導入事例
高橋 奈那 2022.2.10

「赤川建設興業(北海道)」では「OPTiM Geo Scan」フル活用で、大幅な工期短縮&工程削減を達成!雪国特有の課題もクリア

北海道旭川市に事業所を構える赤川建設興業株式会社は、昭和17年の創業以来、地域インフラの要を担ってきた老舗総合建設会社だ。道路工事、自然災害から地域を守る治山・河川工事、地域経済を支える農業土木工事など、周辺地域の公共工事に携わっている。

長い歴史を持つ同社では近年、業務のICT化に注力しており、3次元測量機器やICT建機といった最新機器を積極的に活用し、生産性の向上を図っているという。2021年には「OPTiM Geo Scan」を導入し、業務効率の改善を実感されているそうだ。

「OPTiM Geo Scan」とはiPhoneやiPad(対象機種:iPhone 13 Pro /13 Pro Max /12 Pro / 12 Pro Max /iPad Pro)があれば、誰でも簡単に高精度な測量ができる株式会社オプティム から提供されている測量ソリューションだ。


今回は、同社が現在施工を行っている石狩川の護岸工事現場を訪ね、工務部 工事長 北村淳氏と園 健一郎氏のおふたりから、OPTiM Geo Scan活用法や実用性についてお聞きした。


「OPTiM GeoScan」で、外注業務の内製化を実現。導入の決め手は、価格、手軽さ、高精度


赤川建設興業では、以前から3次元測量で取得した点群データを、設計データ作成や施工の自動化、日々の進捗管理などに利用してきた。しかしこれまでは、測量、解析・処理は自社で行わず、ソフトウェア利用を支援するサポート会社に外注していたという。

「レーザースキャナを購入するとなると、1000万円近くかかりますし、UAVの利用にも多くの制約があります。当社は公共工事がメインですから、国交省が定めた基準を満たす製品(日本製)でなければ使用できません。操作の手軽さや価格の手頃さが魅力の海外製品などは認められていないんです。それに、近隣エリア内には上空を自衛隊の飛行機が飛んでいる地区もあるため、飛行時の高度には細心の注意を払わなくてはいけません。予算面、そして実用面でさまざまなハードルがあるため、これまで測量業務は提携会社に依頼していました」(園氏)





赤川建設興業株式会社  工務部 工事長 園 健一郎氏

提携会社の担当者さんから「OPTiM Geo Scan」を初めて勧められた時は、スマホで3次元測量ができると聞いても、半信半疑だったそうだ。

「当初は、スマホで簡単に点群が取得できるプロダクトに、そこまでの精度は期待できないだろうと考えていました。しかし、OPTiM Geo Scanの実物を手にした瞬間、これはすごい!と夢中になりましたよ。スマホをスキャナー代わりにして計測をするだけかと思ったら、小型のGNSSレシーバーを使って位置情報までログできるなんて……。本当に驚きました。」(北村氏)


もちろん、導入前には精度検証も行った。これまで使用してきたGPSを搭載したLSで計測した点群と「OPTiM Geo Scan」とを使い、ローカライズ設定なしで計測した点群、2つの点群データを処理ソフトに取り込み検証した結果、1cmほどの差異しか生じなかったという。ローカライズなしでこの精度が保てるなら、実際の施工に使用しても問題ないと判断し、早々に導入を決めたそうだ。




 スマホで測量できる「OPTiM Geo Scan」の活用で、工期短縮と工程削減を実現


「OPTiM Geo Scan」を本格的に利用し始めてからすぐに生産性の向上を実感したという北村氏。主な利用シーンは、日々の進捗管理だ。取材に伺った当時(2021年11月)は、河川の護岸工事現場で利用している様子を見せていただくことができた。


現場は、北海道最大の河川・石狩川の南永山地区。工事内容は、自然災害による堤防の侵食を防ぐためにブロックを新設するというもので、施工範囲は約300mに及ぶ。まず地面を掘削し、土を成型する。施工箇所の出来形データと設計データとの差異を検証し、問題がなければブロックを貼り付けていくのだが、日々の出来形管理に「OPTiM Geo Scan」を利用したところ、生産性が大幅に向上したという。

劇的に円滑化された、出来形データの計測作業


「従来の方法では、施工が一通り完了した段階で計測をする必要がありました。測量には事前準備が必要ですし、ある広域の測量をするために、施工作業をとめなければいけません。LSの場合は、50m間隔で機械を移動させて計測します。UAVになると、あらかじめ基準点を配置しなければいけませんから、少面積で計測するなら100m~200m間隔になります」(北村氏)

赤川建設興業株式会社   工務部 工事長 北村淳氏

「どちらにしても、施工が50m、もしくは100mほど完了した段階で出来形データを計測する時間を設ける必要がありました。1日あたり20m区画の施工が完了するとしても、出来形データの計測までに日が空いてしまいます。それが、OPTiM Geo Scanの場合、施工と測量を同時にできてしまうんですよ。」


「この現場では、10m施工が完了した段階で、並行して計測を行っています。基準点を設置や、障害物への配慮・測量機器を移動させる手間等がないので、施工作業の手を止めることなく、その日その日の進捗を記録できるんです。細切れに計測した日々の出来形データは、クラウド上で自動的に合成されるので、バラバラのデータを手作業でつなぎ合わせる必要もありません」(北村氏)

この調子だと、土の成型が完了した時点で、すぐに次のブロック貼りの工程を始められると語る北村氏。出来形管理データの計測の簡略化により施工効率が向上し、工期短縮にもつながったそうだ。




進捗管理には「スマートコンストラクション・レトロフィットキット」を使用


従来は、点群データを事務所のPCで処理した後、建機に搭載されたマシンガイダンスに取り込む作業が必要だったが、クラウドにアップロードした点群データをその場で現場建機のスマートコンストラクション・レトロフィットキットにダウンロードするだけで、閲覧・利用が可能になった。


ファイル形式の選択時にLAS形式を選べば、処理ソフトで点群を加工する手間を省略できる。設計データと進捗状況との比較・確認作業をコンスタントに行えば、ミスや手戻りの発生防止につながるだろう。


最新のデータは常にクラウドにアップされるため、施工の進捗情報を事務所から確認することも可能だ。活用法次第では、管理業務の遠隔化に一役買いそうだ。

出来形データ計測のために行っていた、積雪対策作業が不要に


「冬には雪が降ります。施工した法面に雪が積もると正確な出来形データを計測できなくなってしまうので、積雪対策として、法面全体をブルーシートで覆うなどの養生作業が必要でしたが、最新の出来形データを常に計測するようになり、養生作業そのものを削減できました」(北村氏)

出来形データ計測作業の円滑化と、雪国特有の作業負担の軽減により、大幅な生産性向上を実感されているという同社。従来の工程と比較して、およそ20%の短縮に成功したそうだ。

出来形管理データを活用して、維持・管理業務を行うことも視野に


近年、デジタル技術を利用した“スマート農業”への対応のため、小規模な農業用地の拡張工事が増えているそうだ。赤川建設興業では、そういった農業土木の現場でも「OPTiM Geo Scan」の活用を検討しているという。暗渠排水管設置時の出来形データ計測を例に、その利便性について園氏はこう語る。


「施工時に出来形データを計測しておけば、暗渠排水管が地中のどの位置に、どの高さで埋まっているのかを即座に把握できるようになります。このデータさえあれば、従来のように、すべての排水管を掘り返し、修繕・補強箇所を目視で探す必要はありません。修繕箇所や補強箇所の特定が容易になり、該当箇所をピンポイントに掘り返す等、より効率的な工事が実施できるでしょう。OPTiM Geo Scanを出来形データの計測に利用することは、長期的な維持管理という視点で考えた場合にも、大きなメリットがあると思います」(園氏)


土木事業者に限らず、発注者や役所内でも生産性向上への取組が進んでいます。測量作業の簡易化が、関係各所の確認作業をスムーズにし、工事に携わる多くの関係者の働き方に良い影響を与えるのではないかと語る北村氏。

土木・建設業界の働き方の改善が急がれるなか、“普段使いにできるICT技術”から、新しい仕事のカタチが生まれ始めている。

赤川建設興業株式会社
北海道旭川市10条通9丁目左1号
TEL:0166-22-3192
HP:http://www.akagawa.co.jp/index.html





 
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WRITTEN by

高橋 奈那

神奈川県生まれのコピーライター。コピーライター事務所アシスタント、広告制作会社を経て、2020年より独立。企画・構成からコピーライティング・取材執筆など、ライティング業務全般を手がける。学校法人や企業の発行する広報誌やオウンドメディアといった、広告主のメッセージをじっくり伝える媒体を得意とする。

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