
ここ数年、スマホで3Dスキャンができるアプリが一気に増えている。
本記事では、数多くある3Dスキャンアプリの中から、注目度の高い「Scaniverse(スキャニバース)」を紹介する。
フィギュアや雑貨などの「小さなモノ」から、室内や建物といった「規模の大きなモノ」まで3Dスキャンできるという「Scaniverse(スキャニバース)」だが、その気になる性能や使い勝手は?
手軽に試すことができる、無料の3Dスキャンアプリは果たして、土木・建設、建築、インフラ分野の普段の業務でも使えるか?などを、検証していく。
LiDAR非搭載のiPhoneでも、3Dスキャンができる「Scaniverse(スキャニバース)」
Scaniverse(スキャニバース)はスマホゲーム「ポケモンGO」を手掛けるNiantec(ナイアンテック 本社:アメリカ)によるiPhone/iPad 用の無料アプリで、App Storeで入手できる。
(Scaniverse APP STOREより)
もともとアメリカの「Toolbox AI社」が開発・販売を手掛けていたが、2021年にNiantecがScaniverseを買収、その後、全機能を無料で使えるようになり、2022年9月にはLiDAR非搭載の機種にも対応。
Scaniverse(スキャニバース)は、Niantecが開発したManyDepth技術を採用している。
この技術は、スマートフォンのカメラで撮影した連続画像から深度情報を推定する手法だ。通常のLiDARセンサーを使用せずに3Dスキャンを実現できる点が特徴である。
カメラを動かしながら撮影した複数枚の画像を使用し、フォトグラメトリ(写真測量)の原理に基づいて3D情報を生成する。
これにより、特殊なセンサーを搭載していない一般的なスマートフォンでも3Dスキャンが可能となった。
現在(2024年1月時点)、以下の環境で動作が確認されている
スキャンしたデータは、以下の形式でエクスポートできる。
また、3Dスキャンしたデータはsketchfab(スケッチファブ)※など3Dモデル用プラットフォームで共有したり、メッシュデータを「.OBJ」や「.FBX」といった3Dファイル形式で、さらに点群データをLASとPLY形式で出力したりできる。
Scaniverse(スキャニバース)の操作でまず注意したいのが、基本的に英語表記ということ(※2023年3月現在)。
ただし、比較的わかりやすい英語でガイドが表示されるため、直感的に操作しやすい。一部機能では日本語での操作案内も表示される。
また、Youtubeの公式チャンネルでチュートリアル動画を見るか、公式サイトを日本語訳で読めば詳しい内容が理解できる。
まずアプリを開くと、下部に「LIBRARY」「NEW SCAN」「SHARING」と3つのボタンが並ぶ。3Dスキャンを行なうと、のちのちこのスタート画面に撮影データが一覧表示されていく。
(Scaniverse/スキャニバース スタート画面)
スキャンを開始するには「NEW SCAN」を選択。
すると次に、スキャンしたいもののサイズを選ぶ案内が出る。小さな物やペットくらいまでの大きさなら「Small Object」、人や家具、乗り物などは「Midium Object」、室内や建物、屋外空間は「Large Object / Area」と分かれている。

大きさを選択すると、いよいよスキャン用のカメラ画面に切り替わる。
画面下部の「RANGE」は対象までの距離を設定する。
空間や大きい物をスキャンする場合は目盛りを大きく、小さなものに近づいて撮影する場合は目盛りを小さく設定する。
ここを調整することでLiDARなしでスキャンする際、精度を高めるのに効果があるという。
(Scaniverse操作画面/オフィスのデスクをスキャン/スキャンできた部分は赤色の斜線が消えていく)
画面下の白丸/赤四角のボタンを押すとスキャンが開始される。
スキャンしたい対象物の周囲をできるだけスムーズにスマホを縦や横に動かすのがポイント。
スマホの画面上には赤い斜線部分が表示されるが、これはスキャンができていない範囲を示しており、これが対象物から消えるまでゆっくりとスマホを移動させる。
スキャンが終わったら、Processing mode(処理モード)を選択。

室内や空間は「Area」、対象物の質感を保持したい場合は「Detail」、手早くスキャン結果を見たい場合は「Speed」と3種類あり、アプリの方で推奨モードも提示される。

スキャンデータができた後は、「EDIT」で写真と同じように切り抜きや画像補正が可能で、「AR VIEW」でAR表示、「MEASURE」で対象物の計測、「SHARE」でScaniverse公式サイトのギャラリーページやsketchfabに投稿したり、メッセージに添付やエクスポート用の形式変換、スキャン画像の回転動画を作成したりもできる。
Scaniverse(スキャニバース)はもともと、赤外線の反射を利用して計測するLiDARという技術を使って3Dスキャンをする仕組みだったが、NiantecのManyDepth技術を採用したことでLiDARなしでもスキャニングが可能になった。
ManyDepth技術は、カメラ画像から奥行を推測するというものだ。
「Detail」モードではScaniverse独自のフォトグラメトリ処理(複数枚の写真をコンピュータで解析し、3Dモデルを生成する技術)を活用し、LiDAR搭載のデバイスに見劣りしない高精度なスキャン結果が得られる。
室内や建物など広範囲のスキャンは「Area」モードを用いる。
LiDAR搭載機種ではLiDARを使って計測を行なうが、非対応の機種ではそれができないため白い壁や特徴のない背景の前では計測がやや難しい。
デジコン編集部が実際にスキャンを行なってみたところ、ペンで数㎜、リモコンで数㎝程度の誤差があった。計測に慣れれば精度はより良くなりそうだ。
無料&手軽に3Dスキャンができる「Scaniverse(スキャニバース)」だが、土木・建設、建築、インフラ分野での測量業務に活用することは可能だろうか。
単刀直入にいうと、精度が求められる測量業務においては、厳しいだろう。
測量では、高精度な座標情報を取得する必要がある。しかし、無料の3Dスキャンの場合、LiDARを活用したスキャンでも、座標情報は後付であり、精度は安定しない。加えて、国交省の要領(3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案))にも準拠していないため、繰り返しになるが、土木・建設などの実務で活用するのは難しいといえる。

今回のScaniverseのような無料アプリで3Dスキャンに興味を覚えた方、そして、土木・建設などの測量業務で3Dスキャンをためしてみたい方にオススメなのが、株式会社オプティムが開発・販売しているLiDARを活用した3次元スマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」だ。

測位精度は、上述した国交省の要領【 3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)】にも準拠していることから、「出来形測量」「起工測量」でも使用することができる。つまり、出来形管理計測に利用するため必要な高い精度(±20~30mm)を実現しているのだ。
しかも無料の測量アプリのように、一度操作を覚えてしまえば、誰でも簡単に、超高精度な測量ができてしまう。土木・建設、インフラ業に従事されている方で、もし簡単・手軽・高精度な測量ソリューションを探されているなら、「OPTiM Geo Scan」を試してみる価値はあるのではないだろうか。
本記事では、数多くある3Dスキャンアプリの中から、注目度の高い「Scaniverse(スキャニバース)」を紹介する。
フィギュアや雑貨などの「小さなモノ」から、室内や建物といった「規模の大きなモノ」まで3Dスキャンできるという「Scaniverse(スキャニバース)」だが、その気になる性能や使い勝手は?
手軽に試すことができる、無料の3Dスキャンアプリは果たして、土木・建設、建築、インフラ分野の普段の業務でも使えるか?などを、検証していく。
LiDAR非搭載のiPhoneでも、3Dスキャンができる「Scaniverse(スキャニバース)」
Scaniverse(スキャニバース)はスマホゲーム「ポケモンGO」を手掛けるNiantec(ナイアンテック 本社:アメリカ)によるiPhone/iPad 用の無料アプリで、App Storeで入手できる。
もともとアメリカの「Toolbox AI社」が開発・販売を手掛けていたが、2021年にNiantecがScaniverseを買収、その後、全機能を無料で使えるようになり、2022年9月にはLiDAR非搭載の機種にも対応。
Scaniverse(スキャニバース)は、Niantecが開発したManyDepth技術を採用している。
この技術は、スマートフォンのカメラで撮影した連続画像から深度情報を推定する手法だ。通常のLiDARセンサーを使用せずに3Dスキャンを実現できる点が特徴である。
カメラを動かしながら撮影した複数枚の画像を使用し、フォトグラメトリ(写真測量)の原理に基づいて3D情報を生成する。
これにより、特殊なセンサーを搭載していない一般的なスマートフォンでも3Dスキャンが可能となった。
対応デバイスは?
現在(2024年1月時点)、以下の環境で動作が確認されている
- iOS:iPhone XS以降のiPhoneシリーズ
- iPadOS:iPad Pro(第4世代以降)
- 必要OS:iOS 14.0以上
出力可能なデータフォーマットは?
スキャンしたデータは、以下の形式でエクスポートできる。
- OBJ形式(業界標準の3Dモデルフォーマット)
- FBX形式(Autodesk社の3Dデータ形式)
また、3Dスキャンしたデータはsketchfab(スケッチファブ)※など3Dモデル用プラットフォームで共有したり、メッシュデータを「.OBJ」や「.FBX」といった3Dファイル形式で、さらに点群データをLASとPLY形式で出力したりできる。
※sketchfab(スケッチファブ)とは、web上で3Dモデルを公開、配信、閲覧でき、共有されたデータで3Dプリントを行なうこともできるサービス。無料での利用も可能。(https://sketchfab.com/)
Scaniverse(スキャニバース)の機能や使い方は?
Scaniverse(スキャニバース)の操作でまず注意したいのが、基本的に英語表記ということ(※2023年3月現在)。
ただし、比較的わかりやすい英語でガイドが表示されるため、直感的に操作しやすい。一部機能では日本語での操作案内も表示される。
また、Youtubeの公式チャンネルでチュートリアル動画を見るか、公式サイトを日本語訳で読めば詳しい内容が理解できる。
まずアプリを開くと、下部に「LIBRARY」「NEW SCAN」「SHARING」と3つのボタンが並ぶ。3Dスキャンを行なうと、のちのちこのスタート画面に撮影データが一覧表示されていく。

スキャンを開始するには「NEW SCAN」を選択。
すると次に、スキャンしたいもののサイズを選ぶ案内が出る。小さな物やペットくらいまでの大きさなら「Small Object」、人や家具、乗り物などは「Midium Object」、室内や建物、屋外空間は「Large Object / Area」と分かれている。

大きさを選択すると、いよいよスキャン用のカメラ画面に切り替わる。
画面下部の「RANGE」は対象までの距離を設定する。
空間や大きい物をスキャンする場合は目盛りを大きく、小さなものに近づいて撮影する場合は目盛りを小さく設定する。
ここを調整することでLiDARなしでスキャンする際、精度を高めるのに効果があるという。

スキャンしたい対象物の周囲をできるだけスムーズにスマホを縦や横に動かすのがポイント。
スマホの画面上には赤い斜線部分が表示されるが、これはスキャンができていない範囲を示しており、これが対象物から消えるまでゆっくりとスマホを移動させる。
スキャンが終わったら、Processing mode(処理モード)を選択。

室内や空間は「Area」、対象物の質感を保持したい場合は「Detail」、手早くスキャン結果を見たい場合は「Speed」と3種類あり、アプリの方で推奨モードも提示される。

スキャンデータができた後は、「EDIT」で写真と同じように切り抜きや画像補正が可能で、「AR VIEW」でAR表示、「MEASURE」で対象物の計測、「SHARE」でScaniverse公式サイトのギャラリーページやsketchfabに投稿したり、メッセージに添付やエクスポート用の形式変換、スキャン画像の回転動画を作成したりもできる。
なぜLiDARなしで3Dスキャンができるのか?
Scaniverse(スキャニバース)はもともと、赤外線の反射を利用して計測するLiDARという技術を使って3Dスキャンをする仕組みだったが、NiantecのManyDepth技術を採用したことでLiDARなしでもスキャニングが可能になった。
ManyDepth技術は、カメラ画像から奥行を推測するというものだ。
「Detail」モードではScaniverse独自のフォトグラメトリ処理(複数枚の写真をコンピュータで解析し、3Dモデルを生成する技術)を活用し、LiDAR搭載のデバイスに見劣りしない高精度なスキャン結果が得られる。
室内や建物など広範囲のスキャンは「Area」モードを用いる。
LiDAR搭載機種ではLiDARを使って計測を行なうが、非対応の機種ではそれができないため白い壁や特徴のない背景の前では計測がやや難しい。
デジコン編集部が実際にスキャンを行なってみたところ、ペンで数㎜、リモコンで数㎝程度の誤差があった。計測に慣れれば精度はより良くなりそうだ。
土木・建設、インフラなど、【測量業務】で測量アプリを活用するなら「OPTiM Geo Scan」がオススメ
無料&手軽に3Dスキャンができる「Scaniverse(スキャニバース)」だが、土木・建設、建築、インフラ分野での測量業務に活用することは可能だろうか。
単刀直入にいうと、精度が求められる測量業務においては、厳しいだろう。
測量では、高精度な座標情報を取得する必要がある。しかし、無料の3Dスキャンの場合、LiDARを活用したスキャンでも、座標情報は後付であり、精度は安定しない。加えて、国交省の要領(3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案))にも準拠していないため、繰り返しになるが、土木・建設などの実務で活用するのは難しいといえる。

今回のScaniverseのような無料アプリで3Dスキャンに興味を覚えた方、そして、土木・建設などの測量業務で3Dスキャンをためしてみたい方にオススメなのが、株式会社オプティムが開発・販売しているLiDARを活用した3次元スマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」だ。

測位精度は、上述した国交省の要領【 3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)】にも準拠していることから、「出来形測量」「起工測量」でも使用することができる。つまり、出来形管理計測に利用するため必要な高い精度(±20~30mm)を実現しているのだ。
しかも無料の測量アプリのように、一度操作を覚えてしまえば、誰でも簡単に、超高精度な測量ができてしまう。土木・建設、インフラ業に従事されている方で、もし簡単・手軽・高精度な測量ソリューションを探されているなら、「OPTiM Geo Scan」を試してみる価値はあるのではないだろうか。
参考元:
Scaniverse公式Youtube https://www.youtube.com/watch?v=ELXLFMjLOx8Scaniverse公式サイト https://scaniverse.com/ App Storeアプリダウンロードページ https://apps.apple.com/app/scaniverse-lidar-3d-scanner/id1541433223
Scaniverse公式Youtube https://www.youtube.com/watch?v=ELXLFMjLOx8Scaniverse公式サイト https://scaniverse.com/ App Storeアプリダウンロードページ https://apps.apple.com/app/scaniverse-lidar-3d-scanner/id1541433223
WRITTEN by

三浦 るり
2006年よりライターのキャリアをスタートし、2012年よりフリーに。人材業界でさまざまな業界・分野に触れてきた経験を活かし、幅広くライティングを手掛ける。現在は特に建築や不動産、さらにはDX分野を探究中。
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