公共工事の現場代理人や監理技術者であれば、「NETIS(ネティス)」という言葉を聞かない日はないだろう。
国土交通省は令和2年度(2020年度)から、直轄工事においてNETIS登録技術の活用を「原則義務化」している(令和5年度に一部改定)。
つまり、公共工事でNETIS技術を使うことは「できれば良い」ではなく、今や「原則として必須」なのである。
(画像元:近畿地方整備局近畿技術事務所 NETISについて資料より)
その中で、カタログや技術提案書を見ると、登録番号の末尾に「-A」「-VE」といった記号がついていることに気づくはずだ。特に注目すべきなのが「-VE」である。
これは単なる記号の違いではない。現場にとって「書類作成の手間が激減する」かつ「安定した加点が見込める」という、実務上の大きなメリットを意味している。
本記事では、国交省の実施要領に基づき、NETIS記号の意味、VE評価のメリット、そして見落としがちな「上位ランク技術」による入札戦略までを徹底解説する。
NETIS(New Technology Information System:新技術情報提供システム)とは、国土交通省が運用する、公共工事に関する新技術のデータベースである。
このシステムの目的は、民間事業者が開発した有用な新技術を公共工事で積極的に活用し、情報の共有を図ることにある。
技術が登録されると、「KK-230099-A」 のようなNETIS登録番号が付与される。この番号は以下のルールで構成されている。
(画像元:近畿地方整備局近畿技術事務所 NETISについて資料より)
今回解説する「VE」などは、この末尾の「情報種別記号」にあたる。
NETISに登録された技術は、活用実績や評価の進捗によって、末尾の記号(サフィックス)が変化していく。
新規登録されたばかりの技術は、まず「-A」が付与される。まだ公的な事後評価が行われていない段階であり、これから現場での活用実績を積み上げていくフェーズにある。
現場で活用され、事後評価が行われたものの、「さらに継続的な調査が必要」と判断された技術である。一定の効果は認められているが、まだデータ収集が必要な段階と言える。
これが本記事のテーマである。「評価済み技術のうち、継続調査不要の技術」を指す。
活用効果評価を実施した技術のうち、継続調査等が不要と判断された技術に付与される。
十分な活用実績があり、国から「技術として確立されており、これ以上の追跡調査は不要」とお墨付きを得た状態である。
NETISでの掲載期間が終了した技術である 。
掲載期限(原則10年)を過ぎると、NETISのデータベース上の情報は非公開となり、検索ができなくなる。
期限終了後も技術自体は使えるが、NETIS上の「新技術」としての扱いは終わり、一般的な「従来技術」として扱われる。
国土交通省では「VE」評価を受けた技術の中から、特に優れたものを「有用な新技術」として選定し、活用のさらなる促進を図っている。
ちなみに、「有用な新技術」には、具体的に以下の区分がある。
画期的な技術として、本省の「新技術活用スキーム検討会議」が選定したもの 。
特定の地域で普及しており全国展開が有益な技術や、特定の性能が優れているとして、各地方整備局の評価会議が指定したもの。
これらも同様に、総合評価落札方式での積極的な評価や、工事成績評定での加点対象となる。
なぜ、現場監督は「-A」ではなく「-VE」を選びたがるのか? その理由は「書類削減」と「確実な加点」にある。
通常、NETIS技術を公共工事で活用した場合、以下の書類提出が求められる。
しかし、活用する技術が「-VE」であった場合、事後の「実施報告書」および「活用効果調査表」の作成・提出は不要となる。
-VE技術は、すでに評価済みで継続調査不要とされているため、現場からの報告義務が免除されるのだ。多忙な竣工間際の事務負担を大幅に軽減できる。
NETIS活用による加点計算は少し複雑だ。
工事成績評定でNETIS技術を評価するのは「主任技術評価官」であり、最大加点数は2点とされている。さらに、その持ち点は全体の配点のうち40%であるため、実際の「実加点」は以下の計算になる。
《 評価の目安(近畿地方整備局資料等の例) 》

※「有用な技術」とは、推奨技術、準推奨技術、活用促進技術などを指す。
一見すると-Aでも-VEでも点数は同じに見えるかもしれない。
しかし、「-A(未評価)」の技術で「相当程度(2点)」の効果を認めてもらうには、飛躍的な施工効率化などの強力な根拠資料が必要になる。
一方、「-VE」技術であれば、安定した効果がすでに認められているため、「一定程度」以上の評価を確実に得やすい背景がある。
つまり、-VE技術を選ぶことは、少ない労力で着実に「0.8点」の実加点を積み上げるための近道なのだ。
本記事で解説した「VE評価」のメリットを最大限に享受できるツールがある。
それが、iPhoneのLiDARセンサを活用して測量ができる1人測量アプリ「OPTiM Geo Scan」だ。

実は、この「OPTiM Geo Scan」もNETIS VE評価(KK-210065-VE)を取得しているアプリである。これが現場にとっていかに強力な武器になるか、もうお分かりだろう。
Geo Scanを導入すれば、現場での測量作業がスマホ一つで完結する。それだけでも画期的だが、VE評価技術であるため、活用後の「実施報告書」や「活用効果調査表」の作成も不要となる。

ただでさえ忙しい現場において、「測量の手間」と「提出書類の手間」を同時に削減できる。まさに現場のためにあるような技術だ。
従来、加点対象となるような高度な測量には、専門知識や高価な機材が必要だった。
しかし、Geo Scanなら手持ちのiPhoneやiPadにアプリを入れるだけでいい。

「VE技術」としての信頼性に加え、誰でも高精度な点群データを取得できる操作性。このツールを選ぶことは、工事成績評定での加点を確実にしつつ、現場の働き方改革を一気に進める「最短ルート」と言えるだろう。
NETISにおける「VE」評価とは、国の厳格なプロセスを経て信頼性が確立された技術の証である。現場の技術者にとって、そのメリットは以下の点に集約される。
国土交通省による活用の原則義務化が進む中、どの技術を採用すべきか迷ったときは、登録番号の末尾を確認してほしい。
「-VE」がついている技術を選ぶことは、品質の確保だけでなく、現場の事務作業負担を軽減する「働き方改革」にも直結する賢い選択なのだ。
国土交通省は令和2年度(2020年度)から、直轄工事においてNETIS登録技術の活用を「原則義務化」している(令和5年度に一部改定)。
つまり、公共工事でNETIS技術を使うことは「できれば良い」ではなく、今や「原則として必須」なのである。
(画像元:近畿地方整備局近畿技術事務所 NETISについて資料より)その中で、カタログや技術提案書を見ると、登録番号の末尾に「-A」「-VE」といった記号がついていることに気づくはずだ。特に注目すべきなのが「-VE」である。
これは単なる記号の違いではない。現場にとって「書類作成の手間が激減する」かつ「安定した加点が見込める」という、実務上の大きなメリットを意味している。
本記事では、国交省の実施要領に基づき、NETIS記号の意味、VE評価のメリット、そして見落としがちな「上位ランク技術」による入札戦略までを徹底解説する。
1. そもそも「NETIS」とは?
NETIS(New Technology Information System:新技術情報提供システム)とは、国土交通省が運用する、公共工事に関する新技術のデータベースである。
NETISの目的と仕組み
このシステムの目的は、民間事業者が開発した有用な新技術を公共工事で積極的に活用し、情報の共有を図ることにある。
技術が登録されると、「KK-230099-A」 のようなNETIS登録番号が付与される。この番号は以下のルールで構成されている。
(画像元:近畿地方整備局近畿技術事務所 NETISについて資料より)- KK:登録した整備局(例:近畿地方整備局)
- 24:登録年度(2024年度)
- 0099:その年度の登録順番号
- A:情報種別記号(評価の状態を表す)
今回解説する「VE」などは、この末尾の「情報種別記号」にあたる。
2. 記号でわかる「技術の信頼度」と「期限」
NETISに登録された技術は、活用実績や評価の進捗によって、末尾の記号(サフィックス)が変化していく。
① 「-A」(評価されていない技術)
新規登録されたばかりの技術は、まず「-A」が付与される。まだ公的な事後評価が行われていない段階であり、これから現場での活用実績を積み上げていくフェーズにある。
② 「-VR」(継続調査等の対象とする技術)
現場で活用され、事後評価が行われたものの、「さらに継続的な調査が必要」と判断された技術である。一定の効果は認められているが、まだデータ収集が必要な段階と言える。
③ 「-VE」(評価済み・継続調査不要の技術)
これが本記事のテーマである。「評価済み技術のうち、継続調査不要の技術」を指す。
活用効果評価を実施した技術のうち、継続調査等が不要と判断された技術に付与される。
十分な活用実績があり、国から「技術として確立されており、これ以上の追跡調査は不要」とお墨付きを得た状態である。
④ 「-AG」「-VG」(掲載期限が終了した技術)
NETISでの掲載期間が終了した技術である 。
掲載期限(原則10年)を過ぎると、NETISのデータベース上の情報は非公開となり、検索ができなくなる。
期限終了後も技術自体は使えるが、NETIS上の「新技術」としての扱いは終わり、一般的な「従来技術」として扱われる。
3. 「VE」の中でもランクが存在する
国土交通省では「VE」評価を受けた技術の中から、特に優れたものを「有用な新技術」として選定し、活用のさらなる促進を図っている。
ちなみに、「有用な新技術」には、具体的に以下の区分がある。
① 推奨技術・準推奨技術
画期的な技術として、本省の「新技術活用スキーム検討会議」が選定したもの 。
- メリット1:入札で有利になる
「総合評価落札方式」において、これらの技術を提案すると、技術審査において積極的に評価(加点)される。工事が終わった後の採点だけでなく、「工事を取る」段階で有利に働くのだ。 - メリット2:掲載期間が延びる
通常のNETIS掲載期間は登録翌年度から10年間だが、推奨・準推奨技術に選定されると「15年間」に延長される。
② 活用促進技術
特定の地域で普及しており全国展開が有益な技術や、特定の性能が優れているとして、各地方整備局の評価会議が指定したもの。
これらも同様に、総合評価落札方式での積極的な評価や、工事成績評定での加点対象となる。
4. 現場がNETISの「VE評価」を選ぶべき2つの実利
なぜ、現場監督は「-A」ではなく「-VE」を選びたがるのか? その理由は「書類削減」と「確実な加点」にある。
理由①:提出書類が激減する
通常、NETIS技術を公共工事で活用した場合、以下の書類提出が求められる。
- 新技術活用計画書(活用前に提出)
- 実施報告書(活用後に提出)
- 活用効果調査表(活用後に提出)
しかし、活用する技術が「-VE」であった場合、事後の「実施報告書」および「活用効果調査表」の作成・提出は不要となる。
-VE技術は、すでに評価済みで継続調査不要とされているため、現場からの報告義務が免除されるのだ。多忙な竣工間際の事務負担を大幅に軽減できる。
理由②:工事成績評定への「実加点」が見込める
NETIS活用による加点計算は少し複雑だ。
工事成績評定でNETIS技術を評価するのは「主任技術評価官」であり、最大加点数は2点とされている。さらに、その持ち点は全体の配点のうち40%であるため、実際の「実加点」は以下の計算になる。
実加点 = 評価テーブルの点数(最大2点) × 0.4 = 最大0.8点
《 評価の目安(近畿地方整備局資料等の例) 》

※「有用な技術」とは、推奨技術、準推奨技術、活用促進技術などを指す。
一見すると-Aでも-VEでも点数は同じに見えるかもしれない。
しかし、「-A(未評価)」の技術で「相当程度(2点)」の効果を認めてもらうには、飛躍的な施工効率化などの強力な根拠資料が必要になる。
一方、「-VE」技術であれば、安定した効果がすでに認められているため、「一定程度」以上の評価を確実に得やすい背景がある。
つまり、-VE技術を選ぶことは、少ない労力で着実に「0.8点」の実加点を積み上げるための近道なのだ。
5. 現場も書類も楽になる。VE評価を得たスマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」
本記事で解説した「VE評価」のメリットを最大限に享受できるツールがある。
それが、iPhoneのLiDARセンサを活用して測量ができる1人測量アプリ「OPTiM Geo Scan」だ。

実は、この「OPTiM Geo Scan」もNETIS VE評価(KK-210065-VE)を取得しているアプリである。これが現場にとっていかに強力な武器になるか、もうお分かりだろう。
「VE」だから、書類仕事が減る
Geo Scanを導入すれば、現場での測量作業がスマホ一つで完結する。それだけでも画期的だが、VE評価技術であるため、活用後の「実施報告書」や「活用効果調査表」の作成も不要となる。

ただでさえ忙しい現場において、「測量の手間」と「提出書類の手間」を同時に削減できる。まさに現場のためにあるような技術だ。
誰でも高精度で「高評価」を得られる測量を
従来、加点対象となるような高度な測量には、専門知識や高価な機材が必要だった。
しかし、Geo Scanなら手持ちのiPhoneやiPadにアプリを入れるだけでいい。

「VE技術」としての信頼性に加え、誰でも高精度な点群データを取得できる操作性。このツールを選ぶことは、工事成績評定での加点を確実にしつつ、現場の働き方改革を一気に進める「最短ルート」と言えるだろう。
まとめ
NETISにおける「VE」評価とは、国の厳格なプロセスを経て信頼性が確立された技術の証である。現場の技術者にとって、そのメリットは以下の点に集約される。
- 業務効率化:活用後の実施報告書・活用効果調査表の提出が不要。
- 入札優位性:「推奨技術」等の場合、総合評価方式での加点や掲載期間延長(15年)がある。
- 確実な加点:工事成績評定において、安定して実加点(最大0.8点)を狙いやすい。
国土交通省による活用の原則義務化が進む中、どの技術を採用すべきか迷ったときは、登録番号の末尾を確認してほしい。
「-VE」がついている技術を選ぶことは、品質の確保だけでなく、現場の事務作業負担を軽減する「働き方改革」にも直結する賢い選択なのだ。
参考・画像元:近畿地方整備局近畿技術事務所 NETISについて資料
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建設土木のICT活用など、
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