
日本の社会インフラを支える舗装業界において、確かな技術力と豊富な実績を持つ大手企業各社が重要な役割を果たしている。
高速道路から生活道路まで、私たちの日常生活に欠かせない道路インフラの整備・維持には、長年にわたって培われた専門技術と革新的な取り組みが不可欠だ。
本記事では、舗装業界をリードする大手8社の特色や強み、独自技術について詳しく解説。
各企業がどのような分野に特化し、どのような技術革新を行っているのか、そして建設業界全体にどのような価値を提供しているのかを包括的に紹介していこう。
1934年の設立以来、道路舗装業界のリーディングカンパニーとして90年にわたり「道づくり」のパイオニアとして歩み続けてきた株式会社NIPPO。
ENEOSグループの一員として、道路舗装業界最大手の地位を確立し、「街・人をつなぎ、心をつなぐ快適な道づくり」を企業理念に掲げている。
同社の中核事業である建設事業では、高速道路、一般道路、空港滑走路などの重要インフラ設備から、製造・物流・商業施設の構内舗装や外構まで、多様なフィールドで舗装土木工事を展開。
長年培ってきたノウハウを基に「確かなものづくり」を実践している。舗装土木分野に加えて、オフィスビル・マンション・住宅・リゾート施設・医療施設・工場など多彩な建築事業も手掛け、調査・コンセプトづくりから設計・施工、アフターサービスまでの一貫体制を確立している点が強みだ。
(画像元:NIPPOWEBサイトより)
特筆すべきは、道路舗装の材料となるアスファルト合材の製造・販売事業においても業界トップクラスの地位を築いていることだ。
全国に生産拠点を配し、現場のニーズに合わせて迅速・確実に供給することで、日本のインフラ整備を支えている。この製造から施工までの一貫した事業体制により、品質管理と効率性の両立を実現している。
海外展開にも積極的で、アスファルト合材事業、テストコース事業、ODA(政府開発援助)事業を中心に、各国に根ざした社会インフラの構築・整備に取り組んでいる。
また、不動産開発事業では全国の主要都市においてマンション分譲事業、不動産賃貸事業、都市再開発事業、物流施設事業など多角的な事業を展開し、事業領域の拡大を図っている。
道づくりで培った歴史と情熱を基盤に、スポーツ施設建設、土壌・地下水浄化、リゾート施設運営など、社会の多様なニーズに応える事業分野にも進出。
確かなものづくりを通して豊かな社会の実現に貢献し、顧客の期待に応え続ける企業として、今後も社会をつなぐ、未来をつなぐ道づくりの最前線で活躍し続けている。
shutterstockより
1925年に高野組として創業し、2025年に創業100周年を迎えた前田道路株式会社。創業以来100年以上にわたり、地域の健全なインフラ発展に貢献し続けてきた老舗企業だ。
創業当初から舗装工事(建設事業)とアスファルト合材の製造販売(製造販売事業)を主軸に事業を拡大し、現在では全国に営業所・工場合わせて約200拠点を持つまでに成長を遂げている。
同社の事業領域は多岐にわたり、道路整備事業では道路土木・道路舗装・道路改良・道路修繕および付帯工事を手掛ける。
空港、高速道路、主要国道、一般道路から被災道路の復旧まで、あらゆる道路工事に対応している。
(画像元:前田道路WEBサイトより)
さらに一般土木建設事業、施設整備事業として空港滑走路やエプロン、誘導路、コンテナヤードの建設も担当。景観事業では商店街や広場、まちづくりにも携わっている。
緑化事業では道路緑化、工場緑化、都市公園、屋上緑化、庭園づくりなど環境配慮型の事業も展開し、次世代へ豊かな自然を受け継いでいく取り組みにも注力している。
製造販売事業では各種アスファルト合材、アスファルト乳剤、常温合材、砂利、土石、砂その他材料の製造販売に加え、建設機械の設計・製作・修理・販売まで一貫して行っている。
また、時代のニーズに対応したリサイクル事業では建設副産物の収集・運搬・処理および再生製品の販売を手掛け、持続可能な社会の実現に貢献している。
同社の最大の特徴は、社員が自分で仕事を作り出せる環境があることだ。工事を通じて築き上げた顧客との信頼関係を活かし、社員自らが顧客に仕事を提案することで、やってみたい仕事を創出できる。
この仕組みにより、通常の施工管理業務に加えて提案書や見積作成などの業務も経験でき、幅広い技術の習得と多様な経験を積むことが可能だ。
人材育成にも力を入れており、「自分で考え、行動できる自立した社員を育成すること」を目標に掲げている。
自社研修所を設け、配属先では入社5~10年目の社員が教育担当として新入社員をサポート。集合研修や実務研修を通して成長を実感できる環境を整備している。奨学金返還支援制度の導入など、若手社員が安心して仕事に取り組める制度も充実させている。
1944年の創立以来80年を超える歴史を持つ鉄建建設株式会社は、「鉄道工事のトップランナー」として確固たる地位を築いてきた総合建設会社だ。
「信用と技術」を社是として掲げ、この精神を通じて社会の繁栄に貢献し続けている。確かな技術が信用を生み出し、信用を通して仕事が生まれ、仕事から技術を磨くという好循環により、顧客をはじめとした関係者との強固な信頼関係を構築している。
同社の事業は土木工事と建築工事、鉄道工事と一般工事のバランスの良い展開が特徴だ。鉄道土木分野では青函トンネル、北陸新幹線延伸(金沢~敦賀間)、西九州新幹線(長崎~武雄温泉間)、東日本大震災災害復旧など大規模プロジェクトを手掛けている。
鉄道建築では渋谷、原宿、新宿、品川、川崎などの主要駅から地方都市まで、駅・駅ビル・商業施設・車両基地の整備・改良を通じて鉄道利用者の豊かな暮らしを支えている。
(画像元:鉄建建設WEBサイトより)
技術力向上への取り組みも特筆すべき点で、自社施設の「建設技術総合センター」には実寸大の鉄道設備(駅ホーム・踏切・レールなど)を建設し、鉄道工事の安全と品質を保つための技術力向上に日々邁進している。この施設は同社の技術力の高さと安全への強いコミットメントを象徴している。
一般土木分野では道路・トンネル・橋梁・上下水道・河川護岸など、日々安心して生活するための社会基盤インフラ整備も担当。
第二田柄川幹線工事、青垣内山トンネル、新清水ジャンクション、国道58号牧港高架橋など多様な案件を通じて社会インフラの発展に貢献している。
同社では社員を「財産」と位置づけ、社員が最大限に活躍できるよう各自の成長・挑戦が可能な環境を整備。
社員一人ひとりが努力を結集し、自ら考え行動することで発展していく、社員と会社が一体となった企業文化を築いている。
80年を超える技術・経験を未来へ発展させるため人材育成にも力を入れ、交通インフラを利用する顧客や地域の利便性向上と暮らしの豊かさを実現する建物・構造物を造り続けている。
shutterstockより
創立95年以上を誇る道路建設会社のパイオニアとして歩み続けてきた日本道路株式会社。清水建設グループの一員として、高速道路、国道、空港、港湾、橋梁等の工事など数々の国家プロジェクトに参画し、日本の社会基盤整備の一翼を担ってきた実績を持つ。
同社の事業領域は道路建設にとどまらず、レジャー施設やテニスコート、陸上競技場等のスポーツ施設まで幅広く手掛け、「道からはじまる街づくり」を実践している。
近年では環境対策というニーズに応え、環境関連技術分野へ積極的に取り組み、人に・地球に優しい社会の実現にも寄与。SDGsを経営の中心に据え、社会から信頼され、存続を望まれる企業として新たな価値創造に挑戦している。
(画像元:日本道路WEBサイトより)
働き方支援制度も充実しており、育児をしながら働く社員のための環境整備に注力している。
育児休業制度では子が満1歳に達するまで取得可能で、事情により更に1年間延長も可能。育児短時間勤務や残業・休日出勤の免除対象を中学校就学前まで拡大するなど、法定基準を上回る手厚いサポートを提供している。
また、エリア社員制度により異動エリアを限定した働き方を選択でき、転勤等による単身赴任者には最大175,000円/月の帰宅補助、転居を伴う転勤では最大40万円の赴任手当支給に加え引っ越し費用の全額負担など、社員の生活設計の多様化に対応した制度を整備している。
社内の風土については、年の近い先輩も多く話しやすい環境で、互いに助け合う企業文化が根付いている。
高い技術力と長い歴史を背景に、社員一人ひとりが大きな責任とやりがいを持って業務に取り組める環境が整っており、モノづくりへの情熱を持った人材が活躍できる会社として発展を続けている。
創業140年の歴史を誇る飛島建設株式会社は、創業者飛嶋文吉の「利他利己」という創業精神のもと発展を続けてきた総合建設会社だ。
「己を利せんとせばまず対手の利を先として己の利を後とせよ」という言葉に表される通り、まず相手がどうしたら喜んでくれるかを優先して考え、それを貫くことで最終的に自分に利がかえってくるという精神でモノづくりに取り組んでいる。
(画像元:飛島建設WEBサイトより)
同社の強みは大型土木分野における業界トップクラスの施工実績にある。創業140年の歴史の中でトンネルやダムといった大型土木工事で培った高い技術力が評価され、現在も多くの大型プロジェクトに参画している。
地下空洞充填や丸太を使った液状化対策など、独自性の高いユニークな技術も保有している点が特徴的だ。
建築事業では地震に対する防災技術に特色があり、「トグル制震構法」や「レンズダンパー」といった飛島建設ならではの技術を開発・施工している。これらの技術により、安全で安心な生活・社会空間の実現に貢献している。
2024年10月には「飛島ホールディングス」が発足し、同社はその中核企業として新たなステージに入った。飛島ホールディングスのミッションは「未来のConstruction」をつくることで、あらゆる視点から建設関連サービスを提供することにより、人々の生活基盤を守り、経済成長の基盤維持に貢献している。
従来の建設事業に加え、グロース事業として長寿命化・防災/減災・環境領域などの新領域の技術開発を拡充。
さらにイノベーション事業としてDXサポートシステムの導入や建設技術支援を通じた地域建設業支援にも取り組み、複合企業体への変革を進めている。140年の歴史と伝統を基盤に、未来の建設業界をリードする企業として進化を続けている。
近代舗装の黎明期に国内で初めてアスファルト乳剤の製造に成功し、日本中の舗装施工会社に供給した先駆的企業として知られる東亜道路工業株式会社。
(画像元:東亜道路工業WEBサイトより)
1930年に日本ビチュマルス株式会社として設立され、現在に至るまで舗装材料メーカーと道路建設会社という二つの顔を持つ独特な企業だ。
同社の強みは、長い実績と豊富な経験に裏付けられた施工技術と化学技術が生み出す製品群を両輪とし、その相乗効果と融合により他社と一線を画した独自の発想を深化させてきた点にある。
(画像元:東亜道路工業WEBサイトより)
独立系企業の既成概念にとらわれない自由闊達な土壌が技術革新によるイノベーションを生み、すべてのステークホルダーに最適なソリューションを提案している。
創立前史では、大正時代から道路用アスファルト乳剤の導入に携わり、関東大震災後の復興事業で大きな役割を果たした歴史を持つ。時代を超えて社員一人一人に受け継がれた変化を恐れない革新のDNAが、同社のコア・コンピタンスとなっている。
shutterstockより
「豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企業」を企業理念とする世紀東急工業株式会社。1950年の創業から70年以上にわたり、高い技術力をもって成長を続け、現在も変化の激しい時代において新たな価値を生み出し続けている。
同社の代表的な技術として、東京・渋谷のスクランブル交差点で採用されている遮熱性舗装「アーバンクール」がある。
路面温度を8~10度程度下げる効果を持つこの技術は、ヒートアイランド現象の解消に貢献している。
(画像元:世紀東急工業WEBサイトより)
また、伊勢神宮や京都御苑の参道では砂利の風味を活かしつつ自然で快適な歩行感を実現する技術を提供するなど、様々なシーンで独自技術を展開している。
災害復興への取り組みも特筆すべき点で、震災発生時には道路復旧を迅速に行うことで支援活動をスムーズにし、多くの災害リスクの軽減に寄与している。
2006年度以降、コロナ禍やウクライナ情勢などの外部環境の影響を受けながらも黒字経営を継続しており、着実な企業経営を礎に社会を支える企業として成長している。
「種を播き、水をやり、花を咲かせて実らせる」を企業理念とし、1943年の創業以来、道路舗装材料のメーカーとして日本の道路づくりを支えてきたニチレキ株式会社。
研究開発型企業として新しいものを創りだし、新しいことに常に挑戦することで社会の発展に寄与している。
1959年に石や砂との接着性が高い乳剤の開発に日本で初めて成功して以来、業界をけん引する存在となっている。水をたまりにくくする排水性舗装や道路の熱を下げる遮熱性舗装、長期にわたって橋を守る防水技術など、ニチレキが中心となって開発した商品は多岐にわたる。
(画像元:ニチレキWEBサイトより)
同社の特色は、メーカーという立ち位置から道路そのものを"つくる"部分にも踏み込んでいることだ。
国・地方自治体からの依頼で新設道路や既存道路の改修に関する調査・設計・材料選定といった構想段階の仕事も受注し、グループ内に工事部門を持つため施工も可能。
さらに舗装用の点検機械や施工機械なども自社で開発しており、道路総合システムサービスを展開している。
(画像元:ニチレキWEBサイトより)
近年の維持管理重視の時代においても、早期から着目していた修繕に関するノウハウを活かし、長寿命化材料や補修メンテナンス材料で実績を残している。
30年スパンで効能を発揮し続ける橋梁防水材なども開発し、道路、橋梁、空港、港湾、鉄道、公園、スポーツ競技場、駐車場など多彩な分野に技術を提供している。
shutterstockより
今回紹介した舗装業界大手8社は、それぞれが独自の強みと特色を持ち、日本の道路インフラ整備において重要な役割を担っている。
ENEOSグループのNIPPOから創業95年を超える日本道路、東急グループの世紀東急工業まで、各社が長年にわたって蓄積してきた技術力と実績は、安全で快適な道路環境の実現に大きく貢献している。
特に注目すべきは、各社が環境対策や持続可能な社会の実現に向けた取り組みを積極的に進めていることだ。
遮熱性舗装による温度低減技術、リサイクル材料の活用、長寿命化技術の開発など、時代のニーズに応えた革新的なソリューションが次々と生み出されている。
また、働き方改革やダイバーシティ推進、DX化の促進など、建設業界全体の課題解決に向けた各社の取り組みも印象的です。これらの企業が業界をけん引することで、舗装業界全体の発展と社会貢献が期待される。
高速道路から生活道路まで、私たちの日常生活に欠かせない道路インフラの整備・維持には、長年にわたって培われた専門技術と革新的な取り組みが不可欠だ。
本記事では、舗装業界をリードする大手8社の特色や強み、独自技術について詳しく解説。
各企業がどのような分野に特化し、どのような技術革新を行っているのか、そして建設業界全体にどのような価値を提供しているのかを包括的に紹介していこう。
株式会社NIPPO(ENEOSグループ)
- 本社: 東京都
- 資本金: 153億2,400万円
- 売上高: 連結4,426億2,900万円(2024年3月期実績)、単体2,293億5,400万円(2024年3月期実績)
- 従業員: 2,039名(2024年3月31日現在)
ENEOSグループの一員として、道路舗装業界最大手の地位を確立し、「街・人をつなぎ、心をつなぐ快適な道づくり」を企業理念に掲げている。
同社の中核事業である建設事業では、高速道路、一般道路、空港滑走路などの重要インフラ設備から、製造・物流・商業施設の構内舗装や外構まで、多様なフィールドで舗装土木工事を展開。
長年培ってきたノウハウを基に「確かなものづくり」を実践している。舗装土木分野に加えて、オフィスビル・マンション・住宅・リゾート施設・医療施設・工場など多彩な建築事業も手掛け、調査・コンセプトづくりから設計・施工、アフターサービスまでの一貫体制を確立している点が強みだ。

特筆すべきは、道路舗装の材料となるアスファルト合材の製造・販売事業においても業界トップクラスの地位を築いていることだ。
全国に生産拠点を配し、現場のニーズに合わせて迅速・確実に供給することで、日本のインフラ整備を支えている。この製造から施工までの一貫した事業体制により、品質管理と効率性の両立を実現している。
海外展開にも積極的で、アスファルト合材事業、テストコース事業、ODA(政府開発援助)事業を中心に、各国に根ざした社会インフラの構築・整備に取り組んでいる。
また、不動産開発事業では全国の主要都市においてマンション分譲事業、不動産賃貸事業、都市再開発事業、物流施設事業など多角的な事業を展開し、事業領域の拡大を図っている。
道づくりで培った歴史と情熱を基盤に、スポーツ施設建設、土壌・地下水浄化、リゾート施設運営など、社会の多様なニーズに応える事業分野にも進出。
確かなものづくりを通して豊かな社会の実現に貢献し、顧客の期待に応え続ける企業として、今後も社会をつなぐ、未来をつなぐ道づくりの最前線で活躍し続けている。

前田道路株式会社
- 本社: 東京都
- 資本金: 193億5,000万円
- 売上高: 2,560億円/2024年3月
- 従業員: 2,435名(男性:1,946名 女性:489名)/2024(令和6)年3月
1925年に高野組として創業し、2025年に創業100周年を迎えた前田道路株式会社。創業以来100年以上にわたり、地域の健全なインフラ発展に貢献し続けてきた老舗企業だ。
創業当初から舗装工事(建設事業)とアスファルト合材の製造販売(製造販売事業)を主軸に事業を拡大し、現在では全国に営業所・工場合わせて約200拠点を持つまでに成長を遂げている。
同社の事業領域は多岐にわたり、道路整備事業では道路土木・道路舗装・道路改良・道路修繕および付帯工事を手掛ける。
空港、高速道路、主要国道、一般道路から被災道路の復旧まで、あらゆる道路工事に対応している。

さらに一般土木建設事業、施設整備事業として空港滑走路やエプロン、誘導路、コンテナヤードの建設も担当。景観事業では商店街や広場、まちづくりにも携わっている。
緑化事業では道路緑化、工場緑化、都市公園、屋上緑化、庭園づくりなど環境配慮型の事業も展開し、次世代へ豊かな自然を受け継いでいく取り組みにも注力している。
製造販売事業では各種アスファルト合材、アスファルト乳剤、常温合材、砂利、土石、砂その他材料の製造販売に加え、建設機械の設計・製作・修理・販売まで一貫して行っている。
また、時代のニーズに対応したリサイクル事業では建設副産物の収集・運搬・処理および再生製品の販売を手掛け、持続可能な社会の実現に貢献している。
同社の最大の特徴は、社員が自分で仕事を作り出せる環境があることだ。工事を通じて築き上げた顧客との信頼関係を活かし、社員自らが顧客に仕事を提案することで、やってみたい仕事を創出できる。
この仕組みにより、通常の施工管理業務に加えて提案書や見積作成などの業務も経験でき、幅広い技術の習得と多様な経験を積むことが可能だ。
人材育成にも力を入れており、「自分で考え、行動できる自立した社員を育成すること」を目標に掲げている。
自社研修所を設け、配属先では入社5~10年目の社員が教育担当として新入社員をサポート。集合研修や実務研修を通して成長を実感できる環境を整備している。奨学金返還支援制度の導入など、若手社員が安心して仕事に取り組める制度も充実させている。
鉄建建設株式会社【東証プライム上場】
- 本社: 東京都
- 資本金: 182億9,370万円
- 売上高: 1,835億円(2024年3月末現在)
- 従業員: 1,766名(2024年3月末現在)
1944年の創立以来80年を超える歴史を持つ鉄建建設株式会社は、「鉄道工事のトップランナー」として確固たる地位を築いてきた総合建設会社だ。
「信用と技術」を社是として掲げ、この精神を通じて社会の繁栄に貢献し続けている。確かな技術が信用を生み出し、信用を通して仕事が生まれ、仕事から技術を磨くという好循環により、顧客をはじめとした関係者との強固な信頼関係を構築している。
同社の事業は土木工事と建築工事、鉄道工事と一般工事のバランスの良い展開が特徴だ。鉄道土木分野では青函トンネル、北陸新幹線延伸(金沢~敦賀間)、西九州新幹線(長崎~武雄温泉間)、東日本大震災災害復旧など大規模プロジェクトを手掛けている。
鉄道建築では渋谷、原宿、新宿、品川、川崎などの主要駅から地方都市まで、駅・駅ビル・商業施設・車両基地の整備・改良を通じて鉄道利用者の豊かな暮らしを支えている。

技術力向上への取り組みも特筆すべき点で、自社施設の「建設技術総合センター」には実寸大の鉄道設備(駅ホーム・踏切・レールなど)を建設し、鉄道工事の安全と品質を保つための技術力向上に日々邁進している。この施設は同社の技術力の高さと安全への強いコミットメントを象徴している。
一般土木分野では道路・トンネル・橋梁・上下水道・河川護岸など、日々安心して生活するための社会基盤インフラ整備も担当。
第二田柄川幹線工事、青垣内山トンネル、新清水ジャンクション、国道58号牧港高架橋など多様な案件を通じて社会インフラの発展に貢献している。
同社では社員を「財産」と位置づけ、社員が最大限に活躍できるよう各自の成長・挑戦が可能な環境を整備。
社員一人ひとりが努力を結集し、自ら考え行動することで発展していく、社員と会社が一体となった企業文化を築いている。
80年を超える技術・経験を未来へ発展させるため人材育成にも力を入れ、交通インフラを利用する顧客や地域の利便性向上と暮らしの豊かさを実現する建物・構造物を造り続けている。

日本道路株式会社【東証プライム上場】【清水建設グループ】
- 本社: 東京都
- 資本金: 122億9,026万円(2024年3月末現在)
- 売上高: 単独1,401億1,600万円、連結1,605億1,900万円(2024年3月末現在)
- 従業員: 1,622名(2024年3月末現在)
創立95年以上を誇る道路建設会社のパイオニアとして歩み続けてきた日本道路株式会社。清水建設グループの一員として、高速道路、国道、空港、港湾、橋梁等の工事など数々の国家プロジェクトに参画し、日本の社会基盤整備の一翼を担ってきた実績を持つ。
同社の事業領域は道路建設にとどまらず、レジャー施設やテニスコート、陸上競技場等のスポーツ施設まで幅広く手掛け、「道からはじまる街づくり」を実践している。
近年では環境対策というニーズに応え、環境関連技術分野へ積極的に取り組み、人に・地球に優しい社会の実現にも寄与。SDGsを経営の中心に据え、社会から信頼され、存続を望まれる企業として新たな価値創造に挑戦している。

働き方支援制度も充実しており、育児をしながら働く社員のための環境整備に注力している。
育児休業制度では子が満1歳に達するまで取得可能で、事情により更に1年間延長も可能。育児短時間勤務や残業・休日出勤の免除対象を中学校就学前まで拡大するなど、法定基準を上回る手厚いサポートを提供している。
また、エリア社員制度により異動エリアを限定した働き方を選択でき、転勤等による単身赴任者には最大175,000円/月の帰宅補助、転居を伴う転勤では最大40万円の赴任手当支給に加え引っ越し費用の全額負担など、社員の生活設計の多様化に対応した制度を整備している。
社内の風土については、年の近い先輩も多く話しやすい環境で、互いに助け合う企業文化が根付いている。
高い技術力と長い歴史を背景に、社員一人ひとりが大きな責任とやりがいを持って業務に取り組める環境が整っており、モノづくりへの情熱を持った人材が活躍できる会社として発展を続けている。
飛島建設株式会社
- 本社: 東京都
- 資本金: 55億1,994万円(2024年4月1日現在)
- 売上高: 1,259億円(2023年度3月期実績)
- 従業員: 1,328名(2024年4月1日現在)
創業140年の歴史を誇る飛島建設株式会社は、創業者飛嶋文吉の「利他利己」という創業精神のもと発展を続けてきた総合建設会社だ。
「己を利せんとせばまず対手の利を先として己の利を後とせよ」という言葉に表される通り、まず相手がどうしたら喜んでくれるかを優先して考え、それを貫くことで最終的に自分に利がかえってくるという精神でモノづくりに取り組んでいる。

同社の強みは大型土木分野における業界トップクラスの施工実績にある。創業140年の歴史の中でトンネルやダムといった大型土木工事で培った高い技術力が評価され、現在も多くの大型プロジェクトに参画している。
地下空洞充填や丸太を使った液状化対策など、独自性の高いユニークな技術も保有している点が特徴的だ。
建築事業では地震に対する防災技術に特色があり、「トグル制震構法」や「レンズダンパー」といった飛島建設ならではの技術を開発・施工している。これらの技術により、安全で安心な生活・社会空間の実現に貢献している。
2024年10月には「飛島ホールディングス」が発足し、同社はその中核企業として新たなステージに入った。飛島ホールディングスのミッションは「未来のConstruction」をつくることで、あらゆる視点から建設関連サービスを提供することにより、人々の生活基盤を守り、経済成長の基盤維持に貢献している。
従来の建設事業に加え、グロース事業として長寿命化・防災/減災・環境領域などの新領域の技術開発を拡充。
さらにイノベーション事業としてDXサポートシステムの導入や建設技術支援を通じた地域建設業支援にも取り組み、複合企業体への変革を進めている。140年の歴史と伝統を基盤に、未来の建設業界をリードする企業として進化を続けている。
東亜道路工業株式会社
- 本社: 東京都港区六本木
- 資本金: 75億8,400万円(2025年3月現在)
近代舗装の黎明期に国内で初めてアスファルト乳剤の製造に成功し、日本中の舗装施工会社に供給した先駆的企業として知られる東亜道路工業株式会社。

1930年に日本ビチュマルス株式会社として設立され、現在に至るまで舗装材料メーカーと道路建設会社という二つの顔を持つ独特な企業だ。
同社の強みは、長い実績と豊富な経験に裏付けられた施工技術と化学技術が生み出す製品群を両輪とし、その相乗効果と融合により他社と一線を画した独自の発想を深化させてきた点にある。

独立系企業の既成概念にとらわれない自由闊達な土壌が技術革新によるイノベーションを生み、すべてのステークホルダーに最適なソリューションを提案している。
創立前史では、大正時代から道路用アスファルト乳剤の導入に携わり、関東大震災後の復興事業で大きな役割を果たした歴史を持つ。時代を超えて社員一人一人に受け継がれた変化を恐れない革新のDNAが、同社のコア・コンピタンスとなっている。

世紀東急工業株式会社【東急グループ・東証プライム上場】
- 本社: 東京都
- 資本金: 20億円(2024年3月31日現在)
- 売上高: 880億3,700万円(2024年3月)
- 従業員: 995名(2024年3月)
「豊かな地域社会づくりに貢献する生活基盤創造企業」を企業理念とする世紀東急工業株式会社。1950年の創業から70年以上にわたり、高い技術力をもって成長を続け、現在も変化の激しい時代において新たな価値を生み出し続けている。
同社の代表的な技術として、東京・渋谷のスクランブル交差点で採用されている遮熱性舗装「アーバンクール」がある。
路面温度を8~10度程度下げる効果を持つこの技術は、ヒートアイランド現象の解消に貢献している。

また、伊勢神宮や京都御苑の参道では砂利の風味を活かしつつ自然で快適な歩行感を実現する技術を提供するなど、様々なシーンで独自技術を展開している。
災害復興への取り組みも特筆すべき点で、震災発生時には道路復旧を迅速に行うことで支援活動をスムーズにし、多くの災害リスクの軽減に寄与している。
2006年度以降、コロナ禍やウクライナ情勢などの外部環境の影響を受けながらも黒字経営を継続しており、着実な企業経営を礎に社会を支える企業として成長している。
ニチレキ株式会社【東証プライム上場】
- 本社: 東京都
- 資本金: 29億1,968万円
- 売上高: 連結738億3,200万円、単体362億7,800万円(2024年3月実績)
- 従業員: 連結1,383名、単体127名(2024年10月1日現在)
「種を播き、水をやり、花を咲かせて実らせる」を企業理念とし、1943年の創業以来、道路舗装材料のメーカーとして日本の道路づくりを支えてきたニチレキ株式会社。
研究開発型企業として新しいものを創りだし、新しいことに常に挑戦することで社会の発展に寄与している。
1959年に石や砂との接着性が高い乳剤の開発に日本で初めて成功して以来、業界をけん引する存在となっている。水をたまりにくくする排水性舗装や道路の熱を下げる遮熱性舗装、長期にわたって橋を守る防水技術など、ニチレキが中心となって開発した商品は多岐にわたる。

同社の特色は、メーカーという立ち位置から道路そのものを"つくる"部分にも踏み込んでいることだ。
国・地方自治体からの依頼で新設道路や既存道路の改修に関する調査・設計・材料選定といった構想段階の仕事も受注し、グループ内に工事部門を持つため施工も可能。
さらに舗装用の点検機械や施工機械なども自社で開発しており、道路総合システムサービスを展開している。

近年の維持管理重視の時代においても、早期から着目していた修繕に関するノウハウを活かし、長寿命化材料や補修メンテナンス材料で実績を残している。
30年スパンで効能を発揮し続ける橋梁防水材なども開発し、道路、橋梁、空港、港湾、鉄道、公園、スポーツ競技場、駐車場など多彩な分野に技術を提供している。

まとめ
今回紹介した舗装業界大手8社は、それぞれが独自の強みと特色を持ち、日本の道路インフラ整備において重要な役割を担っている。
ENEOSグループのNIPPOから創業95年を超える日本道路、東急グループの世紀東急工業まで、各社が長年にわたって蓄積してきた技術力と実績は、安全で快適な道路環境の実現に大きく貢献している。
特に注目すべきは、各社が環境対策や持続可能な社会の実現に向けた取り組みを積極的に進めていることだ。
遮熱性舗装による温度低減技術、リサイクル材料の活用、長寿命化技術の開発など、時代のニーズに応えた革新的なソリューションが次々と生み出されている。
また、働き方改革やダイバーシティ推進、DX化の促進など、建設業界全体の課題解決に向けた各社の取り組みも印象的です。これらの企業が業界をけん引することで、舗装業界全体の発展と社会貢献が期待される。
参考:https://suik.jp/greport?code=SM000015
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