コラム・特集
デジコン編集部 2024.6.11
測量アプリの現在地〜現場で使える?最新事例を紹介

大プロジェクト「新名神高速道路」建設に「Geo Scan Advance」で立ち向かう!奥村組のスマートな取組み 〜 工事の計画変更や日々の現況確認に、スマホ用3次元測量アプリが大活躍!〜

日本の大動脈である名神高速を補完する目的で計画され、全線開通に向けて工事が進む新名神高速道路。その大規模かつ重要なプロジェクトの建設現場で、スマホ用3次元測量アプリOPTiM Geo Scan」が大活躍している。

工種が非常に多く複雑な現場であるがゆえに生じる計画の変更。それが発注者の図面通りに施工可能なのかの検討。また、現況の地形を確認しなければ設置することができない排水路や、当初計画になかった仮設物の設計等……。


その都度、必要となる現況測量に威力を発揮しているのが「OPTiM Geo Scan Advance」だ。約1,500m2の3次元データを、一人で、しかもわずか2時間程度で取得できるようになった。

このアプリの登場により、大規模な切盛土工事の土量計算も可能に。工事の進捗に合わせ、切土・盛土の土量管理も簡単に行えるようになった。


今回、「OPTiM Geo Scan Advance」を導入した、奥村・西松・フジタ特定建設工事共同企業体の新名神美濃山中JV工事所、神田浩彰氏(奥村組)に現場を案内していただきながら、お話を伺った。

複雑で難度の高い施工現場「新名神高速道路美濃山中工事」について


新名神高速道路美濃山中工事は、八幡京田辺JCTから高槻JCTに向かう10.7kmのうち、八幡京田辺JCTを起点とする全長1.46kmの土木工事だ。


特徴的なのは、非開削工法でボックスカルバートを構築する函体推進工。八幡市の基幹道路・山手幹線の下に高速道路を通す工事であり、数多く埋設されているライフラインを避けながら、構築したボックスカルバートを少しずつ押し込んでいく。


ボックスカルバートのサイズは幅約50m、高さ約13m、延長約57mで、ボックス推進工事では日本最大級のものだ。

他にも鋼管擁壁工、一級河川の大谷川をまたぐ橋梁下部工、本線の地下に設置するプレキャスト地下調整池などが含まれる。土工量は、切土盛土を合わせて合計100万m3にも上る。






こうした大規模かつ複雑な現場に奥村組の神田氏が、スマホのLiDARセンサーを活用した3次元測量アプリ「OPTiM Geo Scan」の導入を決めたのは、およそ2年前のことだ。





「当工事では、さまざまなチェックを行うにあたって構造物を測量することが頻繁にあるので、これをもっと簡単にできたら良いなと思っていました」(神田氏)

さまざまな用途で活用できるスマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」


こうして現場に導入されたスマホ用測量アプリ「OPTiM Geo Scan」。多彩な機能をもつこのシステムを、次のような用途で使用しているという。

  • 現況測量
  • 土工量管理
  • 法面出来形計測
  • 計画変更の協議
  • 簡易の位置出し、座標取得

このうち、まずは「現況測量」での使用からスタートした。

「Geo Scanを使用し、新たに構築する構造物と既設構造物の位置関係を確認しました。既設構造物の点群データをGeo Scanで取得し、それに3次元設計モデルを重ねて、それぞれの構造物が干渉しないかをチェックしました」(神田氏)

その後、スマホと外部LiDARセンサーを組み合わせ、およそ35m先までの長距離3次元データを1回で取得できるようになった「Geo Scan Advance」が登場すると、「現況測量もよりスピーディかつ効率的に行えるようになった」と神田氏は言う。




「現況の地形をGeo Scan Advanceで測量し、発注者から受領した横断図と現地の3次元点群データから切り出した横断図を重ねることで、現況の地盤の高さや既設構造物の位置関係を短時間で確認することが可能になりました」(神田氏)










「一般的に発注者から受領する横断図は主要な測点のものしかありません。しかし、実際の施工では主要な測点以外の現況地形も把握する必要があります。点群データで広範囲の地形を取得することで、従来の平面図・横断図ではわかりづらかった情報を、視覚的にわかりやすく確認できるようになりました」(神田氏)

さらに、図面のない場所においてGeo Scanで点群データを取得し、現地に合わせた構造物を計画して提案することもあったという。

Geo Scan Advanceは誰でも簡単に使えるから、日々の進捗確認もスムーズに


ここで気になるのが「OPTiM Geo Scan Advance」の使い勝手だ。

「使い勝手は非常にいいですよ。そもそも測量は二人で行うことが多いのですが、Geo Scan、Geo Scan Advanceならば、一人で行うことができます。さらにAdvanceに関しては、広範囲のデータを1回で取得できるので、作業の効率化に大きく寄与しています。」(神田氏)


最初は私一人しかこのアプリを使えなかったのですが、操作は難しくないので、私が後輩たちに操作方法を教えたら、皆すぐに使えるようになりました。今後も使用者を拡大していきたいです」(神田氏)


こうした「OPTiM Geo Scan Advance」の使い勝手の良さを活かして行ったのが盛土工における土量計算・管理だ。

「盛土工の着手前に現況を測量し、あとは進捗に合わせて点群データを取得して土量の管理を行いました」(神田氏)


「OPTiM Geo Scan Advance」を使用することにより、高低差が8m程度あった約1,500m2にわたる盛土範囲の測量を一人で2時間のうちに完了。事務所でCADオペレーターが1時間作業して、3次元データが完成。従来の機材であれば、測量だけで丸1日かかるところを、データ作成も含め、たった3時間で作業が終えられたという。


法面の出来形の計測にも利用できるGeo Scan Advance


法面の出来形計測にも「OPTiM Geo Scan Advance」を活用した。法面工は、切土による仕上がり形状の出来高計測を実施しないと次工程(植生工・モルタル吹付等)に進むことができない。

従来は、測量会社に外注する回数を減らすため、一定範囲の切土が完了してから出来形計測を行っていたが、Geo Scan Advanceがあれば、工事所職員のみでいつでも計測ができるため、次工程へ速やかに移行することができるという。


さらに「これはあまり一般的な使い方ではないかもしれない」と神田氏が教えてくれたのが計画変更において発注者との協議に活用した例だ。

「Geo Scan Advanceで現地の地形を測量して仮設構造物の検討を行いました。設計した仮設構造物の3Dモデルを点群データに重ねることで、現地との取合い部や施工ステップの確認にも活用できました」(神田氏)

このように実際にGeo Scan Advanceをさまざまな場面で活用していった神田氏に改めてそのメリットを伺うと、測量会社に外注しなくても簡単に自分たちで点群データの取得ができることだという。

「点群データがあれば、好きな場所で断面図を作成できたり、点群そのものから座標値を取得できたりします。あとは視覚的にわかりやすいことも大きいですね」(神田氏)


一度の測量でさまざまな情報を取得できるため、業務の効率化にもつながる。もちろん追加で測量が必要になったとしても、Geo Scan Advanceなら一人ですばやく測量することができる。

ただし、測量会社に外注すれば3次元データの完成度は高い。測量を自分たちで行うか、外注するかは、毎回、検討して選択しているという。

最後に神田氏に今後もGeo ScanやGeo Scan Advanceを使い続けたいかという質問を投げてみた。「私は使いたいですね。点群データを誰でも簡単に取得できるので、今後も工事に幅広く活用できると思っています」(神田氏)


「新名神高速道路美濃山中工事」という工種が多く複雑な現場のさまざまな課題に、Geo Scan Advanceを携えて立ち向かっている神田氏。現場で本当に使えることに主眼を置いて開発されてきた3次元スマホ測量「OPTiM Geo Scan Advance」の真価がまさに発揮されている現場ではないだろうか。

株式会社 奥村組
HP:https://www.okumuragumi.co.jp/







取材・編集・文:デジコン編集部 / 撮影:斎藤 葵
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デジコン編集部

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