
首都圏を代表する大都市である横浜や川崎を有し、東京湾沿いには京浜工業地帯、丹沢山地や箱根山などの山間部といった多様な地理的特徴を持つ神奈川県。
土木・建設業界においては、社会インフラ整備、都市開発、海洋土木、防災・減災対策など、多岐にわたるニーズへの対応が求められる。みなとみらい21地区では現在も「HARBOR EDGE PROJECT」などの街区開発が進められるなど、国内でも最先端を走るまちづくりの現場を抱えている。
神奈川県では2017年に「DX・i-Construction推進連絡会」を発足させ、建設現場における生産性を向上させ、魅力ある建設現場を目指すための取り組みをいち早く推進してきた。
2024年にはインフラDXの一環として、「神奈川県3次元点群データ利活用推進会議」を設置し、県内自治体間でのデータ共有をスタートさせた。
本記事では、そんな神奈川の総合土木・建設業界の最前線にいる15社を紹介する。各社の歴史、特徴的な技術、代表的なプロジェクト、そして最新の取り組みなどを詳しく見ていこう。
1966年に設立された工藤建設は、神奈川県横浜市に本社を置く総合建設会社だ。田園都市線の開通や港北ニュータウンの開発など、横浜北部の都市化に合わせて成長を続け、1997年には県内ゼネコンとして初の株式上場(東証二部)を果たした。
建築現場DXの推進として、2023年からは全現場でのリモート施工をスタートさせている。
(画像元:工藤建設WEBサイトより)
株式会社 log build のLog Systemを導入しており、建設現場の360度VR空間化や現場記録のデジタル化などを行なっている。
マンション・集合住宅、介護施設、店舗・オフィス、教育施設などを多数手がけており、公共施設である横浜動物の森公園北入口ゲート棟などの実績も持つ。
また、戸建住宅事業では「KUDOの家」ブランドを展開し、地域に密着した住まいづくりで高い評価を得ていることも特徴だ。
松尾工務店は、1915年の創業以来、「地域社会への貢献」を「マツオスピリット」として発展してきた。
「永遠の品質保証」を掲げており、幅広い分野で積み重ねてきた技術力を誇る。工場の生産性を守る突貫技術力、ビジネスパートナーである専門技術士、職人の育成、アメニティ空間創造力、福祉施設建設で育んだ思いやりのマインド、土木・建設事業を問わない提案力、そしてホテルやロッヂ経営で磨かれたホスピタリティを併せ持つ企業だ。
(画像元:松尾工務店WEBサイトより)
実績はキリンビールの横浜工場リニューアル工事、練馬区牧野記念館の建設、横浜市内の金沢シーサイドライン延伸工事など、実績は多岐にわたる。
1961年設立の京浜不動産を前身とする京急建設は、鉄道事業を基幹として不動産事業やレジャーサービス事業などを幅広く展開する京急グループの一員として、神奈川、東京のまちづくりに貢献してきた。
2021年には、横浜市内にある京急グループ本社ビルに本社機能を移転している。
特徴的な取り組みのひとつとして、2022年に⼥性技術職のみで結成された「京急こまち会」がある。
誰もが働きやすい職場環境づくりの実現などを目的に、⼥性⽤作業着やヘルメットの導⼊、⼥性仮眠所の設置などを進めてきたほか、2024年にはメンバーのみで建築⼯事を担当した京急電機の品川工事事務所新築工事が竣工を迎えた。
(画像元:京急建設WEBサイトより)
建設事業を象徴する実績としては、金沢八景駅駅舎改築工事やかながわ信用金庫横浜営業部新築工事などがある。
土木事業では、ホームドア新設に伴う鉄道土木工事などのほか、歩道橋の改修工事なども手がけている。
また、線路の改修工事や日々の保守点検などを行う軌道事業も京急建設の柱のひとつとなっている。
国土開発工業は、1973年に日本国土開発の重機土工部門が分離独立する形で創業した総合建設企業だ。
国内で初めてリッパー付ブルドーザーや湿地式履帯重機を導入し、国内唯一の被牽引式スクレーパのメーカーとしても業界の先端を走ってきた。
(画像元:国土開発工業WEBサイトより)
建設部門では、神奈川県や近隣の地方自治体発注工事を多数受注し、特に、トンネルリニューアルや橋梁耐震補強の工事では、施工体制を強化して全国展開を進めている。
調査・測量、設計、施工、検査から維持管理までの一連の建設プロセスに、ドローン測量、自動設計、ICT建機による施工、非接触・リモートへの対応、遠隔臨場システムなどを導入しており、建設DXにも積極的だ。
元請工事では、国土交通省、神奈川県、厚木市、NEXCOなどの土木工事の実績を重ねており、道路、河川、下水道、解体・維持修繕工事などを幅広く行なっている。
日飛興産は、1973年に日本飛行機の系列会社として設立された日飛サービスを前身とした企業だ。
在日米海軍からの建設工事を長年請け負っており、その強固な信頼関係に基づいて、米海軍横須賀基地、厚木基地、米陸軍座間基地、米空軍横田基地関係の建設工事の多年度契約を締結している。
(画像元:日飛興産WEBサイトより)
また、川崎重工業、川崎重工グループ企業の施設工事と民間住宅リフォーム事業にも新事業として取り組んでおり、公共工事として神奈川県営住宅の補修工事、民間住宅の防音リフォーム工事なども行なっている。
石田建設は、高度経済成長期の只中である1958年に創業した横浜市の総合建設業者。横浜市、神奈川県、そのほか諸官庁を主な取引先とする公共工事に強みを持つ企業だ。
工事の品質管理、出来形管理、工程管理といった施工監理全般をメインに、安全管理や発注者・関係企業者との折衝業務も行なっている。
(画像元:石田建設WEBサイトより)
近年の実績としては、横浜市から受注した新綱島駅自転車駐車場整備工事、緑園義務教育学校整備工事、栄第一水再生センター水処理施設(第1系列)反応タンク防食等整備工事などが一例として挙げられる。
ウェブサイトでは、土木工事や建設業、地元で技術職に就くことへの社員の思いとメッセージを掲載しており、地元人材の採用にも力を注いでいる。
1953年の創業以来、神奈川県川崎市麻生区を拠点とする生田建設は、三井住友建設をはじめとするゼネコンの専門工事業者として土木工事を行なっている企業だ。
特徴的なのは遺跡工事で、旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古代(奈良、平安時代、安土桃山時代)江戸時代、現代(明治、大正、昭和初期)の発掘調査を行なっている。
(画像元:生田建設WEBサイトより)
地質まで重機による掘削を行ない、その先は人力で作業を進め、出土した遺物を洗浄、接合し、図面作成ののち、PCでデータ処理にかける。
これまで、多摩ニュータウン遺跡調査、旧汐留駅跡地埋蔵文化財発掘調査などの実績がある。
事業の柱である土木工事のフィールドは幅広く、例えば、晴海選手村インフラ工事、新東名谷ケ山トンネル西工事、つくばエクスプレス線の車両基地入出庫線複線化工事などがある。
小俣組は、1922年に東京都内で個人創業した事業をもとに、1944年に神奈川県横浜市に拠点を移して株式会社を組織した歴史を持つ。
実績として、横浜美術館改修工事、横浜市立大学本校舎耐震補強その他工事、県営万騎ヶ原団地公営住宅新築工事などがあり、オフィスビル、住宅、公共施設、教育施設など、幅広い工事を手がけている。
(画像元:小俣組WEBサイトより)
独自のドローン事業を立ち上げており、ドローンスクールの開催のほか、外壁や屋根の調査、施設の点検調査、観光イベント活動などを行なっている。
また、子どもたちに建設業に親しんでもらうためのプロジェクト「こまたリトルスクール」を立ち上げ、神奈川県内の建物図鑑、はたらく車の紹介、工事現場のレポートなどをウェブサイトで発信するほか、現場見学会や出前講座も開催している。
さらに、2004年には介護付有料老人ホーム経営をスタートさせており、従業員数600名ほどのうち500名近くは介護部門に従事している。
こうしたさまざまな取り組みが評価され、2025年6月には、横浜市が推進する「横浜型地域貢献企業」「よこはまグッドバランス企業」「横浜健康経営認証」「Y-SDGs(横浜市SDGs認証制度)」の4つすべてにおいて認証を取得した企業に贈られる「横浜グランドスラム企業」として表彰を受けた注目の企業だ。
センチュリー工業は、1966年に創業し、翌年設立させた丸和土建を前身とする総合建設業者だ。
その後、数度の商号変更を経て、2007年にセンチュリー工業となった。地元横浜を中心に、神奈川県内と東京都内で、土木構造物や建築物の設計・施工を行っている。
公共工事としては、上下水道施設、道路・鉄道施設、河川護岸施設、港湾の防波堤築造などの土木工事や、公営住宅、教育・文化施設の建築工事などを手がける。
直近の実績として、都市計画道路横浜逗子線街路整備工事、都市計画道路横浜逗子線街路整備工事などがある。
また、民間工事では、共同住宅や事務所、工場の建設などを幅広く行なっており、近年では、老人ホームや保育園などの福祉施設の新築工事、改修・メンテナンス工事を数多く行なっている。
東亜建設工業の船舶・鉄工部門が独立し、1978年に別会社となったのが東亜鉄工だ。
東亜建設工業は、「セメント王」の名でも知られる実業家、浅野総一郎氏が1908年に事業を開始した企業で、川崎・鶴見埋立計画の策定によって浅野氏は「京浜埋立の祖」とも呼ばれている。
(画像元:東亜鉄工WEBサイトより)
現在の東亜鉄工は京浜工業地帯の中心に拠点を構え、創業以来の実績を活かして船舶・鉄工事業を柱とした事業を展開している。
2,600m²を越える屋内製作工場と、4,000m²の屋外組立ヤードを保有しており、大型・重量構造の土木構造物をはじめ、多様な鋼構造物の製作と現場設置を行なっている。
また、船舶事業では、船舶の修繕、作業船の建造と改造を手がけているほか、ケーシング事業では、都市下水の施工に使用する鋼製の立坑ケーシングを製作販売している。
1964年に設立された日本都市整備は、横浜市内に本社を構え、神奈川県内では川崎市と相模原市、藤沢市に営業所を構えている。
さらに、東京に2箇所、千葉にも営業所を持つ。1990年には相模鉄道グループの一員となり、その後2011年にはオオバグループ入りをしている。
(画像元:日本都市整備WEBサイトより)
創業以来、神奈川県内を中心に、土地区画整理事業や中・小規模な宅地開発設計に携わるなど、都市計画のコンサルティングや開発設計などの側面から、まちづくりを事業の柱のひとつとしてきた。
近年では、令和4年度ツインシティ関連交通計画策定調査業務、海老名市の住まい・空き家等に関する実態把握業務、そのほか民間企業からの発注では、森戸海岸ホテルプロジェクト、横浜市泉区和泉町駐車場計画に伴う設計協議業務などを行なっている。
ICTを駆使した測量調査の事業も展開しており、公共測量や三次元計測、さまざまな建設事業の計画や施工に必要な調査業務を請け負っている。
自社で土木設計も実施しており、神奈川県内だけでなく、営業所のある千葉県内なども含めて、道路設計、上下水道の耐震化設計、河川護岸設計、橋梁設計などを行っている。
1946年に創業した光洋重機建設は、神奈川県川崎市の重機建設会社だ。
クローラクレーン、杭打機、クラッシュパイラーといった豊富な建設機械と多数の技術者を抱え、直接施工を基本として事業に取り組んでいる。
(画像元:光洋重機建設WEBサイトより)
実施する工事は、基礎杭既製杭コンクリート杭打込工事、基礎杭既製杭鋼管杭打込工事、鋼管矢板(鋼管矢板壁)打込工事、鋼矢板打抜工事、コンクリ-ト矢板打込工事、山留・桟橋工事で、現場の状況などに応じてそれぞれ最適な工法を選択している。
実績として、神奈川県内広域水道企業団から受注して神奈川県伊勢崎市内で行う送水管(大磯系)布設替工事、東京都内でも、日本スポ-ツ振興センタ-から受注して渋谷区と新宿区にまたがって行う下水道千駄ヶ谷幹線敷設工事などがある。
真成開発は、神奈川県内で地盤改良工事を施工することを目的として1989年に創業した。その後、関東全域、中部、北陸、関西地方にも事業エリアを拡大している。
また、2004年からは一般土木工事にも参入し、下水道工事、推進工事、マンホール工事などを手がけている。
(画像元:真成開発WEBサイトより)
地盤改良工事においては、宮崎大学との共同研究により生まれた「土留部材引抜同時充填工法」、軟弱な地盤や水分を多く含む地盤中に薬液を注入し土粒子の間隙を埋める「薬液注入工法」など、複数の専門技術を駆使して工事を行う。
昨年2024年においても、宮城県、群馬県、そして神奈川県など、多数の工事実績がある。
神奈川県横浜市を拠点とする錦海運建設は、1962年に創業した総合建設業者だ。東京湾の起伏式起重機船2基、名古屋港の中継ポンプ台船が稼働中のほか、引き船も複数保有している。
事業は、建設業、港湾施設設置撤去などを行なう港湾荷役業、建設発生土処分業の3本柱で展開している。
(画像元:錦海運建設WEBサイトより)
建設業では、横浜市をはじめとする官公庁発注工事の元請会社として、さらにマリコンや地元企業の協力会社として、港湾、漁港、海岸、河川で工事を展開している。
工事内容は、防波堤工事、護岸工事、桟橋工事、土砂排送工事、河川工事、灯浮標設置工事、沈船撤去工事と多岐にわたる。
実績として、横浜港新本牧護岸のケーソン据付、名古屋港ポートアイランド浚渫土排送、横浜港高島仮設構台鋼管杭打設などがある。
1990年に設立された日本土木建設では、下水道部門、道路部門、鋼構造及びコンクリート部門、そして施工計画・施工設備及び積算部門で国土交通大臣から建設コンサルタント登録を受けている。
そのほかにも、河川砂防および海岸、上下水道および工業用水道、トンネル、土質および基礎、造園、農業土木、森林土木、都市および地方計画、湾岸および空港でそれぞれに工事実績を持つ。
(画像元:日本土木設計WEBサイトより)
また、測量や工事監理、施設点検の業務も請け負っている。
毎年、神奈川県厚木土木事務所や神奈川県県西土木事務所などから表彰を受けており、設立以来、神奈川県内で確かな実績を重ねている企業だ。
土木・建設業界においては、社会インフラ整備、都市開発、海洋土木、防災・減災対策など、多岐にわたるニーズへの対応が求められる。みなとみらい21地区では現在も「HARBOR EDGE PROJECT」などの街区開発が進められるなど、国内でも最先端を走るまちづくりの現場を抱えている。
神奈川県では2017年に「DX・i-Construction推進連絡会」を発足させ、建設現場における生産性を向上させ、魅力ある建設現場を目指すための取り組みをいち早く推進してきた。
2024年にはインフラDXの一環として、「神奈川県3次元点群データ利活用推進会議」を設置し、県内自治体間でのデータ共有をスタートさせた。
本記事では、そんな神奈川の総合土木・建設業界の最前線にいる15社を紹介する。各社の歴史、特徴的な技術、代表的なプロジェクト、そして最新の取り組みなどを詳しく見ていこう。
1. 工藤建設
1966年に設立された工藤建設は、神奈川県横浜市に本社を置く総合建設会社だ。田園都市線の開通や港北ニュータウンの開発など、横浜北部の都市化に合わせて成長を続け、1997年には県内ゼネコンとして初の株式上場(東証二部)を果たした。
建築現場DXの推進として、2023年からは全現場でのリモート施工をスタートさせている。

株式会社 log build のLog Systemを導入しており、建設現場の360度VR空間化や現場記録のデジタル化などを行なっている。
マンション・集合住宅、介護施設、店舗・オフィス、教育施設などを多数手がけており、公共施設である横浜動物の森公園北入口ゲート棟などの実績も持つ。
また、戸建住宅事業では「KUDOの家」ブランドを展開し、地域に密着した住まいづくりで高い評価を得ていることも特徴だ。
2. 松尾工務店
松尾工務店は、1915年の創業以来、「地域社会への貢献」を「マツオスピリット」として発展してきた。
「永遠の品質保証」を掲げており、幅広い分野で積み重ねてきた技術力を誇る。工場の生産性を守る突貫技術力、ビジネスパートナーである専門技術士、職人の育成、アメニティ空間創造力、福祉施設建設で育んだ思いやりのマインド、土木・建設事業を問わない提案力、そしてホテルやロッヂ経営で磨かれたホスピタリティを併せ持つ企業だ。

実績はキリンビールの横浜工場リニューアル工事、練馬区牧野記念館の建設、横浜市内の金沢シーサイドライン延伸工事など、実績は多岐にわたる。
3. 京急建設
1961年設立の京浜不動産を前身とする京急建設は、鉄道事業を基幹として不動産事業やレジャーサービス事業などを幅広く展開する京急グループの一員として、神奈川、東京のまちづくりに貢献してきた。
2021年には、横浜市内にある京急グループ本社ビルに本社機能を移転している。
特徴的な取り組みのひとつとして、2022年に⼥性技術職のみで結成された「京急こまち会」がある。
誰もが働きやすい職場環境づくりの実現などを目的に、⼥性⽤作業着やヘルメットの導⼊、⼥性仮眠所の設置などを進めてきたほか、2024年にはメンバーのみで建築⼯事を担当した京急電機の品川工事事務所新築工事が竣工を迎えた。

建設事業を象徴する実績としては、金沢八景駅駅舎改築工事やかながわ信用金庫横浜営業部新築工事などがある。
土木事業では、ホームドア新設に伴う鉄道土木工事などのほか、歩道橋の改修工事なども手がけている。
また、線路の改修工事や日々の保守点検などを行う軌道事業も京急建設の柱のひとつとなっている。
4. 国土開発工業
国土開発工業は、1973年に日本国土開発の重機土工部門が分離独立する形で創業した総合建設企業だ。
国内で初めてリッパー付ブルドーザーや湿地式履帯重機を導入し、国内唯一の被牽引式スクレーパのメーカーとしても業界の先端を走ってきた。

建設部門では、神奈川県や近隣の地方自治体発注工事を多数受注し、特に、トンネルリニューアルや橋梁耐震補強の工事では、施工体制を強化して全国展開を進めている。
調査・測量、設計、施工、検査から維持管理までの一連の建設プロセスに、ドローン測量、自動設計、ICT建機による施工、非接触・リモートへの対応、遠隔臨場システムなどを導入しており、建設DXにも積極的だ。
元請工事では、国土交通省、神奈川県、厚木市、NEXCOなどの土木工事の実績を重ねており、道路、河川、下水道、解体・維持修繕工事などを幅広く行なっている。
5. 日飛興産
日飛興産は、1973年に日本飛行機の系列会社として設立された日飛サービスを前身とした企業だ。
在日米海軍からの建設工事を長年請け負っており、その強固な信頼関係に基づいて、米海軍横須賀基地、厚木基地、米陸軍座間基地、米空軍横田基地関係の建設工事の多年度契約を締結している。

また、川崎重工業、川崎重工グループ企業の施設工事と民間住宅リフォーム事業にも新事業として取り組んでおり、公共工事として神奈川県営住宅の補修工事、民間住宅の防音リフォーム工事なども行なっている。
6. 石田建設
石田建設は、高度経済成長期の只中である1958年に創業した横浜市の総合建設業者。横浜市、神奈川県、そのほか諸官庁を主な取引先とする公共工事に強みを持つ企業だ。
工事の品質管理、出来形管理、工程管理といった施工監理全般をメインに、安全管理や発注者・関係企業者との折衝業務も行なっている。

近年の実績としては、横浜市から受注した新綱島駅自転車駐車場整備工事、緑園義務教育学校整備工事、栄第一水再生センター水処理施設(第1系列)反応タンク防食等整備工事などが一例として挙げられる。
ウェブサイトでは、土木工事や建設業、地元で技術職に就くことへの社員の思いとメッセージを掲載しており、地元人材の採用にも力を注いでいる。
7. 生田建設
1953年の創業以来、神奈川県川崎市麻生区を拠点とする生田建設は、三井住友建設をはじめとするゼネコンの専門工事業者として土木工事を行なっている企業だ。
特徴的なのは遺跡工事で、旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古代(奈良、平安時代、安土桃山時代)江戸時代、現代(明治、大正、昭和初期)の発掘調査を行なっている。

地質まで重機による掘削を行ない、その先は人力で作業を進め、出土した遺物を洗浄、接合し、図面作成ののち、PCでデータ処理にかける。
これまで、多摩ニュータウン遺跡調査、旧汐留駅跡地埋蔵文化財発掘調査などの実績がある。
事業の柱である土木工事のフィールドは幅広く、例えば、晴海選手村インフラ工事、新東名谷ケ山トンネル西工事、つくばエクスプレス線の車両基地入出庫線複線化工事などがある。
8. 小俣組
小俣組は、1922年に東京都内で個人創業した事業をもとに、1944年に神奈川県横浜市に拠点を移して株式会社を組織した歴史を持つ。
実績として、横浜美術館改修工事、横浜市立大学本校舎耐震補強その他工事、県営万騎ヶ原団地公営住宅新築工事などがあり、オフィスビル、住宅、公共施設、教育施設など、幅広い工事を手がけている。

独自のドローン事業を立ち上げており、ドローンスクールの開催のほか、外壁や屋根の調査、施設の点検調査、観光イベント活動などを行なっている。
また、子どもたちに建設業に親しんでもらうためのプロジェクト「こまたリトルスクール」を立ち上げ、神奈川県内の建物図鑑、はたらく車の紹介、工事現場のレポートなどをウェブサイトで発信するほか、現場見学会や出前講座も開催している。
さらに、2004年には介護付有料老人ホーム経営をスタートさせており、従業員数600名ほどのうち500名近くは介護部門に従事している。
こうしたさまざまな取り組みが評価され、2025年6月には、横浜市が推進する「横浜型地域貢献企業」「よこはまグッドバランス企業」「横浜健康経営認証」「Y-SDGs(横浜市SDGs認証制度)」の4つすべてにおいて認証を取得した企業に贈られる「横浜グランドスラム企業」として表彰を受けた注目の企業だ。
9. センチュリー工業
センチュリー工業は、1966年に創業し、翌年設立させた丸和土建を前身とする総合建設業者だ。
その後、数度の商号変更を経て、2007年にセンチュリー工業となった。地元横浜を中心に、神奈川県内と東京都内で、土木構造物や建築物の設計・施工を行っている。
公共工事としては、上下水道施設、道路・鉄道施設、河川護岸施設、港湾の防波堤築造などの土木工事や、公営住宅、教育・文化施設の建築工事などを手がける。
(動画元:センチュリー工業YouTubeより)
直近の実績として、都市計画道路横浜逗子線街路整備工事、都市計画道路横浜逗子線街路整備工事などがある。
また、民間工事では、共同住宅や事務所、工場の建設などを幅広く行なっており、近年では、老人ホームや保育園などの福祉施設の新築工事、改修・メンテナンス工事を数多く行なっている。
10. 東亜鉄工
東亜建設工業の船舶・鉄工部門が独立し、1978年に別会社となったのが東亜鉄工だ。
東亜建設工業は、「セメント王」の名でも知られる実業家、浅野総一郎氏が1908年に事業を開始した企業で、川崎・鶴見埋立計画の策定によって浅野氏は「京浜埋立の祖」とも呼ばれている。

現在の東亜鉄工は京浜工業地帯の中心に拠点を構え、創業以来の実績を活かして船舶・鉄工事業を柱とした事業を展開している。
2,600m²を越える屋内製作工場と、4,000m²の屋外組立ヤードを保有しており、大型・重量構造の土木構造物をはじめ、多様な鋼構造物の製作と現場設置を行なっている。
また、船舶事業では、船舶の修繕、作業船の建造と改造を手がけているほか、ケーシング事業では、都市下水の施工に使用する鋼製の立坑ケーシングを製作販売している。
11. 日本都市整備
1964年に設立された日本都市整備は、横浜市内に本社を構え、神奈川県内では川崎市と相模原市、藤沢市に営業所を構えている。
さらに、東京に2箇所、千葉にも営業所を持つ。1990年には相模鉄道グループの一員となり、その後2011年にはオオバグループ入りをしている。

創業以来、神奈川県内を中心に、土地区画整理事業や中・小規模な宅地開発設計に携わるなど、都市計画のコンサルティングや開発設計などの側面から、まちづくりを事業の柱のひとつとしてきた。
近年では、令和4年度ツインシティ関連交通計画策定調査業務、海老名市の住まい・空き家等に関する実態把握業務、そのほか民間企業からの発注では、森戸海岸ホテルプロジェクト、横浜市泉区和泉町駐車場計画に伴う設計協議業務などを行なっている。
ICTを駆使した測量調査の事業も展開しており、公共測量や三次元計測、さまざまな建設事業の計画や施工に必要な調査業務を請け負っている。
自社で土木設計も実施しており、神奈川県内だけでなく、営業所のある千葉県内なども含めて、道路設計、上下水道の耐震化設計、河川護岸設計、橋梁設計などを行っている。
12. 光洋重機建設
1946年に創業した光洋重機建設は、神奈川県川崎市の重機建設会社だ。
クローラクレーン、杭打機、クラッシュパイラーといった豊富な建設機械と多数の技術者を抱え、直接施工を基本として事業に取り組んでいる。

実施する工事は、基礎杭既製杭コンクリート杭打込工事、基礎杭既製杭鋼管杭打込工事、鋼管矢板(鋼管矢板壁)打込工事、鋼矢板打抜工事、コンクリ-ト矢板打込工事、山留・桟橋工事で、現場の状況などに応じてそれぞれ最適な工法を選択している。
実績として、神奈川県内広域水道企業団から受注して神奈川県伊勢崎市内で行う送水管(大磯系)布設替工事、東京都内でも、日本スポ-ツ振興センタ-から受注して渋谷区と新宿区にまたがって行う下水道千駄ヶ谷幹線敷設工事などがある。
13. 真成開発
真成開発は、神奈川県内で地盤改良工事を施工することを目的として1989年に創業した。その後、関東全域、中部、北陸、関西地方にも事業エリアを拡大している。
また、2004年からは一般土木工事にも参入し、下水道工事、推進工事、マンホール工事などを手がけている。

地盤改良工事においては、宮崎大学との共同研究により生まれた「土留部材引抜同時充填工法」、軟弱な地盤や水分を多く含む地盤中に薬液を注入し土粒子の間隙を埋める「薬液注入工法」など、複数の専門技術を駆使して工事を行う。
昨年2024年においても、宮城県、群馬県、そして神奈川県など、多数の工事実績がある。
14. 錦海運建設
神奈川県横浜市を拠点とする錦海運建設は、1962年に創業した総合建設業者だ。東京湾の起伏式起重機船2基、名古屋港の中継ポンプ台船が稼働中のほか、引き船も複数保有している。
事業は、建設業、港湾施設設置撤去などを行なう港湾荷役業、建設発生土処分業の3本柱で展開している。

建設業では、横浜市をはじめとする官公庁発注工事の元請会社として、さらにマリコンや地元企業の協力会社として、港湾、漁港、海岸、河川で工事を展開している。
工事内容は、防波堤工事、護岸工事、桟橋工事、土砂排送工事、河川工事、灯浮標設置工事、沈船撤去工事と多岐にわたる。
実績として、横浜港新本牧護岸のケーソン据付、名古屋港ポートアイランド浚渫土排送、横浜港高島仮設構台鋼管杭打設などがある。
15. 日本土木設計
1990年に設立された日本土木建設では、下水道部門、道路部門、鋼構造及びコンクリート部門、そして施工計画・施工設備及び積算部門で国土交通大臣から建設コンサルタント登録を受けている。
そのほかにも、河川砂防および海岸、上下水道および工業用水道、トンネル、土質および基礎、造園、農業土木、森林土木、都市および地方計画、湾岸および空港でそれぞれに工事実績を持つ。

また、測量や工事監理、施設点検の業務も請け負っている。
毎年、神奈川県厚木土木事務所や神奈川県県西土木事務所などから表彰を受けており、設立以来、神奈川県内で確かな実績を重ねている企業だ。
WRITTEN by

國廣 愛佳
創業支援や地域活性を行う都内のまちづくり会社に勤務後、2019年よりフリーランス。紙面やwebサイトの編集、インタビューやコピーライティングなどの執筆を中心に、ジャンルを問わず活動。四国にある築100年の実家をどう生かすかが長年の悩み。
建設土木の未来を
ICTで変えるメディア