水深1,000mを超える富山湾から標高3,000m級の山々が並ぶ立山連峰まで、高低差に富んだダイナミックな地形が特徴的な富山県。
立山連峰からの豊富な水資源を背景に、黒部ダムに代表される大型公共事業も数多く行われている。
土木・建設業界では、道路や都市公園、駅周辺の整備、さらには積雪対策や除雪などの生活インフラ関連に加え、国際拠点港湾「伏木富山港」、防災遺産「立山砂防」、観光地での景観づくり住民協定など、北陸特有の自然条件と特殊な条件に対応する体制が求められる。
一方で、就業者数の減少や高齢化が年々進行しており、ICT活用工事や遠隔臨場、週休2 日工事の試行などによって、人材確保に取り組んでいるところだ。
富山県土木部では、県が取り組む土木事業を紹介し、仕事への理解を促進するため、冊子「とやまの土木 2025 ~富山県の社会資本整備の概要~」を公開している。
また、建設産業の働き方改革や生産性向上を図るため、「富山県建設業バックオフィス業務DX化推進支援事業」を推進するなど、伝統的な土木技術と最新デジタル技術の融合を目指す動きも活発に見られる。
本記事では、そんな富山の総合土木・建設業界の最前線にいる15社を紹介する。各社の歴史、特徴的な技術、代表的なプロジェクト、そして最新の取り組みなどを詳しく見ていこう。
川田工業は、富山本社と東京本社を持ち、鋼構造物のエキスパートとして活躍する企業だ。
1922年に富山県で創業した鉄工所から歴史を歩みはじめ、その後、KTI川田グループとして大きく成長を遂げた。2009年には持ち株会社として川田テクノロジーズを設立して東証1部上場を果たし、2022年には創業100周年を迎えた。
(画像元:川田工業WEBサイトより)
川田工業は、橋梁、鉄構、建築の各事業を展開している。鋼製橋梁では、吊橋として世界一の支間長を誇る明石海峡大橋、台湾新幹線C250工区、東京ゲートブリッジなど数多くのビッグプロジェクトに参画している。
超大型鋼構造物の鉄骨製作から建て方工事まで一貫して行なう建築鉄骨では、六本木ヒルズや東京都庁、東京スカイツリーなどの建設工事に参画した実績がある。
建築では、青銅製立像で世界一の高さを誇る牛久大仏の建設をはじめ、住宅やオフィスなどの工事も手がけている。
また、川田テクノロジーズでは、土木構造物の計画検討や設計、施工に関わる技術計算ソフトウェア・CADのパッケージ販売や橋梁の受託設計など、ICTソリューションサービスも提供するなど、グループ内での連携も大きな特色となっている。
2. 佐藤工業
1862年、富山県で創業した佐藤工業は、黎明期である明治時代に東海道線新設工事や富山市庁舎といった工事を手がけたのち、昭和に株式会社となって以降、長野駅の改築や日本初の高級分譲集合住宅である四谷コーポラスなど、全国、さらには海外へと事業を展開してきた。
(画像元:佐藤工業WEBサイトより)
現在では登記上は富山に本店を置いたまま、東京に本社、2022年には茨城県に自社の技術センターを開設している。
企画、測量、設計、監理、コンサルティング業務などを一貫して請け負う建設工事を事業の柱としており、近年では、静岡県富士山世界遺産センター、シンガポール建築建設庁から表彰を受けたシンガポール地下鉄ベンクーレン駅、ぴあアリーナMM、富山県内ではオリバースポーツフィールド射水などの工事実績がある。
日本海建興は、北陸電力グループの一員として、地元の発展に貢献を続けている総合建設会社だ。
戦後1946年に設立された背景には、前年1945年の空襲で富山市内も大きな被害を受けたものの、復興を目指すにあたって技術ある建設業者が不足していたことから、北陸電力(当時は北陸配電)の社長が中心となって呼びかけて創業したという経緯がある。
建築事業、土木・舗装事業、リニューアル事業の3本柱で事業を展開しており、ニーズの把握や事業性の検討といった調査・企画から、設計、施工、場合によっては建築後の運営や維持管理、さらにリニューアルまでトータルで手がけている。
(画像元:日本海建興WEBサイトより)
建築事業では、公共建築物、学校施設、事務所・工場棟、病院、商業施設など、土木・舗装事業では、河川の護岸工事や砂防工事、下水道・下水処理施設、電力・情報施設、橋の補強整備、トンネル工事、北陸新幹線やライトレール敷設に関わる工事、一般道路や高速道路などの都市空間を作る工事まで手広く行う。
施工実績として、富山県警察機動センター新築工事、富山県建築賞など多数の表彰を受けた高志の国文学館などがある。
砺波工業は、1944年の創業以来、地域密着型の総合建設業を営んでいる。
土木では、富山県内を中心として、ダムや河川の整備、道路や鉄道などのインフラ工事などを手がけている。富山県を象徴する庄川水系や立山などの砂防関連工事も行う。
建築では、国、県、各市町村、公団・公社などからの工事を請け負っており、新砺波体育センター整備事業や砺波チューリップ公園北門(二期)工事などの実績がある。
(画像元:砺波工業WEBサイトより)
創立75周年を機に2019年に新築した本社社屋は、4つの部署すべてがワンフロアに同居する設計として働きやすさや社内での連携の取りやすさを追求している。
また、一角をコミュニティスペースとして地域に開放したり、災害時に住民を受け入れることを想定してさまざまな機能を設けていたり、地元の伝統工芸を内装やインテリアに取り入れるなど、事業そのもの以外でも地域に大きく貢献を続ける企業だ。
1954年創業の塩谷建設は、建築・土木、不動産・住宅、コケ緑化、ウォータージェットという4つの中核事業をベースとして、総合的な企画・提案・施工を行っている。
建築事業の特徴としては、全工事の50%以上を、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建築「ZEB(Net Zero Energy Building)」とすることを目指している。
(画像元:塩谷建設WEBサイトより)
土木工事では、道路、港湾や河川の整備、宅地・企業用地の造成など、あらゆる工事を手がける。
実績として、富山県立大学学生会館新築工事、富山県内の宿泊施設The Hive新築工事、高岡おとぎの森公園 森の橋主塔カバー等取替工事などがある。
また、社員の学びをサポートする目的でe-ラーニングを導入した「SHIOTANI ACADEMY」を設けており、例えば建築部であれば着工から竣工までの書類作成の手順、完成までに関わる専門工事業者などを学び、翌日の業務の予習・復習にも活用できる環境を整えている。
岡部は富山県を代表する総合建設会社のひとつだ。富山と東京を拠点に、土木工事、建築工事、遊具工事を主軸とした事業を展開している。
1943年の創業後、土木工事で地元ゼネコンとして発展を遂げ、事業領域を生コンプラントや建築、遊具へと拡大してきた。
(画像元:岡部WEBサイトより)
実績力、技術力、挑戦力と強みに、富山県内を拠点とする建設会社では唯一、国土交通省北陸地方整備局管内の8箇所の事務所からの受注実績を持つ企業だ。
土木工事では、道路工事、河川工事、砂防工事、法面工事等の公共工事を主としている。建築工事では、公共事業での施設施工から一般の注文住宅建築まで、幅広く設計・施工を手がけており、近年の実績としては富山大学(五福)中央図書館屋上防水等改修工事、平中学校、認定宮川こども園などがある。
また、現場の生産性向上と社内業務の効率化を目的としてDXの導入にも積極的に取り組んでおり、現場業務での作業時間を30%削減するなどの成果を上げている。2025年には経済産業省のDX認定を受けている。
富山駅のほど近くに本社を置く辻建設は、1914年に創業、1950年に株式会社を設立した歴史を持つ。
一級建築士18名、1級建築施工管理技士55名など、有資格者が多数在籍する総合建設会社だ。
(画像元:辻建設WEBサイトより)
建築工事では、設計・施工から、リニューアル、耐震補強工事まで、アフターサービスも含めたトータルサポートを提供している。
富山県知事賞と富山県建築賞(一般の部)優秀賞を受賞した富山県立富山中部高等学校東校舎新築工事をはじめ、南砺市民病院増築、南砺市民病院増築などの実績がある。
北陸エリアをカバーする土木・舗装工事では、洪水や土石流などの自然災害に備えた工事、道路・送水管の新設などを手がける。
さらに、住宅事業、マンション事業、ソーラー事業を展開しており、東京支店を拠点とした関東首都圏エリアも含めて事業を拡大している。
「新しい舞台、建設中。」というユニークな経営理念を掲げる近藤建設は、1938年に創業、1949年に会社設立をした富山市の企業だ。
近年の施工実績として、上滝中学校体育館改築主体工事、立山科学グループ新工場新築工事などがあり、教育施設、オフィス、文化スポーツ施設、医療福祉施設、商業工業施設、住宅と幅広く工事を手がけている。
(画像元:近藤建設WEBサイトより)
若手人材確保に向けた情報発信も積極的に行なっており、SNSでの発信や、各種メディア協力のほか、2015年からは女性が社長に就任していることから、建設業で活躍する女性として座談会に参加するなど、独自の取り組みも行なっている。
2008年に富山市で設立された林建設は、本社に加え、埼玉県の関東支店と東京事業所を構える。
富山湾と立山連峰を有する富山の風土から「堅実、積極、継続」という社是を定めた、地域に根付いた企業だ。
(画像元:林建設WEBサイトより)
公共工事では、国土交通省、富山県、富山市、埼玉県朝霞市等の公共建物の新築・改築・改修・耐震補強工事を広く行っており、2025年の施工実績としては、滑川市総合体育センターアリーナ改修工事、富山県総合体育センター屋外通路舗装工事、富山県警察本部庁舎非常用発電機室新築工事などがある。
また、民間工事では、関西電力、池田製薬工業などの企業を顧客としており、関東支店では学校法人慶應義塾などが顧客となっている。
1875年に富山県魚津市で創業し、150周年を迎えた関口組は、土木・建築・舗装工事業を営む。
すべての仕事に妥協なく取り組むことをモットーとしており、近年では、主要地方道宇奈月大沢野線道路総合交付金函渠工工事、魚津港港湾総合交付金臨港道路北線(新角川橋)耐震補強工事、富山県立魚津高等学校テニスコート整備工事など、多数の実績を積み重ねている。
(画像元:関口組WEBサイトより)
会社ホームページでは、工事の概要や工程表、現場状況報告などを公開していることも特徴的だ。
2025年には、若者が働きやすい職場づくりの取り組む中小企業を認定する厚生労働省の「ユースエール認定企業」に選出されるなど、新卒、中途採用ともに力を注いでいる。
土木、舗装、電気工事に取り組む朝日建設は、1940年の創業から一貫して地域の発展に貢献してきた企業だ。
富山県高岡市で創業したのち、6年後の1946年には富山市で株式会社を設立、戦後復興に力を注いだ歴史を持つ。
(画像元:朝日建設WEBサイトより)
主力事業である舗装工事では、国道・県道・市道・農道、さらに高速道路の舗装工事も施工。
そうした公共工事で培った技術を活かし、駐車場舗装やカーポートの設置など、民間からの依頼も数多く受注している。
土木工事は、道路・施設整備、橋・護岸工事など、幅広い事業を行っており、元請としても多数の実績を重ねている。
また、公共施設から一般住宅まで手がける電気設備工事では、各種照明、空調・衛生設備、情報システムや防災システムなどの設置を行なっている。
公式ホームページでは「コレ見て工事部」というブログを掲載しており、工事の現場レポートや働き方、スタッフの日常など、土木・建設業の魅力発信と人材発掘にも一役買っている。
1937年に創業した森組は、建設工事業、産業廃棄物処理業、宅地建物取引業を営む企業だ。
建設工事業のうち、土木工事では、道路・鉄道・河川・ダム・橋梁・トンネル・港湾などの公共工事から住宅外構工事まで、スケールを問わず幅広い工事を手がけている。
(画像元:森組WEBサイトより)
建築工事では、福光駅東口前広場内施設工事、南砺市統合庁舎整備事業建築主体工事などの実績がある。さらに、大工工事業、とび・土工工事業、管工事業などの専門工事業も行なっている。
1982年に創業した松原建設は、総合建設業を営みながら、関連事業に取り組む4社を含めた松原グループを展開している。
公共インフラ整備、民間工事を行いながら、開発事業、土地区画整理事業などのまちづくり事業も柱としていることが特徴だ。
(画像元:松原建設WEBサイトより)
北陸エリアでも先駆的にi-Constructionの導入を進めた企業のひとつで、施工管理業務や施工方法にICT技術を積極的に取り入れ、品質の向上やステークホルダーへの見える化を進めている。外部発注ではなく、内製化することを推進している。
施工実績として、富山市から発注を受けた第2期呉羽南部企業団地整地(その5)工事、民俗民芸村周辺法面保護工事などがある。
富山県外でも自社開発として、京都府・亀岡市の高野林・小林地区土地区画整理事業などを多数手がけている。
また、社員の平均年齢は約39歳と若手が多く、育児休暇取得率、復帰率ともに100%と働きやすい環境づくりにも取り組んでいる。
資格取得にあたっては受験料や受験に伴う宿泊交通費を全額会社で負担するなど、キャリアアップイメージに沿ってバックアップする体制も整備されている。
1973年に創業したくみあい建設は、JAホームとしても知られる富山県射水市の企業だ。建築、土木の総合設計施工に加え、木造住宅や住宅設備工事などを手がけている。
富山県内のJAのパートナーとして、農業分野で地域の発展に広く貢献してきた。
また、「つなぐ家」をコンセプトとした住宅部門、JAホームでは、大工や左官などの職人の手仕事で富山の厳しい気候にも対応した住宅をつくっている。
(画像元:くみあい建設WEBサイトより)
建築・土木部門では、県内JAのカントリーエレベーターや、ライスセンターなどの農業施設を中心に手がけており、農業施設、事務所、倉庫の建築や改修工事で多数の実績を持つ。
加えて、富山県や射水市が発注する公共事業や商業施設の建築、下水道工事なども行っており、富山県民福祉公園太閤山ランドの遊歩の整備、射水市内の小学校や保育園の建設・改修などを実施してきた。
スター総合建設は、同じく富山県で建築事業に取り組む佐藤工業グループの一員として、1988年に設立された。
設立後、土木系事業を行う佐栄建、機械系事業を行うエス・エム・ケイとそれぞれ合併し、総合建設業へと発展を遂げてきた。
(画像元:スター総合建設WEBサイトより)
新築工事の設計・施工、リフォーム、リニューアル、土木工事、機械製作、据え付けなど、幅広いサービスを提供している。
施工実績として、第40回富山県建築賞を受賞した大庄地区コミュニティセンター、富山市内の企業とグループを構成して取り組む大山地域公共施設複合化事業などがある。
立山連峰からの豊富な水資源を背景に、黒部ダムに代表される大型公共事業も数多く行われている。
土木・建設業界では、道路や都市公園、駅周辺の整備、さらには積雪対策や除雪などの生活インフラ関連に加え、国際拠点港湾「伏木富山港」、防災遺産「立山砂防」、観光地での景観づくり住民協定など、北陸特有の自然条件と特殊な条件に対応する体制が求められる。
一方で、就業者数の減少や高齢化が年々進行しており、ICT活用工事や遠隔臨場、週休2 日工事の試行などによって、人材確保に取り組んでいるところだ。
富山県土木部では、県が取り組む土木事業を紹介し、仕事への理解を促進するため、冊子「とやまの土木 2025 ~富山県の社会資本整備の概要~」を公開している。
また、建設産業の働き方改革や生産性向上を図るため、「富山県建設業バックオフィス業務DX化推進支援事業」を推進するなど、伝統的な土木技術と最新デジタル技術の融合を目指す動きも活発に見られる。
本記事では、そんな富山の総合土木・建設業界の最前線にいる15社を紹介する。各社の歴史、特徴的な技術、代表的なプロジェクト、そして最新の取り組みなどを詳しく見ていこう。
1. 川田工業
川田工業は、富山本社と東京本社を持ち、鋼構造物のエキスパートとして活躍する企業だ。
1922年に富山県で創業した鉄工所から歴史を歩みはじめ、その後、KTI川田グループとして大きく成長を遂げた。2009年には持ち株会社として川田テクノロジーズを設立して東証1部上場を果たし、2022年には創業100周年を迎えた。
(画像元:川田工業WEBサイトより)川田工業は、橋梁、鉄構、建築の各事業を展開している。鋼製橋梁では、吊橋として世界一の支間長を誇る明石海峡大橋、台湾新幹線C250工区、東京ゲートブリッジなど数多くのビッグプロジェクトに参画している。
超大型鋼構造物の鉄骨製作から建て方工事まで一貫して行なう建築鉄骨では、六本木ヒルズや東京都庁、東京スカイツリーなどの建設工事に参画した実績がある。
建築では、青銅製立像で世界一の高さを誇る牛久大仏の建設をはじめ、住宅やオフィスなどの工事も手がけている。
また、川田テクノロジーズでは、土木構造物の計画検討や設計、施工に関わる技術計算ソフトウェア・CADのパッケージ販売や橋梁の受託設計など、ICTソリューションサービスも提供するなど、グループ内での連携も大きな特色となっている。
2. 佐藤工業
1862年、富山県で創業した佐藤工業は、黎明期である明治時代に東海道線新設工事や富山市庁舎といった工事を手がけたのち、昭和に株式会社となって以降、長野駅の改築や日本初の高級分譲集合住宅である四谷コーポラスなど、全国、さらには海外へと事業を展開してきた。
(画像元:佐藤工業WEBサイトより)現在では登記上は富山に本店を置いたまま、東京に本社、2022年には茨城県に自社の技術センターを開設している。
企画、測量、設計、監理、コンサルティング業務などを一貫して請け負う建設工事を事業の柱としており、近年では、静岡県富士山世界遺産センター、シンガポール建築建設庁から表彰を受けたシンガポール地下鉄ベンクーレン駅、ぴあアリーナMM、富山県内ではオリバースポーツフィールド射水などの工事実績がある。
3. 日本海建興
日本海建興は、北陸電力グループの一員として、地元の発展に貢献を続けている総合建設会社だ。
戦後1946年に設立された背景には、前年1945年の空襲で富山市内も大きな被害を受けたものの、復興を目指すにあたって技術ある建設業者が不足していたことから、北陸電力(当時は北陸配電)の社長が中心となって呼びかけて創業したという経緯がある。
建築事業、土木・舗装事業、リニューアル事業の3本柱で事業を展開しており、ニーズの把握や事業性の検討といった調査・企画から、設計、施工、場合によっては建築後の運営や維持管理、さらにリニューアルまでトータルで手がけている。
(画像元:日本海建興WEBサイトより)建築事業では、公共建築物、学校施設、事務所・工場棟、病院、商業施設など、土木・舗装事業では、河川の護岸工事や砂防工事、下水道・下水処理施設、電力・情報施設、橋の補強整備、トンネル工事、北陸新幹線やライトレール敷設に関わる工事、一般道路や高速道路などの都市空間を作る工事まで手広く行う。
施工実績として、富山県警察機動センター新築工事、富山県建築賞など多数の表彰を受けた高志の国文学館などがある。
4. 砺波工業
砺波工業は、1944年の創業以来、地域密着型の総合建設業を営んでいる。
土木では、富山県内を中心として、ダムや河川の整備、道路や鉄道などのインフラ工事などを手がけている。富山県を象徴する庄川水系や立山などの砂防関連工事も行う。
建築では、国、県、各市町村、公団・公社などからの工事を請け負っており、新砺波体育センター整備事業や砺波チューリップ公園北門(二期)工事などの実績がある。
(画像元:砺波工業WEBサイトより)創立75周年を機に2019年に新築した本社社屋は、4つの部署すべてがワンフロアに同居する設計として働きやすさや社内での連携の取りやすさを追求している。
また、一角をコミュニティスペースとして地域に開放したり、災害時に住民を受け入れることを想定してさまざまな機能を設けていたり、地元の伝統工芸を内装やインテリアに取り入れるなど、事業そのもの以外でも地域に大きく貢献を続ける企業だ。
5. 塩谷建設
1954年創業の塩谷建設は、建築・土木、不動産・住宅、コケ緑化、ウォータージェットという4つの中核事業をベースとして、総合的な企画・提案・施工を行っている。
建築事業の特徴としては、全工事の50%以上を、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建築「ZEB(Net Zero Energy Building)」とすることを目指している。
(画像元:塩谷建設WEBサイトより)土木工事では、道路、港湾や河川の整備、宅地・企業用地の造成など、あらゆる工事を手がける。
実績として、富山県立大学学生会館新築工事、富山県内の宿泊施設The Hive新築工事、高岡おとぎの森公園 森の橋主塔カバー等取替工事などがある。
また、社員の学びをサポートする目的でe-ラーニングを導入した「SHIOTANI ACADEMY」を設けており、例えば建築部であれば着工から竣工までの書類作成の手順、完成までに関わる専門工事業者などを学び、翌日の業務の予習・復習にも活用できる環境を整えている。
6. 岡部
岡部は富山県を代表する総合建設会社のひとつだ。富山と東京を拠点に、土木工事、建築工事、遊具工事を主軸とした事業を展開している。
1943年の創業後、土木工事で地元ゼネコンとして発展を遂げ、事業領域を生コンプラントや建築、遊具へと拡大してきた。
(画像元:岡部WEBサイトより)実績力、技術力、挑戦力と強みに、富山県内を拠点とする建設会社では唯一、国土交通省北陸地方整備局管内の8箇所の事務所からの受注実績を持つ企業だ。
土木工事では、道路工事、河川工事、砂防工事、法面工事等の公共工事を主としている。建築工事では、公共事業での施設施工から一般の注文住宅建築まで、幅広く設計・施工を手がけており、近年の実績としては富山大学(五福)中央図書館屋上防水等改修工事、平中学校、認定宮川こども園などがある。
また、現場の生産性向上と社内業務の効率化を目的としてDXの導入にも積極的に取り組んでおり、現場業務での作業時間を30%削減するなどの成果を上げている。2025年には経済産業省のDX認定を受けている。
7. 辻建設
富山駅のほど近くに本社を置く辻建設は、1914年に創業、1950年に株式会社を設立した歴史を持つ。
一級建築士18名、1級建築施工管理技士55名など、有資格者が多数在籍する総合建設会社だ。
(画像元:辻建設WEBサイトより)建築工事では、設計・施工から、リニューアル、耐震補強工事まで、アフターサービスも含めたトータルサポートを提供している。
富山県知事賞と富山県建築賞(一般の部)優秀賞を受賞した富山県立富山中部高等学校東校舎新築工事をはじめ、南砺市民病院増築、南砺市民病院増築などの実績がある。
北陸エリアをカバーする土木・舗装工事では、洪水や土石流などの自然災害に備えた工事、道路・送水管の新設などを手がける。
さらに、住宅事業、マンション事業、ソーラー事業を展開しており、東京支店を拠点とした関東首都圏エリアも含めて事業を拡大している。
8. 近藤建設
「新しい舞台、建設中。」というユニークな経営理念を掲げる近藤建設は、1938年に創業、1949年に会社設立をした富山市の企業だ。
近年の施工実績として、上滝中学校体育館改築主体工事、立山科学グループ新工場新築工事などがあり、教育施設、オフィス、文化スポーツ施設、医療福祉施設、商業工業施設、住宅と幅広く工事を手がけている。
(画像元:近藤建設WEBサイトより)若手人材確保に向けた情報発信も積極的に行なっており、SNSでの発信や、各種メディア協力のほか、2015年からは女性が社長に就任していることから、建設業で活躍する女性として座談会に参加するなど、独自の取り組みも行なっている。
9. 林建設
2008年に富山市で設立された林建設は、本社に加え、埼玉県の関東支店と東京事業所を構える。
富山湾と立山連峰を有する富山の風土から「堅実、積極、継続」という社是を定めた、地域に根付いた企業だ。
(画像元:林建設WEBサイトより)公共工事では、国土交通省、富山県、富山市、埼玉県朝霞市等の公共建物の新築・改築・改修・耐震補強工事を広く行っており、2025年の施工実績としては、滑川市総合体育センターアリーナ改修工事、富山県総合体育センター屋外通路舗装工事、富山県警察本部庁舎非常用発電機室新築工事などがある。
また、民間工事では、関西電力、池田製薬工業などの企業を顧客としており、関東支店では学校法人慶應義塾などが顧客となっている。
10. 関口組
1875年に富山県魚津市で創業し、150周年を迎えた関口組は、土木・建築・舗装工事業を営む。
すべての仕事に妥協なく取り組むことをモットーとしており、近年では、主要地方道宇奈月大沢野線道路総合交付金函渠工工事、魚津港港湾総合交付金臨港道路北線(新角川橋)耐震補強工事、富山県立魚津高等学校テニスコート整備工事など、多数の実績を積み重ねている。
(画像元:関口組WEBサイトより)会社ホームページでは、工事の概要や工程表、現場状況報告などを公開していることも特徴的だ。
2025年には、若者が働きやすい職場づくりの取り組む中小企業を認定する厚生労働省の「ユースエール認定企業」に選出されるなど、新卒、中途採用ともに力を注いでいる。
11. 朝日建設
土木、舗装、電気工事に取り組む朝日建設は、1940年の創業から一貫して地域の発展に貢献してきた企業だ。
富山県高岡市で創業したのち、6年後の1946年には富山市で株式会社を設立、戦後復興に力を注いだ歴史を持つ。
(画像元:朝日建設WEBサイトより)主力事業である舗装工事では、国道・県道・市道・農道、さらに高速道路の舗装工事も施工。
そうした公共工事で培った技術を活かし、駐車場舗装やカーポートの設置など、民間からの依頼も数多く受注している。
土木工事は、道路・施設整備、橋・護岸工事など、幅広い事業を行っており、元請としても多数の実績を重ねている。
また、公共施設から一般住宅まで手がける電気設備工事では、各種照明、空調・衛生設備、情報システムや防災システムなどの設置を行なっている。
公式ホームページでは「コレ見て工事部」というブログを掲載しており、工事の現場レポートや働き方、スタッフの日常など、土木・建設業の魅力発信と人材発掘にも一役買っている。
12. 森組
1937年に創業した森組は、建設工事業、産業廃棄物処理業、宅地建物取引業を営む企業だ。
建設工事業のうち、土木工事では、道路・鉄道・河川・ダム・橋梁・トンネル・港湾などの公共工事から住宅外構工事まで、スケールを問わず幅広い工事を手がけている。
(画像元:森組WEBサイトより)建築工事では、福光駅東口前広場内施設工事、南砺市統合庁舎整備事業建築主体工事などの実績がある。さらに、大工工事業、とび・土工工事業、管工事業などの専門工事業も行なっている。
13. 松原建設
1982年に創業した松原建設は、総合建設業を営みながら、関連事業に取り組む4社を含めた松原グループを展開している。
公共インフラ整備、民間工事を行いながら、開発事業、土地区画整理事業などのまちづくり事業も柱としていることが特徴だ。
(画像元:松原建設WEBサイトより)北陸エリアでも先駆的にi-Constructionの導入を進めた企業のひとつで、施工管理業務や施工方法にICT技術を積極的に取り入れ、品質の向上やステークホルダーへの見える化を進めている。外部発注ではなく、内製化することを推進している。
施工実績として、富山市から発注を受けた第2期呉羽南部企業団地整地(その5)工事、民俗民芸村周辺法面保護工事などがある。
富山県外でも自社開発として、京都府・亀岡市の高野林・小林地区土地区画整理事業などを多数手がけている。
また、社員の平均年齢は約39歳と若手が多く、育児休暇取得率、復帰率ともに100%と働きやすい環境づくりにも取り組んでいる。
資格取得にあたっては受験料や受験に伴う宿泊交通費を全額会社で負担するなど、キャリアアップイメージに沿ってバックアップする体制も整備されている。
14. くみあい建設
1973年に創業したくみあい建設は、JAホームとしても知られる富山県射水市の企業だ。建築、土木の総合設計施工に加え、木造住宅や住宅設備工事などを手がけている。
富山県内のJAのパートナーとして、農業分野で地域の発展に広く貢献してきた。
また、「つなぐ家」をコンセプトとした住宅部門、JAホームでは、大工や左官などの職人の手仕事で富山の厳しい気候にも対応した住宅をつくっている。
(画像元:くみあい建設WEBサイトより)建築・土木部門では、県内JAのカントリーエレベーターや、ライスセンターなどの農業施設を中心に手がけており、農業施設、事務所、倉庫の建築や改修工事で多数の実績を持つ。
加えて、富山県や射水市が発注する公共事業や商業施設の建築、下水道工事なども行っており、富山県民福祉公園太閤山ランドの遊歩の整備、射水市内の小学校や保育園の建設・改修などを実施してきた。
15. スター総合建設
スター総合建設は、同じく富山県で建築事業に取り組む佐藤工業グループの一員として、1988年に設立された。
設立後、土木系事業を行う佐栄建、機械系事業を行うエス・エム・ケイとそれぞれ合併し、総合建設業へと発展を遂げてきた。
(画像元:スター総合建設WEBサイトより)新築工事の設計・施工、リフォーム、リニューアル、土木工事、機械製作、据え付けなど、幅広いサービスを提供している。
施工実績として、第40回富山県建築賞を受賞した大庄地区コミュニティセンター、富山市内の企業とグループを構成して取り組む大山地域公共施設複合化事業などがある。
WRITTEN by
國廣 愛佳
創業支援や地域活性を行う都内のまちづくり会社に勤務後、2019年よりフリーランス。紙面やwebサイトの編集、インタビューやコピーライティングなどの執筆を中心に、ジャンルを問わず活動。四国にある築100年の実家をどう生かすかが長年の悩み。
建設土木のICT活用など、
デジコンからの最新情報をメールでお届けします