鉛直になっていないことによって生じる誤差である。
鉛直軸誤差は、正反観測だけでは消去できない。
そのため、TSを正確に整準することが重要になる。
また、機器によっては内部の補正機能によって影響を補正できる場合がある。
TSの誤差を小さくする「整置」とは?
TSによる測量では、機器そのものの精度だけでなく、TSを測点に正しく設置することも重要である。
これを「整置」という。
整置では、
- 求心
- 整準
- 三脚の安定
などを適切に行う。
TSの中心を測点の鉛直線上に正しく合わせ、機器を水平に整えることで、設置に起因する誤差を小さくできる。
特に三脚が不安定な場所では、観測中にTSが動いてしまう可能性がある。
高精度な測量ほど、観測前の機器設置が重要になる。
気温や気圧もTSの距離測定に影響する
TSの光波測距では、光が通過する大気の状態も測定結果に影響する。
特に気温や気圧などによって大気中の光の伝搬特性が変化するため、距離測定では必要に応じて気象補正を行う。
TSには、気温や気圧などの観測条件を入力して補正する機能を備えた機種もある。
したがって、長距離を高精度に測定する場合などには、現場の気象条件にも注意したい。
間接水準測量で注意したい「球差」と「気差」
TSを利用して高低差や標高を求める方法の一つに、間接水準測量(トリゴノメトリック・レベリング)がある。
これは、TSで鉛直角と距離を観測し、三角法によって2点間の高低差を求める方法である。
例えば、既知点にTSを設置し、別の地点に設置した反射プリズムを観測することで、その地点との高低差を求められる。
このとき、長い距離を測定すると問題になってくるのが、球差と気差である。
- 直接水準測量 ・・・ レベルと標尺を使い2点間の高低差を直接求める

- 間接水準測量 ・・・ TS等を用い三角法で計算して高低差を求める

画像:https://mogist.kkc.co.jp/word/e071abb3-8cd4-4080-b6eb-8000a62b8ae1.htmlより
- 気差 ・・・ 大気の密度によって光が屈折するために起こる誤差
- 球差 ・・・ 地球が球面であるために起こる誤差
- 両差 ・・・ 上記ふたつの誤差をあわせた名称
これらを補正することで、測量の精度を高める。
測量の「誤差」は3つの視点から考える
ここまで見てきたTS固有の誤差とは別に、測量では観測値の性質によって誤差を考えることもできる。
代表的なのが・・・、
- 系統的な誤差
- 偶然による誤差
- 人為的なミス
である。
系統誤差
一定の原因によって、同じような傾向で生じる誤差である。
機器の特性や観測環境などが原因となる場合があり、原因を特定できれば、補正や観測方法の工夫によって影響を小さくできる。
偶然誤差
同じ条件で繰り返し観測しても、偶然の要因によって観測値がばらつくことがある。これが偶然誤差。
同じ条件で複数回観測することで、観測値のばらつきを把握し、平均などの統計的な処理によって、より確からしい値を求めることができる。
人為的なミス
測定者による、
- 数値の読み間違い
- 入力ミス
- 器械高・目標高の入力ミス
- 測点の取り違え
- 観測手順の間違い
なども、測量結果を誤らせる原因となる。
これは機器そのものの「誤差」とは区別して考える必要がある。
当然だが、高精度なTSを使っていても、入力や操作を間違えれば正しい測量結果は得られない。
複数回の観測では「最確値」と「標準偏差」を確認
同じ対象を複数回観測すると、測定値にばらつきが生じることがある。
同一精度の観測を繰り返した場合には、観測値の算術平均を最確値として扱うことができる。
そして、観測値がどの程度ばらついているかを見る指標の一つが標準偏差である。
標準偏差が小さいほど、同じ条件下で得られた観測値のばらつきが小さいことを意味する。
測量では、単に「平均値を見る」だけでなく、観測値のばらつきや残差などを確認し、観測結果の品質を評価することが重要になる。
標準偏差を求めるための、計算方法は以下になる。
1、最確値と測定値の差(残差)を求める
2、残差を二乗する
3、1と2を合計する
4、公式に当てはめて計算する

M:最確値の標準偏差
n:観測回数
Σvv:残差の合計
複雑な計算が多いが、精度の高い測量を行うために不可欠な作業となるため、しっかり押さえておきたい。
1、最確値と測定値の差(残差)を求める
2、残差を二乗する
3、1と2を合計する
4、公式に当てはめて計算する

M:最確値の標準偏差
n:観測回数
Σvv:残差の合計
複雑な計算が多いが、精度の高い測量を行うために不可欠な作業となるため、しっかり押さえておきたい。
TSによる測量を、もっとシンプル&カンタンに
TSは高い精度が求められる測量を支える重要な機器であり、適切な据え付けや観測、誤差への理解が欠かせない。
一方で、測量のすべての場面でTSを使う必要があるとは限らない。
求められる精度や現場の状況、作業人数、コストなどに応じて、測量方法を使い分けるという考え方もある。
そこで注目したいのが、スマートフォンを活用した測量アプリ「OPTiM Geo Scan」だ。

Geo Scanは「高精度」と「使いやすさ」を両立
測量では、求められる精度や作業内容によって、適した機器や方法が異なる。
TSや自動追尾TS、地上型レーザースキャナーは、それぞれ高精度な測量を支える専門機器として重要な役割を担っている。
一方で、すべての現場で同じスペックの機器が必要になるわけではない。
OPTiM Geo Scanは、そうした測量の選択肢を広げる存在である。
スマホアプリの手軽さを保ちながら、LiDARとGNSSレシーバーを組み合わせることで、高精度な測量を実現。
(小型タイプのGNSSレシーバー)高価な専門機器を導入するほどではないものの、簡易的なスマホ測量では精度が足りない。そんな現場に向けた選択肢として位置づけられる。

単点計測でミリ単位の測位精度
OPTiM Geo Scanで注目したいのが、単点計測における測位精度である。
2026年3月Geo Scanは単点計測において、ミリ単位の測位精度を実現した。
オプティムによれば、独自の測量処理技術によってリアルタイム測位データのばらつきを数ミリの範囲に収束させ、水平・鉛直方向ともにミリ単位を達成したと公式発表している。

これにより従来は、TSなどを使って行っていた構造物の位置出しや墨出しといった業務についても、スマホ測量という選択肢が生まれる。

ただし、測量精度は現場の環境条件や測定方法などによって変動する。
TSやTLSなどの専門機器を一律に置き換えるものではなく、求められる精度や作業内容に応じて使い分けることが重要だ。
単点測位も「ミリ精度」、高精度スマホ測量
TSだけではない、新たな選択肢。
高精度スマホ測量について
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