コラム・特集
國廣 愛佳 2026.7.9
測量アプリの現在地 〜 現場で使える?最新事例を紹介【連載記事】

【ワンマン測量】とは?自動追尾型TSやスマホで測量を簡単&効率的に!

CONTENTS
  1. そもそもワンマン測量とは?
  2. ワンマン測量のメリット・デメリット
    1. あらためて、メリットは?
    2. 残っている課題
  3. なぜ1人でできるのか?後方交会法という仕組みと杭ナビの位置づけ
    1. 従来の位置出し:機械点設置
    2. 自動追尾TSが使う「後方交会法」
    3. 杭ナビ:後方交会法を「杭打ち」に使いやすくした専用機
  4. ワンマン測量ができる測量機器の選び方
    1. スマホでのmm精度測量も可能に
  5. 実は測量には「4つの領域」がある ― 精度とコスト・難易度のマトリクス
  6. mm精度のワンマン測量が可能なスマホ測量「OPTiM Geo Scan」
    1. あわせて読みたい記事
精度を求められる測量作業。自動視準・自動追尾機能を備えた測量機器の登場によって可能になったのが、1人で測量を行ういわゆるワンマン測量だ。

今回は、これからの土木・建設現場において、近年、ニーズが高まるワンマン測量のメリットと、必要な測量機器について見ていく。

そもそもワンマン測量とは?


一般的な測量は、器械を操作するオペレーターと、観測ポイントに立つ作業者の2人体制で行われる。プリズムをどこに立てるか、器械側からの声かけやジェスチャーで細かく位置調整をしながら進めるため、息を合わせる手間や、離れた場所への伝達ロスがつきものだった。

国土地理院webサイトより https://www.gsi.go.jp/kohokocho/koho672-top.html)

ワンマン測量とは、自動視準・自動追尾機能を備えた測量機器を使うことで、この2人体制を1人に集約する測量方法だ。トータルステーション(TS)がプリズムを自動で追尾し、角度と距離を継続的に計測し続けるため、器械側に人を張り付けておく必要がなくなる。

導入によって得られるメリットは多岐にわたる。

  • 人件費・人員調整の負担が減る(2人体制→1人体制)
  • 天候や現場のスケジュール調整がしやすくなる
  • 騒音の大きい環境でも、声かけに頼らず作業できる
  • 長距離での測量でも、コミュニケーションロスが起きにくい
  • 建設業界の慢性的な人手不足への対応策になる

ここまでは、多くの現場ですでに実感されている一般的なメリットだ。ただし、実際に導入・運用する段になると、良いことばかりではない。次の章では、ワンマン測量ならではの残る課題も含めて整理する。

ワンマン測量のメリット・デメリット


自動追尾TSは「視準の手間」――器械側の人がプリズムを目視で追いかけて狙いを定める作業――を自動化したという点で、たしかに画期的だ。

しかし、精度を安定して出し続けるための段取りという観点では、まだ残っている手間がある。良さを認めつつ、導入前に知っておきたい課題も整理しておく。

あらためて、メリットは?


視準の自動化によって、位置出しや杭打ちにかかる拘束人員をおおむね半分に減らせる点が最大の利点だ。加えて、1人で作業が完結できることで、作業者のスケジュール調整がしやすくなり、急な人員の欠けにも対応しやすくなる。

声を張り上げてのやり取りが不要になるため、騒音の大きい現場や、離れた地点間での測量でも作業品質が安定しやすくなる。

残っている課題


  • 据替え・盛替えの手間:測定範囲外の点を測る場合や、建物・重機で視通が遮られる場合には、器械を別の位置に移動して据え直す「据替え・盛替え」が発生する。現場が広くなるほど、この作業の発生頻度は上がる。
  • 後方交会法の配置条件:器械の設置精度は、後視点(既知点)の配置に大きく左右される。後視点同士の夾角がおおむね90〜120度に収まっているか、基準点間の距離が適切かなど、条件を外れた配置では精度が落ちてしまう。
  • 視準ロスト時の再対応:プリズムが障害物の陰に入るなどして自動追尾が途切れると、再度視準をやり直す必要があり、その間は作業が止まる。
  • 始業前点検の重要性:画面上の誤差表示が一見ゼロに見えても、始業前点検を怠っていると、実際の精度が保証されないケースがある。

こうした課題は、自動追尾TS・杭ナビを実際の現場で使う中でよく聞かれる声だ。より詳しい内容は、以下の記事でも解説している。


「1人でできるようになったこと」と「精度を安定して出し続けられること」は、実はイコールではない。次の章では、なぜ1人での測量が成立するのか、その仕組みを整理してみる。

なぜ1人でできるのか?後方交会法という仕組みと杭ナビの位置づけ


(国土地理院webサイトより https://www.gsi.go.jp/kidou/TS.html)

ワンマン測量が成立する背景には、「器械をどこに、どうやって据えるか」という測量方法そのものの工夫がある。ここは、測量方法(後方交会法)と機械(自動追尾TS・杭ナビ)を混同しやすいポイントなので、役割を分けて整理する。

従来の位置出し:機械点設置


トータルステーションを使った位置出しでは、従来、あらかじめ座標が分かっている基準点の真上に器械を正確に据え付ける方法が一般的だった。

器械の据付位置そのものが基準点に縛られるため、現場条件によっては据付作業自体に手間と時間がかかる。また、器械を据える人と観測点に立つ人の2人が必要になるのは、この据付作業を人手で正確に行う必要があるためだ。

自動追尾TSが使う「後方交会法」


自動追尾TSの多くは、基準点の“上”に器械を置く必要がない後方交会法という設置方法を可能にしている。周囲の既知点(後視点)を2点観測することで、器械自身が自分の位置を計算・確定させる仕組みだ。これにより、器械の据付場所を現場の都合に合わせて自由に選べるようになり、位置出しにかかる人手を1人に減らすことが可能になった。

杭ナビ:後方交会法を「杭打ち」に使いやすくした専用機


杭ナビ(レイアウトナビゲーター)は、この自動追尾TSの中でも、位置出し・杭打ち・墨出し作業に機能を絞り込んだ専用機だ。器械設置(後方交会)から、後視点の観測、誘導画面を見ながらの杭打ちまでの一連の流れを、汎用的な自動追尾TSよりもシンプルな操作で、1人で完結できるように設計されている。

杭打ちの具体的な手順や、後方交会法での器械設置の注意点は、以下の記事で詳しく解説している。


ワンマン測量ができる測量機器の選び方


ワンマン測量を実現する機器として、現在最も広く使われているのが、自動視準・自動追尾機能を備えたトータルステーション(TS)、そして位置出し・杭打ちに特化した杭ナビだ。導入を検討する際は、次のポイントを確認しておくとよいだろう。

  • 測距精度の高さ:座標精度がミリ単位かセンチ単位かで、対応できる用途が変わってくる
  • プリズム追尾性能:追尾できる距離・速度、視準をロストした際の再捕捉のしやすさ
  • Bluetooth通信距離:器械と誘導端末(コントローラーやスマートフォン)の通信が安定する範囲
  • 防塵・防水機能:屋外の建設現場で使い続けるための耐久性


スマホでのmm精度測量も可能に


2020年には、オプティム社がスマートフォン向けアプリOPTiM Geo Scan」をリリースし、TS以外の選択肢としてワンマン測量の幅が広がった。

従来のTS機器は初期コストが高く、操作技術の習得にも一定の時間がかかる点が導入のハードルになっていたが、スマートフォンをベースにした測量という新しいアプローチが登場したことで、コストと習熟のハードルを下げる動きが進んでいる。

実は測量には「4つの領域」がある ― 精度とコスト・難易度のマトリクス


ここまで紹介してきた自動追尾TS・杭ナビは、たしかにワンマン測量を実現する優れた機器だ。だが、測量業界全体を見渡すと、これらはまだ「一部の選択肢」に過ぎない。測量方法を「精度」と「コスト・難易度」の2軸で整理すると、下図のように4つの領域に分けられる。


  • 左上(自動追尾TS):これまで紹介してきた自動追尾TS・杭ナビは、高精度ではあるものの、導入コストが高く、操作の習熟にも一定の時間がかかる領域にとどまる。
  • 右下(OPTiM社以外のスマホ測量:手間もコストも抑えられている一方、精度面では妥協が必要になりがち。
  • 右上(OPTiM Geo Scan):高精度でありながら、リーズナブルかつ簡単に使えるのが、この右上の領域だ。

つまり、この記事でここまで解説してきた杭ナビ・自動追尾TSによるワンマン測量は、精度は高いものの「左上」の領域の話だった。実は、精度もコスト・使いやすさも両立できる「右上」の選択肢が、すでに存在している。

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mm精度のワンマン測量が可能なスマホ測量「OPTiM Geo Scan」


LiDARセンサー搭載スマートフォンとGNSSレシーバーを組み合わせた「OPTiM Geo Scan」。杭打ち・位置出しといった単点測量も3次元測量と同様に、mm精度での測量が可能だ。

杭ナビや自動追尾TSと同じく「1点ずつ精度良く測る」という用途に、器械の据付や後方交会法なしで対応でき、国土地理院の直角座標系に対応。次のような特長がある。

  • GNSS測量(単点)でミリ精度の位置出しが可能
  • 器械の据付・後方交会法での後視点配置が不要
  • iPhone 12 Pro/Pro MAX以降で動作し、ゼネコン・中小建設会社での導入実績あり

杭ナビや自動追尾TSは優れた機器だが、据替え・盛替えや後方交会法の配置条件など、精度を保つための段取りがどうしても必要だった。OPTiM Geo Scanは、その段取りの多くを省略しながら、mm精度の単点測量を実現する。

手間をかけずにmm精度を出したい方、杭ナビや自動追尾TSの次の一手を探している方は、ぜひ詳細資料を確認してほしい。

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WRITTEN by

國廣 愛佳

創業支援や地域活性を行う都内のまちづくり会社に勤務後、2019年よりフリーランス。紙面やwebサイトの編集、インタビューやコピーライティングなどの執筆を中心に、ジャンルを問わず活動。四国にある築100年の実家をどう生かすかが長年の悩み。

建設土木のICT活用など、
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