コラム・特集
デジコン編集部 2023.7.13
測量アプリの現在地〜現場で使える?最新事例を紹介

国交省「出来形管理要領」が2022年4月に改訂! 本要領に準拠するスマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」の活用で得られる、大きなメリットとは!?

2022年4月、国交省の「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」が改訂された。このリリースが出たことでますます注目が集まっているのが、モバイル端末での3次元測量だ。

とくに、iPhone、iPadで簡単に高精度な3次元測量ができるアプリOPTiM Geo Scan」は、本要領に準拠しており、土木・建設現場のあらゆるシーンで国交省お墨付きのもと測量ができるようになった。

今回、「OPTiM Geo Scan」の開発・販売元である株式会社オプティムにて、同社セールス担当の八尋氏(以下、敬称略)に、本要領の概要、そして「OPTiM Geo Scan」を活用すると、どんなメリットが得られるのかを具体的に聞いた。


国交省の出来形管理要領に準拠とは?


― 2022年4月に改訂された国交省の「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」ですが、この要領にスマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」が準拠したというニュースは、驚きでした。まず、お伺いしたいのは、そもそもこの「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」はどういったものなのでしょうか。

八尋:国交省が生産性向上に向けて、i-Construction(アイ・コンストラクション)を推進していますが、国や自治体が管轄する公共工事で安全なインフラをつくるためには、詳細な決まりが必要なんです。

(株式会社オプティム  OPTiM Geo Scanセールス担当 八尋氏)

3次元計測技術を用いた要領ができる前は、例えば、河川の盛土工事で堤防が500mあったら20mごとに測量してそれが出来形になっていればOKという、ややざっくりとした基準でした。

しかし3次元では、500mの範囲をもっと細かく確認しないといけない。そのために精度が高いツールを使い、最終的に設計どおり構造物ができているかを測る必要があります。その決まりを記したのが、「3次元技術を用いた出来形管理要領」です。


―「OPTiM Geo Scan」が本要領に準拠していることがわかる部分は、要領の中でどの辺りなのでしょうか?

八尋:「第14編土工(1000㎥未満)・床掘工・小規模土工・法面整形工編 /第9章モバイル端末を用いた3次元計測技術(多点計測技術)」という項目があり、3次元測量において、どんなツールの時にどの程度の精度や密度で、どんなアウトプットをすればいいかが工種ごとに詳細に記載されています。


3次元測量ができるツールは、以前はごく限られた機器のみでしたが、地上移動体搭載型レーザースキャナーUAVレーザーなど、新しいテクノロジーが出てくるたびに、要領に追記されてきました。

そして今回(2022年4月改訂)の要領に追加されたのが、「OPTiM Geo Scan」をはじめとするモバイル端末というわけです。


モバイル端末の中でどのような機器を使うのかといった機器構成や、計測やデータ処理などの具体的な方法が書いてあり、これに則って業務を推進してくださいということです。

― 3次元技術で測量するための規定ということですね。

八尋:そうです。このマニュアルに則った技術を使えば、正しい成果物として国や自治体が認めてくれます。だから、施工者(受注者側)としても、安心です。公共工事において、精度と安全性がなにより求められますから、あやふやな技術を使うわけにはいきませんので。

ー その要領化に「OPTiM Geo Scan」が準拠しているということなんですね。




「OPTiM Geo Scan」を活用することで得られるメリット


ー 誰でもカンタンにスマホで3次元測量ができて、国交省の要領にも準拠しているということは理解しました。事業者さんが「OPTiM Geo Scan」を活用することでなにか他にも良いことはあるんでしょうか?

八尋:「OPTiM Geo Scan」で出来形測量をすれば、二つのケースで「工事成績評定」の加点対象になるんです。

まず一つは、NETIS(新技術情報提供システム)です。国交省が推奨するプロダクトであることを示すNETISですが、NETISに登録されたプロダクトを公共工事で活用すると、最大3点まで加点されます。「OPTiM Geo Scan」はこのNETISに登録されている技術なんです。


二つ目は、小規模土工でのICT活用。小規模工事では、ICT建機や3次元の測量機器を導入しても、費用対効果の面で割に合わないことが多いんです。とくに中小の事業者さんですと、何百万、何千万する機器を購入すること自体が、経営上大きな負担になってしまいます。

そんな課題があるなかで国交省は1000㎥未満の土工については「小規模土工」というカテゴリーを設け、ICTを活用することを推奨しています。


こうした小規模土工で3次元設計データ作成とICT建機の施工、3次元出来高管理等の施工管理、データ納品というプロセスを全部満たせばプラス1点、さらにモバイル測量端末、つまり「OPTiM Geo Scan」などで出来形管理の面計測を行うとプラス1点で加算。合計2点がもらえることになります。

―合計すると、かなり点数がもらえる可能性があると。

八尋:この4、5点は現場の人にとっては大きいですよ。大規模現場なら工期も長く、いろんな工事があって様々な技術をたくさん用いることができますが、小さい現場は、土を掘る工事だけだったり、水道管を埋めてまた戻す工事だけなど、限定的な業務が多いため、工夫して点数を稼ぐのが結構難しいんです。


そんな中で、NETISと小規模土工のICT活用というわかりやすい基準で点数を上げられますからね。

ただ、最終的な工事成績評定点は発注者側の検査官が決めるので、必ず加点されるかというと、されないこともあります。「発注者側の理解が進んでいるか」という別の課題もあるんですけどね。

―なるほど。事業者側は、点数がもらえることで、次の入札で有利になったりするものなんでしょうか?

八尋:そうですね。一年前の実績となる工事成績評定が高い事業者さんは、次の仕事の受注に有利になるケースがあります。


というのも、今の工事の入札方式は「総合評価落札方式」で、価格と技術の両面から評価されます。従来は安価に施工が行えることが重視される傾向にありましたが、今は品質を落とさないために、技術重視の傾向になっています。技術ポイントが高ければ価格が少し高くても仕事を受注できるケースは増えているんですよ。

工事成績評定以外で技術ポイントを高めるには、仕事を受注したい時に、「こういう新しい技術を使います」と技術提案することも重要です。

もちろん、「OPTiM Geo Scan」でのスマホ測量もこの技術提案に当てはまります。あとはNETISの登録技術を使うことや、工事に参加予定の技術者を組み合わせて評価されます。


「OPTiM Geo Scan」の今とこれから


―「OPTiM Geo Scan」が要領に準拠したことで、土木・建設業界の反応はいかがでしょうか。

八尋:「OPTiM Geo Scan」は2021年5月から販売をスタートしています。国交省の要領に準拠した今年(2022年)4月以降、全国の施工会社や建設コンサルタントからの契約数が一気に増えています。


と同時に、県や市町村からのお問い合わせも増えました。各自治体がそれぞれの要領を策定するために「『OPTiM Geo Scan』の技術がどんなものか教えてほしい」という声をいただく機会が多くなっているんです。

― 明らかに潮目が変わったと。

八尋:「OPTiM Geo Scan」が、国交省のお墨付きを得たことで、今後、県や市町村といった自治体管轄の公共工事でも徐々に活用されていくのではないかと考えます。

昨年(2021)5月に「OPTiM Geo Scan」を発売した時は、スマホ測量アプリはまだ「OPTiM Geo Scan」だけといっても過言ではありませんでした。しかし現在は、複数のスマホ測量アプリが出ています。たった1年程度ですごいスピード感ですよね。


八尋:ただ、そのことについて私たちは決してネガティブに捉えていないんです。「スマホ測量」というマーケットそのものをオプティムを含むいろんな企業で広げていければと思っています。

スマホ測量が当たり前になれば、今、人手不足や膨大な業務量で大変な思いをされている全国の事業者の方々の働き方は、絶対に良い方向に変わると信じていますから。


八尋:そして私たちはソフトウェアベンダーとして、お客様から日々いただく「こういう機能があったらいいな」「こうしたら現場はもっと楽なのに」というお声を元に、「OPTiM Geo Scan」をつねに進化させています。そういった意味では、「OPTiM Geo Scan」のアップデートに終わりはないので、“永遠のプロトタイプ”とでもいいましょうか(笑)。

「OPTiM Geo Scan」にまだ触れたことのない方には、とにかく一度試していただきたいですね。きっと、その利便性と精度の高さに驚いていただけると思いますからね。



【編集部 後記】

「スマホ」という誰もが身近なプロダクトで、簡単かつ高精度で測量できる「OPTiM Geo Scan」。2021年5月のリリースから、今年(2022)4月の国交省「3次元出来形管理要領(案)」の準拠を経て、いま、ますます注目を集めている。

国交省のルールに準拠しているという「安心感」はもちろん、つねに現場の声を反映して、プロダクト自体が進化しているというのは、大きな魅力といえるだろう。





取材・編集:デジコン編集部 / 撮影:佐藤ゆたか
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デジコン編集部

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