
土木・建設工事において「丁張り」は設計図面を現場で可視化するための重要な作業である。
特に切土作業では、正確な法面勾配や高さを示すため、丁張りの正確な設置が求められる。
本記事では、法尻48.5から1割6分の勾配で切土する場合を例にして、丁張りの掛け方について、実践的な手順を解説する。
切土丁張りを掛ける際には、まず設計図面上での法面の平面距離や勾配、高さを確認する必要がある。


図面上で法面の平面距離を測ると4.8mであり、1割6分の法面勾配の場合、切り出しの高さは52.5であることがわかる。


まず、図面から拾った切り出し位置の座標をもとに、現地で測量を行う。


この際、現況の標高も合わせて測定しておくことが重要である。また、法面の方向を特定するために、もう一点の位置出しも行う。

次に、設計の標高(52.500)と実際に測量した現況の標高を比較する。
今回の例では、現況の標高が52.800であり、設計より300mm高いことが判明した。

このようなズレは、設計時に使用した等高線(コンタ)と実際の地形の差から生じるため、ある程度は想定内である。

現況が設計より高い場合、実際の切り出し位置は設計位置より後方になる。

今回の例では、480mm以上後方に杭を2本打ち込む。

片方の杭に釘を打ち、測量を行い、釘の高さが53.500であることを確認する。

横ヌキは、できるだけ低い位置に100mm単位で取り付ける。


今回は550mm下がりの位置に釘を打ち、そこに横ヌキを水平に設置して固定する。


これにより、横ヌキの標高は52.950となる。

水平器を使用して、最初に測量した設計の切り出し位置を横ヌキに記入する。

横ヌキの標高(52.95)と設計切り出しの標高(52.5)の差は450mmである。

1割6分の勾配では、高さ450mmに対して水平距離は720mmとなる。
つまり、横ヌキ上で切り出し位置から720mm後方の点が法面の延長線上にあたる。

その位置に釘を打ち、余分な横ヌキをノコギリで切り落とす。

最後に斜ヌキを取り付ける。

打った釘に斜ヌキを乗せ、スラント(勾配定規)を使って1割6分の勾配に合わせてから固定する。

必要に応じて説明書き(切り出し位置の高さ:SL=52.500)を加えれば、切土丁張りの設置は完了である。
今回の解説では現況が設計より高いケースを取り上げたが、その逆のケース(現況が設計より低い場合)も存在する。
例えば、設計標高が52.5なのに対して現況が52.2であった場合は、切り出し位置が設計位置より前方になる。
しかし、基本的な原理は同じであり、同様の手順で丁張りを設置することができる。重要なのは設計と現況の差を正確に把握し、それに基づいて法面延長線の位置を算出することである。
今回は切土丁張りの掛け方について紹介した。
切土丁張りは、切土法面を正確に施工するための重要な指標である。
本記事で紹介した手順に従えば、1:1.6(一割六分)の切土法面に対する丁張りを正確に設置することができる。
これらを丁寧に実施することで、質の高い切土工事を実現することができる。
しかし、丁張り作業は精度が求められるため、決して楽な作業とは言えないのが正直なところ……。
なぜなら丁張りで示した位置基準が切土の精度に直結するからだ。
特に現況標高と設計標高の差を正確に把握し、法面勾配に合わせた延長位置を算出する場面は、熟練の技術者でも神経を使う。
また、その際、高額で重量のある測量機器を持ち歩き、複数人の人手を要して測量を行う必要があるという、人的負担もある。

そんな手間のかかる切土丁張り作業だが、ワンマン測量アプリ「OPTiM Geo Scan」であれば、普段から使い慣れたiPhoneやiPadを使って、誰でも簡単に、丁張りに必要な測量が一人で行えてしまう。
iPhone Pro/iPad Proに搭載されているLiDARという計測機能と衛星測位システムのGNSSレシーバーを組み合わせるため、高精度の計測が可能なのだ。

特に切土作業では現況と設計の差を正確に把握することが重要だが、OPTiM Geo Scanなら簡単にその差を測定できるため、丁張り設置の精度向上と作業効率化が同時に実現できる。
ぜひ、以下の動画をチェックしてその利便性の高さを確認していただきたい。
特に切土作業では、正確な法面勾配や高さを示すため、丁張りの正確な設置が求められる。
本記事では、法尻48.5から1割6分の勾配で切土する場合を例にして、丁張りの掛け方について、実践的な手順を解説する。
切土丁張りの基本
切土丁張りを掛ける際には、まず設計図面上での法面の平面距離や勾配、高さを確認する必要がある。


図面上で法面の平面距離を測ると4.8mであり、1割6分の法面勾配の場合、切り出しの高さは52.5であることがわかる。


現地での作業手順
1. 切り出し位置の設定
まず、図面から拾った切り出し位置の座標をもとに、現地で測量を行う。


この際、現況の標高も合わせて測定しておくことが重要である。また、法面の方向を特定するために、もう一点の位置出しも行う。

2. 「設計の高さ」と「現況の高さ」の確認
次に、設計の標高(52.500)と実際に測量した現況の標高を比較する。
今回の例では、現況の標高が52.800であり、設計より300mm高いことが判明した。

このようなズレは、設計時に使用した等高線(コンタ)と実際の地形の差から生じるため、ある程度は想定内である。

3. 丁張り杭の設置
現況が設計より高い場合、実際の切り出し位置は設計位置より後方になる。

今回の例では、480mm以上後方に杭を2本打ち込む。

片方の杭に釘を打ち、測量を行い、釘の高さが53.500であることを確認する。

4. 横ヌキの取り付け
横ヌキは、できるだけ低い位置に100mm単位で取り付ける。


今回は550mm下がりの位置に釘を打ち、そこに横ヌキを水平に設置して固定する。


これにより、横ヌキの標高は52.950となる。

5. 設計切り出し位置の記入
水平器を使用して、最初に測量した設計の切り出し位置を横ヌキに記入する。

6. 法面延長線の算出
横ヌキの標高(52.95)と設計切り出しの標高(52.5)の差は450mmである。

1割6分の勾配では、高さ450mmに対して水平距離は720mmとなる。
つまり、横ヌキ上で切り出し位置から720mm後方の点が法面の延長線上にあたる。

その位置に釘を打ち、余分な横ヌキをノコギリで切り落とす。

7. 斜ヌキの取り付け
最後に斜ヌキを取り付ける。

打った釘に斜ヌキを乗せ、スラント(勾配定規)を使って1割6分の勾配に合わせてから固定する。

必要に応じて説明書き(切り出し位置の高さ:SL=52.500)を加えれば、切土丁張りの設置は完了である。
応用 〜 現況が設計より低い場合 〜
今回の解説では現況が設計より高いケースを取り上げたが、その逆のケース(現況が設計より低い場合)も存在する。
例えば、設計標高が52.5なのに対して現況が52.2であった場合は、切り出し位置が設計位置より前方になる。
しかし、基本的な原理は同じであり、同様の手順で丁張りを設置することができる。重要なのは設計と現況の差を正確に把握し、それに基づいて法面延長線の位置を算出することである。
ワンマン測量アプリ「OPTiM Geo Scan」なら、誰でもラクラク&カンタンに「切土丁張り」ができる!
今回は切土丁張りの掛け方について紹介した。
切土丁張りは、切土法面を正確に施工するための重要な指標である。
本記事で紹介した手順に従えば、1:1.6(一割六分)の切土法面に対する丁張りを正確に設置することができる。
《切土丁張りの要点》
- 切り出し位置の特定と測量
- 設計高さと現況高さの確認
- 丁張り杭の設置
- 横ヌキの水平設置
- 法面延長線の算出
- 斜ヌキの勾配設定
- 説明書き(SL表示)
これらを丁寧に実施することで、質の高い切土工事を実現することができる。
しかし、丁張り作業は精度が求められるため、決して楽な作業とは言えないのが正直なところ……。
なぜなら丁張りで示した位置基準が切土の精度に直結するからだ。
特に現況標高と設計標高の差を正確に把握し、法面勾配に合わせた延長位置を算出する場面は、熟練の技術者でも神経を使う。
また、その際、高額で重量のある測量機器を持ち歩き、複数人の人手を要して測量を行う必要があるという、人的負担もある。

そんな手間のかかる切土丁張り作業だが、ワンマン測量アプリ「OPTiM Geo Scan」であれば、普段から使い慣れたiPhoneやiPadを使って、誰でも簡単に、丁張りに必要な測量が一人で行えてしまう。
iPhone Pro/iPad Proに搭載されているLiDARという計測機能と衛星測位システムのGNSSレシーバーを組み合わせるため、高精度の計測が可能なのだ。

特に切土作業では現況と設計の差を正確に把握することが重要だが、OPTiM Geo Scanなら簡単にその差を測定できるため、丁張り設置の精度向上と作業効率化が同時に実現できる。
ぜひ、以下の動画をチェックしてその利便性の高さを確認していただきたい。
【丁張り紹介パートは、以下動画の10分35秒から】
参考:WOKUWORK「丁張りのかけ方や計算方法・作業手順を徹底解説!」/建設キャリアアップ大学「切土丁張りの掛け方を伝授」
WRITTEN by

建設土木の未来を
ICTで変えるメディア