コラム・特集
【衛星コンステレーションとは?】イーロン・マスクの「スターリンク」を例に解説!〜次世代の通信技術は土木・建設業界でどう活用できる?〜
10年前、20年前と比べてインターネットの通信速度は格段に速まり、快適に利用できるエリアも拡大している。これは通信技術の革新が日々行われていることによるものだ。
しかし、世界全体で見れば、現代でもインターネットを自由に利用できない人口は約30億人いるという。
この地域間デジタルディバイド(情報格差)の解消に大きなインパクトを与えると期待されているもののひとつが「衛星コンステレーション」だ。
今回は「衛星コンステレーション」について、その概要にはじまり、特徴やデメリットについてまで解説を行う。
また、通信衛星コンステレーションの分野で世界をリードしている「スターリンク」の事例や、土木・建設業界に関連する新サービスも紹介していく。
衛星コンステレーションの「コンステレーション」は、英語で「星座」や「一群」といった意味がある。
衛星コンステレーションとは、複数(多いものでは数千・数万機)の人工衛星を連携させて一体的に運用するシステムのことである。
衛星コンステレーションを活用した通信システムは、1980年代から構想が持ち上がり、90年代には実際にサービスを展開する企業も現れた。
しかし、当時の技術では開発コストがかさむわりに、通信容量や通信速度といった性能は高くなく、多くのサービスが短期間で撤退している。
ただし、衛星コンステレーションの種類は通信だけではない。
測位システムとしても活用されており、アメリカが管理・運用する「GPS」は、土木・建設業界でもおなじみと言えよう。
測量やICT建機、車両や作業員の管理などでGPSを活用した製品は多数ある。
このほか、衛星から地球を撮影して、測量を行なったり地殻変動などの分析を行なったりするリモートセンシング(遠隔探索)にも使われている。
2000年頃までは苦況にあった衛星コンステレーションの通信システム分野も、技術革新により小型化が進み、いまふたたび注目が集まっている。
特に盛り上がりを見せているのは「中低軌道小型衛星コンステレーション」だ。
中低軌道というのは、高度2000kmまでの低軌道、もしくは地上2000~36000kmの中軌道を周回するということ。
中低軌道衛星は通信の遅延時間が短いという特徴がある。
また、小型というのは重量がおおよそ1000kg以下の衛星を指す。小型衛星は、開発にかかるコストが比較的抑えられるうえ、開発期間が短く、打ち上げ機会を増やしやすいことから、航空宇宙事業を長年手掛ける大企業ばかりでなく、ベンチャー企業も参入している。
通信衛星コンステレーションは、静止軌道上通信衛星のデメリットを解消するために開発されてきたといえる。
静止軌道上通信衛星とは、赤道上の高度約36000kmを周回する通信衛星だ。
地球の自転とほぼ同じ周期で移動するため、地上から見ると衛星がいつも同じ位置にとどまっているように見えることから、静止衛星と呼ばれている。
静止衛星には、通信の遅延がある、通信速度が遅い、特定の地域では通信が不可能というデメリットがある。
地上から高い位置を周回しているため、信号が伝送するのに時間がかかったり授受しにくかったりするばかりでなく、通信がしにくいエリアが生じやすい。
一方で、中低軌道衛星コンステレーションは、地上に近い位置に複数の衛星を打ち上げて連携させるため、通信の遅延が解消され、速度が速く、地球のあらゆる場所で通信が行えるのである。
また、光回線など有線のネットワークは地震などの有事に通信障害が生じやすいが、衛星通信ならそのような地上のネットワークのバックアップとしても活用することができる。
通信衛星コンステレーションビジネスで業界をリードしているスターリンク(Starlink)を例に、衛星コンステレーションの利便性を紹介していこう。
「Starlink(スターリンク)」はSpaceX(スペース・エックス)が開発・運用している小型衛星コンステレーションだ。
スペースXは、テスラの創業者でもあるイーロン・マスク氏が創業した宇宙ビジネスを手掛ける企業で、火星移住を目指してロケットの開発や宇宙輸送サービスを主力事業としている。
スペースXは2019年5月より量産型スターリンク(Starlink)の打ち上げを本格的に開始し、2023年7月の時点で4,746機を打ち上げている。
これは現在、稼働している人工衛星の約半数にあたると言われている。
2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まって間もなく、イーロン・マスクはウクライナの要請に応えるかたちでスターリンク(Starlink)を提供した。
以降、ウクライナ政府は大統領の演説配信をはじめさまざまな通信にこれを活用している。
また、ロシアに攻撃・支配されていた都市が解放された際には、数日で電話とインターネットを復旧させることができたという。
スターリンクを使ってインターネット接続を行うには、専用アンテナを設置し、ルーターとつなげて、パソコンやスマートフォンにアプリをダウンロードする程度の手間しかかからない。
アンテナの設置といっても、ピザほどの大きさの円形もしくは長方形のアンテナに脚を組み付けるような手軽さだ。
これを上空が開けた場所に設置する。すると、海上にある船舶からビデオ通話ができるほどの快適なインターネット環境が整う。
なお、スペースX 以外にも、ソフトバンクグループが筆頭株主となっているOneWebやamazonなどですでに衛星コンステレーションは事業化に至っているほか、国内大手ではNECが事業化を進めようとしている。
通信に改革を起こすと注目が高まる小型衛星コンステレーションであるが、懸念点がないわけではない。ここからは衛星コンステレーションのデメリットを紹介していく。
まず、開発面において、小型化により低コストで開発できるようになったとはいえ、開発から打ち上げまでにも相当な費用がかかる。また、機体の寿命は数年と短く、ランニングコストも膨らむと考えられている。
次に運用面では、この先、衛星の数が増えていくと衛星同士の電波干渉が起こりやすくなると考えられる。
そして、複数の衛星を協調させるというシステム上、オペレーションの難易度が高いと言える。
また、観測衛星と地上の間を移動するため、天文観測において映り込みが生じる可能性は高まるだろう。
加えて、環境面で、スペースデブリ(宇宙ゴミ)を増やしかねない点も懸念されている。
役目を終えた衛星を回収するのは困難だが、放置したままにしておくと他の衛星や宇宙船に衝突するリスクがある。
ここからは、土木・建設業界での小型衛星コンステレーションの活用事例を紹介していこう。
科学技術によって災害発生の予見や災害発生時の被害の抑制、復旧・復興の早期化に取り組む防災科学技術研究所は、「小型SAR衛星コンステレーション」のデータを災害対策に活用している。
具体的には、地震・火山や風水害など各種災害が発生した際、ただちに被災状況を把握し、発災前後のデータを比較するなどして、被災状況の分析を行なう。
このほか、災害時に必要な情報を共有することで、効果的な災害対策を行うための基盤的防災情報流通ネットワークシステムの構築にも取り組んでいる。
水分野に特化した総合建設コンサルタントである日水コンは、衛星観測データを活用したソリューションサービスを展開するSynspective(シンスペクティブ)と戦略的提携を結び、国内の上下水道分野における衛星データ活用促進に取り組む。
小型SAR衛星コンステレーションから浸水情報を取得し、災害時の情報提供や水防活動に役立てるという。
防水活動とは、大雨で河川が増水した際の見回り、堤防を守るための土のう積みといった作業のことで、これらの作業をスムーズに進められるばかりでなく避難支援にもつなげる見込み。また、雨水管理計画の策定にも活用される。
2022年10月、KDDIは法人や自治体向けにスターリンクの導入支援を行う「認定スターリンクインテグレーター」の資格を取得した。
KDDIでは、スターリンクのサービスを法人・自治体向けに提供する「スターリンクビジネス」に加え、スターリンクを活用することでauエリアを拡大させるソリューション「サテライトモバイルリンク」の提供を行っている。
「サテライトモバイルリンク」は山間部や島しょ地域に基地局を設置し、建設現場の安全管理、ドローン点検保守、インフラ施設の維持管理に利用することを想定している。
KDDIグループでドローン事業を手がけるKDDIスマートドローンは、モバイル通信に対応したドローン「スマートドローン」を用いて、遠隔操作による荷物の運搬、建設・農業・インフラ・災害に関するリアルタイムでの情報収集を手掛けている。
2023年6月には、鉄塔点検業務を効率化するドローン点検サービスをローンチした。
これは送電鉄塔の点検で、ドローン撮影によって取得したデータを使ってAI画像解析を行い、不良箇所の判定や帳票作成をサポートするというものだ。鉄塔点検における業務効率化・省人化を見込んでいる。
これまで紹介したように、衛星コンステレーション事業に取り組む事業者は近年増えており、関連するサービスも今後ますます多くなることが予測される。
たとえば、日本が運用する準天頂衛星システム※「みちびき」は、日本版GPSともよばれる衛星測位システム(Global Navigation Satellite System/GNSS)で、2018年11月より4機体制で運用されている。これが今後、2025年までに3機を追加で打ち上げ、7機体制での運用する計画だという。
現在は他国のGNSSも利用しながら測位の精度を維持しているが、7機体制になることで常時4機が日本の上空に滞空している状態を維持でき、みちびき単独での持続測位が可能になる。
GNSSを利用した3次元測量機器には、レベルやトータルステーション、トランシット(セオドライト)などがあるが、近年はモバイル端末やドローンを用いた製品も増えている。
なかでもスマホ3次元測量アプリ「OPTiM Geo Scan」は、GNSSレシーバーとiPhone(iPad Pro)※があれば、簡単に高精度な3次元測量を行なえる。なお、測量士(測量士補)の資格や専門知識がなくても容易に操作できるのが大きな特徴だ。※LiDAR搭載機種に限る。
スマホアプリとはいえ、OPTiM Geo Scanは、令和4年度の国土交通省 「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」にも準拠しており、高精度な測位が可能で、測量データは「出来形測量」「起工測量」でも使用することができる。
つまり、出来形管理計測に利用するため必要な高い精度(±50mm)を実現しているのだ。NETIS登録製品でもある。
技術の革新は日進月歩。ひと昔前にはスマホで測量などとは考えられなかったかもしれないが、実際に試してみると、手軽さや精度の高さに驚かされるだろう。
しかし、世界全体で見れば、現代でもインターネットを自由に利用できない人口は約30億人いるという。
この地域間デジタルディバイド(情報格差)の解消に大きなインパクトを与えると期待されているもののひとつが「衛星コンステレーション」だ。
今回は「衛星コンステレーション」について、その概要にはじまり、特徴やデメリットについてまで解説を行う。
また、通信衛星コンステレーションの分野で世界をリードしている「スターリンク」の事例や、土木・建設業界に関連する新サービスも紹介していく。
「衛星コンステレーション」とは?
衛星コンステレーションの「コンステレーション」は、英語で「星座」や「一群」といった意味がある。
衛星コンステレーションとは、複数(多いものでは数千・数万機)の人工衛星を連携させて一体的に運用するシステムのことである。
衛星コンステレーションを活用した通信システムは、1980年代から構想が持ち上がり、90年代には実際にサービスを展開する企業も現れた。
しかし、当時の技術では開発コストがかさむわりに、通信容量や通信速度といった性能は高くなく、多くのサービスが短期間で撤退している。
ただし、衛星コンステレーションの種類は通信だけではない。
測位システムとしても活用されており、アメリカが管理・運用する「GPS」は、土木・建設業界でもおなじみと言えよう。
測量やICT建機、車両や作業員の管理などでGPSを活用した製品は多数ある。
このほか、衛星から地球を撮影して、測量を行なったり地殻変動などの分析を行なったりするリモートセンシング(遠隔探索)にも使われている。
2000年頃までは苦況にあった衛星コンステレーションの通信システム分野も、技術革新により小型化が進み、いまふたたび注目が集まっている。
特に盛り上がりを見せているのは「中低軌道小型衛星コンステレーション」だ。
中低軌道というのは、高度2000kmまでの低軌道、もしくは地上2000~36000kmの中軌道を周回するということ。
中低軌道衛星は通信の遅延時間が短いという特徴がある。
また、小型というのは重量がおおよそ1000kg以下の衛星を指す。小型衛星は、開発にかかるコストが比較的抑えられるうえ、開発期間が短く、打ち上げ機会を増やしやすいことから、航空宇宙事業を長年手掛ける大企業ばかりでなく、ベンチャー企業も参入している。
衛星コンステレーションはなにが凄いのか?~スターリンク(Starlink)を例に解説
通信衛星コンステレーションは、静止軌道上通信衛星のデメリットを解消するために開発されてきたといえる。
静止軌道上通信衛星とは、赤道上の高度約36000kmを周回する通信衛星だ。
地球の自転とほぼ同じ周期で移動するため、地上から見ると衛星がいつも同じ位置にとどまっているように見えることから、静止衛星と呼ばれている。
静止衛星には、通信の遅延がある、通信速度が遅い、特定の地域では通信が不可能というデメリットがある。
地上から高い位置を周回しているため、信号が伝送するのに時間がかかったり授受しにくかったりするばかりでなく、通信がしにくいエリアが生じやすい。
一方で、中低軌道衛星コンステレーションは、地上に近い位置に複数の衛星を打ち上げて連携させるため、通信の遅延が解消され、速度が速く、地球のあらゆる場所で通信が行えるのである。
また、光回線など有線のネットワークは地震などの有事に通信障害が生じやすいが、衛星通信ならそのような地上のネットワークのバックアップとしても活用することができる。
アンテナ設置は手軽!すぐに高速通信に接続できるスターリンク(Starlink)!
通信衛星コンステレーションビジネスで業界をリードしているスターリンク(Starlink)を例に、衛星コンステレーションの利便性を紹介していこう。
「Starlink(スターリンク)」はSpaceX(スペース・エックス)が開発・運用している小型衛星コンステレーションだ。
スペースXは、テスラの創業者でもあるイーロン・マスク氏が創業した宇宙ビジネスを手掛ける企業で、火星移住を目指してロケットの開発や宇宙輸送サービスを主力事業としている。
スペースXは2019年5月より量産型スターリンク(Starlink)の打ち上げを本格的に開始し、2023年7月の時点で4,746機を打ち上げている。
これは現在、稼働している人工衛星の約半数にあたると言われている。
2022年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まって間もなく、イーロン・マスクはウクライナの要請に応えるかたちでスターリンク(Starlink)を提供した。
以降、ウクライナ政府は大統領の演説配信をはじめさまざまな通信にこれを活用している。
また、ロシアに攻撃・支配されていた都市が解放された際には、数日で電話とインターネットを復旧させることができたという。
スターリンクを使ってインターネット接続を行うには、専用アンテナを設置し、ルーターとつなげて、パソコンやスマートフォンにアプリをダウンロードする程度の手間しかかからない。
アンテナの設置といっても、ピザほどの大きさの円形もしくは長方形のアンテナに脚を組み付けるような手軽さだ。
これを上空が開けた場所に設置する。すると、海上にある船舶からビデオ通話ができるほどの快適なインターネット環境が整う。
なお、スペースX 以外にも、ソフトバンクグループが筆頭株主となっているOneWebやamazonなどですでに衛星コンステレーションは事業化に至っているほか、国内大手ではNECが事業化を進めようとしている。
衛星コンステレーションのデメリットは?
通信に改革を起こすと注目が高まる小型衛星コンステレーションであるが、懸念点がないわけではない。ここからは衛星コンステレーションのデメリットを紹介していく。
まず、開発面において、小型化により低コストで開発できるようになったとはいえ、開発から打ち上げまでにも相当な費用がかかる。また、機体の寿命は数年と短く、ランニングコストも膨らむと考えられている。
次に運用面では、この先、衛星の数が増えていくと衛星同士の電波干渉が起こりやすくなると考えられる。
そして、複数の衛星を協調させるというシステム上、オペレーションの難易度が高いと言える。
また、観測衛星と地上の間を移動するため、天文観測において映り込みが生じる可能性は高まるだろう。
加えて、環境面で、スペースデブリ(宇宙ゴミ)を増やしかねない点も懸念されている。
役目を終えた衛星を回収するのは困難だが、放置したままにしておくと他の衛星や宇宙船に衝突するリスクがある。
衛星コンステは土木・建設業界でどのように使われる?
ここからは、土木・建設業界での小型衛星コンステレーションの活用事例を紹介していこう。
地震など災害発生時の状況把握や防災情報のネットワーク構築
科学技術によって災害発生の予見や災害発生時の被害の抑制、復旧・復興の早期化に取り組む防災科学技術研究所は、「小型SAR衛星コンステレーション」のデータを災害対策に活用している。
具体的には、地震・火山や風水害など各種災害が発生した際、ただちに被災状況を把握し、発災前後のデータを比較するなどして、被災状況の分析を行なう。
このほか、災害時に必要な情報を共有することで、効果的な災害対策を行うための基盤的防災情報流通ネットワークシステムの構築にも取り組んでいる。
河川増水の巡視や豪雨時の避難支援にデータ活用
水分野に特化した総合建設コンサルタントである日水コンは、衛星観測データを活用したソリューションサービスを展開するSynspective(シンスペクティブ)と戦略的提携を結び、国内の上下水道分野における衛星データ活用促進に取り組む。
小型SAR衛星コンステレーションから浸水情報を取得し、災害時の情報提供や水防活動に役立てるという。
防水活動とは、大雨で河川が増水した際の見回り、堤防を守るための土のう積みといった作業のことで、これらの作業をスムーズに進められるばかりでなく避難支援にもつなげる見込み。また、雨水管理計画の策定にも活用される。
山間部にある現場や施設の通信環境の改善
2022年10月、KDDIは法人や自治体向けにスターリンクの導入支援を行う「認定スターリンクインテグレーター」の資格を取得した。
KDDIでは、スターリンクのサービスを法人・自治体向けに提供する「スターリンクビジネス」に加え、スターリンクを活用することでauエリアを拡大させるソリューション「サテライトモバイルリンク」の提供を行っている。
「サテライトモバイルリンク」は山間部や島しょ地域に基地局を設置し、建設現場の安全管理、ドローン点検保守、インフラ施設の維持管理に利用することを想定している。
衛星コンステ×ドローンで鉄塔点検やAI画像解析
KDDIグループでドローン事業を手がけるKDDIスマートドローンは、モバイル通信に対応したドローン「スマートドローン」を用いて、遠隔操作による荷物の運搬、建設・農業・インフラ・災害に関するリアルタイムでの情報収集を手掛けている。
2023年6月には、鉄塔点検業務を効率化するドローン点検サービスをローンチした。
これは送電鉄塔の点検で、ドローン撮影によって取得したデータを使ってAI画像解析を行い、不良箇所の判定や帳票作成をサポートするというものだ。鉄塔点検における業務効率化・省人化を見込んでいる。
日本版GPS「みちびき」の衛星増数により、3次元測量の精度が向上!スマホ3次元測量アプリ「OPTiM Geo Scan」なら導入もカンタン
これまで紹介したように、衛星コンステレーション事業に取り組む事業者は近年増えており、関連するサービスも今後ますます多くなることが予測される。
たとえば、日本が運用する準天頂衛星システム※「みちびき」は、日本版GPSともよばれる衛星測位システム(Global Navigation Satellite System/GNSS)で、2018年11月より4機体制で運用されている。これが今後、2025年までに3機を追加で打ち上げ、7機体制での運用する計画だという。
現在は他国のGNSSも利用しながら測位の精度を維持しているが、7機体制になることで常時4機が日本の上空に滞空している状態を維持でき、みちびき単独での持続測位が可能になる。
GNSSを利用した3次元測量機器には、レベルやトータルステーション、トランシット(セオドライト)などがあるが、近年はモバイル端末やドローンを用いた製品も増えている。
なかでもスマホ3次元測量アプリ「OPTiM Geo Scan」は、GNSSレシーバーとiPhone(iPad Pro)※があれば、簡単に高精度な3次元測量を行なえる。なお、測量士(測量士補)の資格や専門知識がなくても容易に操作できるのが大きな特徴だ。※LiDAR搭載機種に限る。
スマホアプリとはいえ、OPTiM Geo Scanは、令和4年度の国土交通省 「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」にも準拠しており、高精度な測位が可能で、測量データは「出来形測量」「起工測量」でも使用することができる。
つまり、出来形管理計測に利用するため必要な高い精度(±50mm)を実現しているのだ。NETIS登録製品でもある。
技術の革新は日進月歩。ひと昔前にはスマホで測量などとは考えられなかったかもしれないが、実際に試してみると、手軽さや精度の高さに驚かされるだろう。
WRITTEN by
三浦 るり
2006年よりライターのキャリアをスタートし、2012年よりフリーに。人材業界でさまざまな業界・分野に触れてきた経験を活かし、幅広くライティングを手掛ける。現在は特に建築や不動産、さらにはDX分野を探究中。
建設土木の未来を
ICTで変えるメディア