コラム・特集
國廣 愛佳 2023.9.15

「電子基準点」と「三角点」とは?【測量のことイチから解説】

測量の基礎をおさらいする企画記事「測量のことイチから解説」。今回は「電子基準点」と「三角点」について解説していく。

衛星の電波を受信し続ける「電子基準点」


衛星を使った測量といえば、全地球測位システム「GPS」(Global Positioning System)。アメリカが航空機などの位置情報を把握するために打ち上げた衛星を活用したシステムだ。

(Shutterstock)

GPSを含め、アメリカ、ロシア、EU、日本などの衛星測位システムの総称が「GNSS」(Global Navigation Satellite System)と呼ばれている。ちなみに、日本の「みちびき」は、2018年11月から計4機運用されている。

このGNSS衛星の電波を、地上で24時間365日連続して受信し続けているポイントが「電子基準点」だ。

(撮影:宇佐美 亮)

日本全国に約1,300点、主な離島を含め約20km間隔で設置されており、国土をくまなくカバーする。国土地理院が管理する国家基準点のひとつで、国内で緯度、経度、高さなどを示すための基準「国家座標」と整合している。

“点”と呼ぶが、外観は高さ5mほどのステンレス製の柱だ。上部にはGNSS衛星からの電波を受信するアンテナ、内部には受信機と通信用機器などが格納されている。

(撮影:宇佐美 亮)

電子基準点で観測されたリアルタイムデータは、2002年から民間開放がスタート。公益社団法人日本測量協会が国土地理院からデータ提供を受け、品質検査や遅延を監視したうえで、民間の位置情報サービス事業者に配信している。

また、国土地理院のウェブサイトでは、電子基準点配点図が公開されており、各地の点名、基準点コード、電波受信の状態、設置場所の写真などを見ることができる。

緯度・経度を示す「三角点」


衛星からのデータを受信する電子基準点に対し、測量に基づいて全国に約10万点設置されているのが「三角点」。

国内の位置(緯度・経度)の基準を表す国家基準点で、都市計画図の整備や公共工事を行う際の位置の基準になる。

(Shutterstock)

山の頂上付近など見晴らしのいい場所や、公園の敷地内などに、花崗岩などの丈夫な石材でできた「標石」、真鍮やステンレスでできた「金属標」として設置されているため、日々の生活の中で目にする機会も多い。

歴史は古く、明治時代に全国の地図作成のために設置したのがはじまり。当時、三角測量を使ったことから三角点という名称がついた。

現在の測量には、衛星からのデータを受信して位置を示す「GNSS測量機」、距離を測る測距儀と角度を測るセオドライドがひとつになった「トータルステーション」のいずれかが用いられている。

(Shutterstock)

地震などにより三角点の設置されている地面が動くと、三角点の位置も変動してしまう。最軽量が必要となるが、地震前後の三角点のデータを比較することで変動を知ることができるほか、その情報を公開することで、三角点に基づいて作成された地図等の改定が可能となるなど、災害復旧にも役立てられている。

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参考:
https://www.gsi.go.jp/denshi/denshi_about_GEONET-CORS.html
https://www.jsurvey.jp/9.htmhttps://qzss.go.jp/overview/column/geonet1_160513.html
https://www.gsi.go.jp/sokuchikijun/sankaku-top.html
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WRITTEN by

國廣 愛佳

創業支援や地域活性を行う都内のまちづくり会社に勤務後、2019年よりフリーランス。紙面やwebサイトの編集、インタビューやコピーライティングなどの執筆を中心に、ジャンルを問わず活動。四国にある築100年の実家をどう生かすかが長年の悩み。

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