コラム・特集
加藤 泰朗 2023.11.29
測量アプリの現在地〜現場で使える?最新事例を紹介

【業界激震】スマホで長距離&高精度で3次元測量ができる「OPTiM Geo Scan Advance」の魅力を解説! 〜地上型レーザースキャナーが30万円台で手に入る!〜

「すべての現場で3次元データの利活用を」という目標を掲げてきたオプティムが、いよいよその実現に大きく近づくためのプロダクトをリリースした。

そのプロダクトとは「OPTiM Geo Scan Advance(以下、Geo Scan Advance)」。

長距離LiDARセンサーとスマホを組み合わせて、超高額な地上型レーザースキャナー(TLS)を代替してしまう。しかも高精度かつ長距離で3次元測量ができるという革新的なものだ。

今回、2023年5月に行われた「CSPI-EXPO 2023」のオプティムブースにて、オプティム ゼネラルマネージャー 坂田氏に、インタビューを行った。


坂田氏は開口一番「3次元測量とデータの活用をする上で、必要なハードウェアやソフトウェアをすべて買い揃えていたら、金額的に大変なことになりますし、専用機材で取った3次元データをパソコンにダウンロードして図化して、計算して……なんて面倒でやっていられないと思うんです」

(CSPI-EXPO2023 オプティムブースにて、オプティム ゼネラルマネージャー 坂田氏)

3次元測量から体積計算、面積計算、図面を書くところまでを、スマホ一台で完結させてしまおう。それがOPTiM Geo Scan エコシステムのコンセプトなんです」とGeo Scan Advanceへの想いを語ってくれた。

CSPI-EXPO 2023にてOPTiM Geo Scan Advanceを初お披露目!オプティムブースは終日、大盛況!


2023年5月24日〜26日に幕張メッセで開催された、建設・測量生産性向上展「CSPI EXPO」で、オプティムはこのプロダクトを初披露した。

その反響は想定以上に大きなものだったという。


「Geo Scan Advanceを見たいといって、オプティムのブースに来られた方が大勢いらっしゃいました。もちろん大きな反響をいただくような、画期的な製品だという自負はありましたが、待ち望んでいた方が本当に多くいらっしゃるのだという想いをさらに強くしました」(坂田氏)


そもそも、2021年にリリースされた3次元スマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」は、iPhone/iPadに搭載されたLiDARセンサーと別売のGNSS(全球測位衛星システム)レシーバーを組み合わせて、iPhone/iPadで対象をスキャンするだけで、公共座標付きの高精度な3次元点群データを取得できるというもの。




測量の専門的な知識が一切なくても、iPhoneを持って現場を歩いていけば、誰にでも簡単に3次元点群データを取得することができる。

3次元点群データの活用についても、平面図・縦断図・横断図の作成や、面積や容積の計算、出来形帳票を出力するアプリや、Scan Xとの連携による点群データの自動処理といった、「OPTiM Geo Scan エコシステム」内にすぐに活用できるアプリが用意されている。


しかし、OPTiM Geo ScanではLiDARの照射距離に制限があった。iPhone/iPadに内蔵のLiDARセンサーでは、その距離はおよそ5メートルほど。

「勾配のある法面なども歩かなくてはならず、もっと距離を伸ばせないかというご要望は何度もいただいていました」(坂田氏)

そこで、満を辞して長距離LiDARセンサーを使用する「Geo Scan Advance」が開発されたのだ。


広範囲の3次元測量がたった3分で終わる!


「Geo Scan Advance」の大きなメリットは、徹底した作業の省力化にある。広範囲の測量でも、1人で3分で終えることができるというのだから驚きだ。


「GNSSレシーバーと連携しているので、3次元データを取る前にトータルステーションなどを持ち出しての標定作業といった手間も必要ありません。また、『Geo Scan Advance』は本体の傾きを検知するIMUを搭載しているので、水平を出すといった操作も一切ありません」(坂田氏)


事前準備なしで、「OPTiM Geo Scan Advance」の本体を三脚に据えれば、すぐに測量が始められるというわけだ。さらに、据え置き型ならではの利点もある。

「とにかく精度にはこだわっています。固定していただく方式のため、手振れもないですし、歪みも少なく、国土交通省出来形管理要領で定められた精度検証を行ったところ、点間の測定精度は3.6ミリメートルであることを確認しました」(坂田)


これまで『OPTiM Geo Scan』では難しかった高さや勾配の急な法面などの土工時、土砂崩れなどの災害現場の測量、橋梁や鉄塔などのインフラ構造物の寸法確認など、近寄れなかったり高さのある現場や構造物にも使うことができます」(坂田氏)

GNSSレシーバーを用いた地上型レーザースキャナーとして、国土交通省の「3次元計測技術を用いた出来形管理要領」に準拠していることで、今後、さまざまな現場での活用が期待できそうだ。


「スマホを何回かタップするだけで、広範囲で高精度な3次元データを公共座標付きで取得できる、というのが『Geo Scan Advance』だと思ってもらえればいいと思います」(坂田氏)

業界が激震!衝撃的な低価格を打ち出せた理由とは!?


簡単で高精度な「OPTiM Geo Scan Advance」のもっとも驚きのポイント、それは提供価格にある。

800万〜1000万という高額な地上形レーザースキャナーに代替可能なこの「Geo Scan Advance」本体を、1年間の限定価格ではあるが、33.3万円で提供しようというのだ(「Geo Scan」ライセンスを契約中であることが必要)。




「100万円あれば地上形レーザースキャナーが3台入手できる価格設定にしました。私たちは、地上形レーザースキャナーが、全ての現場で普通に置いてあるものにしたいと考えています。会社で1台しかない高価な測量機器を、知識のある技術者が使ってようやく3次元データが取れる。これでは、3次元データの活用も難しいですし、現場の負担軽減にもなりません」(坂田)


「測量未経験の人材でも、日常的に3次元データの取得や活用ができること、それによって、ようやく業務プロセスの効率化、少ない人数でも現場を回していく仕組みができるのではないかと考え、それを目指しています。今回の価格設定は、そのためのものです」(坂田氏)

これまで高額でなかなか活用できなかった地上型レーザースキャナを、1現場に1つを当たり前にしようとするオプティムの野望。




しかし土工からインフラ メンテナンスまで、幅広い現場で活用可能な「OPTiM Geo Scan Advance」は、その可能性を十分に感じさせるデバイスだ。

オプティムでは、「Geo Scan Advance」を含めた「Geo Scan」エコシステムで、現場のニーズを汲み取り、機能改善や新規機能追加に引き続き取り組んでいくという。その進化から今後も目を離せない。




取材・編集:デジコン編集部(寺門 常幸)/撮影:砂田 耕希
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WRITTEN by

加藤 泰朗

人文系・建築系・医学看護系の専門出版社を経て、2019年独立。フリーランスとして、書籍・雑誌・Webで編集・ライティングに従事。難しい内容をわかりやすく伝えることを大切にしています。
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