コラム・特集
加藤 泰朗 2022.9.27

【プラントエンジニアリング企業ランキング】 売上トップTOP8!

プラントとは、複数の生産設備をもち、プラスチックやガソリンといった石油化学製品や、電気やガスなどのエネルギー、水処理やごみ処理、食品、医薬品など、私たちの生活に関わる、ありとあらゆるものを生産する施設のこと。そのプラントの企画・設計から、建設、施工管理、保守・メンテナンスまでを手掛けるのが、プラントエンジニアリング企業だ。

本記事では、売上高1,000億円以上(※)を誇る日本のプラントエンジニアリング企業上位8社を紹介する。
※:各社2022年3月期の有価証券報告書より作成(連結ベース)




1位 日揮ホールディングス(4,284億100万円)


1928年創業の日本揮発油を前身にもつ、日本最大手のプラントエンジニアリング企業。

人と地球、2つの健康を追求することで豊かな未来を創るというメッセージを込めたパーパス"Enhancing planetary health"のもと、総合エンジニアリング事業、機能材製造事業、コンサルティング事業などの事業活動を展開する。

総合エンジニアリング事業では、「エネルギートランジション」「ヘルスケア・ライフサイエンス」「産業・都市インフラ」「資源循環」の領域で、これまでに80カ国20,000件以上のプロジェクト遂行実績を残している。売上高の約7割は海外事例だ。

現在、長期経営ビジョン「2040年ビジョン」を掲げ、「エネルギーの安定供給と脱炭素化の両立」「資源利用に関する環境負荷の低減」「生活を支えるインフラ・サービスの構築・維持」の3つの社会課題解決に取り組んでいる。





2位 千代田化工建設(3,111億1500万円)


エネルギーと環境の調和を目指し、プラントのEPC事業(※)を中心に世界各地でプロジェクトを展開する総合エンジニアリング企業。創業は1948年。

事業領域は、LNG(液化天然ガス)、石油などのエネルギーから、化学、環境、省エネ、新エネ、産業設備、ライフサイエンスまでと、幅広い。

サステナブルな社会実現のために、17ある持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)のうち、「7. エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」「9. 産業と技術革新の基盤を作ろう」「13. 気候変動に具体的な対策を」の3つをサステナビリティ重要課題に特定し、これらを事業計画に統合。今後、事業活動を通じてSDGs達成に向けた取り組みを一層強化していく方針だ。

※:設計(Engineering)から、調達(Procurement)、建設(Construction)までを一括で行うプロジェクト



3位 栗田工業(2,882億700万円)


1949年にボイラ向けの水処理薬品事業で創業して以来、「水と環境」の分野で価値を追求し続ける水処理のリーディングカンパニー。

「"水"を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念に掲げ、水処理薬品の販売・製造、水処理装置の製造・販売・メンテナンス、超純水供給、土壌・地下水浄化、精密洗浄、水処理施設の運転・維持管理、プラント洗浄、水質分析、環境分析、業務用水処理機器、家庭向け商品の製造・販売など、幅広い分野で水処理事業を展開する。

2015年からはM&Aを活用した海外事業の拡大に本格的に着手。総合ソリューションのグローバル展開を進めている。





4位 東洋エンジニアリング(2,029億8600万円)


1961年創業の総合エンジニアリング企業。各種産業プラントの研究・開発協力、企画、設計、機器調達、建設、試運転、技術指導を手掛ける。対象分野は、祖業である化学肥料分野を中心に、石油化学や石油・ガス処理、資源開発、発電など、多岐にわたる。

創業当時より海外事業への進出を積極的に進め、現在、世界に10のEPC拠点と1つの調達拠点を構える。

2009年に制定した、グループ共通のミッション「エンジニアリングで地球と社会のサステナビリティに貢献する」を実現するために、SDGsに則した4つの重要経営課題、すなわち「環境調和型社会を目指す」「人々の暮らしを豊かにする」「多彩な人がいきいきと働く」「インテグリティのある組織を作る」を2020年に策定し、事業の中核に据えている。



5位 メタウォーター(1,355億5700万円)


企業名からも分かるように、水・環境事業分野の総合エンジニアリング企業。2008年4月、日本ガイシと富士電機の水環境部門が合併して誕生した。

セラミック膜ろ過システムやオゾン処理システムなどの機械技術と、受変電設備などの設備技術を有する、水処理分野では国内初となる機電一体型の会社だ。その強みを活かし、プラントの設計・建設(機械技術と電気技術)、運転・維持管理までを網羅した事業内容で、水・環境の諸課題に対するトータルソリューションを提案する。

気候変動や人口増加、設備・施設の老朽化など、上下水道インフラ整備の需要は国内外を問わず高まっている。同社は「中期経営計画2023」を策定し、「基盤分野の強化と成長分野の拡大」「研究開発投資の拡大」「持続的なESGの取り組み」の3つを重点課題として取り組んでいる。





6位 タクマ(1,340億9200万円)


1938年にボイラ製造で創業。環境とエネルギーに関する事業で「50年を造る、100年を創る。」をコンセプトに、一般廃棄物処理・水処理・エネルギーのプラントエンジニアリング事業を展開。

国内外で納入したプラント・製品は、一般廃棄物処理プラント約370件、バイオマスプラント630基以上、産業廃棄物処理プラント120件以上、ボイラ3,200機以上。放流水の高度処理、再生水の造水に使用する上向流移床型砂ろ過装置では、国内納入ナンバー1の2,800台以上の実績を誇る。

長期的には、持続的な成長を目指すESG経営を推進。その実現のための中期経営計画として、人材、デジタル技術、研究開発、パートナーシップ、設備投資、コンプライアンス領域で経営基盤を強化し、3か年累計で経常利益360億円を目指す。





7位 レイズネクスト(1,298億3200万円)


新興プランテックとJXエンジニアリングが合併し、2019年に発足した総合的エンジニアリング企業。

石油、石油化学、一般化学、医薬品、ガス、電力、製鉄、非鉄金属、食品、製紙など、幅広い産業領域で、プラントのメンテナンスサービスや、既存プラントの改造・改修、新プラントの建設などのエンジニアリングサービスを手掛ける。

「産業インフラを支える。豊かな未来を拓く。」を企業理念に、カーボンニュートラル社会の実現など、時代の要請に応える、進化したプラントサービスの提供を目指している。



8位 太平電業(1,269億800万円)


1947年に、屋内外線の電気工事会社としてスタート。現在は、火力・原子力発電、クリーンエネルギー、製鉄、石油化学、セメント、ごみ処理など、各種プラントの建設や補修、解体、メンテナンスなどのエンジニアリングを手かげる。海外でも、発電所設備や石油化学・製鉄・ごみ処理施設、セメントプラントなどのエンジニアリングで多くの実績をもつ。

「豊かさを当たり前に支えられる企業」になることをめざし、発電事業では、豊富なプラントエンジニアリングの経験をもとにした、発電所の運転・保守・メンテナンス、点検・補修・改善提案できる人材の育成サービスを展開。さらに自社発電所を所有し、電力供給までを手掛ける。




高度経済成長期に集中して建設された既存プラントの老朽化や、脱炭素社会実現に向けた環境対策など、プラント施設はさまざまな課題を抱えており、今後、プラントエンジニアリングへの需要が高まることが予想される。取り上げた8社を含め、日本のプラントエンジニアリング企業の動向に注目だ。


画像:Shutterstock
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WRITTEN by

加藤 泰朗

人文系・建築系・医学看護系の専門出版社を経て、2019年独立。フリーランスとして、書籍・雑誌・Webで編集・ライティングに従事。難しい内容をわかりやすく伝えることを大切にしています。

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