コラム・特集
光波測距儀とは? 位相差を利用して距離を測る原理からトータルステーションへの進化や弱点まで解説!
現代の測量機器の原点ともいえる「光波測距儀(こうはそっきょぎ)」。
いまや測量の主役はトータルステーション(TS)やGNSS測量へと移っているが、その距離測定の心臓部には、光波測距儀が切り開いた技術が受け継がれている。
一方の点に光波測距儀を、もう一方の点に反射プリズムを据え付け、光を往復させることで距離を求める。
(画像元:レックス 光波距離計 のレンタルWEBサイトより引用)
本記事では、光波測距儀の測定原理から、電波測距儀との違い、トータルステーションへと発展した歴史、そして弱点までを、基礎からわかりやすく解説していく。
かつての測量では、離れた2点間の距離を直接測ることは容易ではなかった。
明治から昭和初期にかけては、三角形を次々に作り、角度から距離を計算する「三角測量」が主流で、基準となる基線の測定には、基線尺などを使って慎重に距離を測る必要があった。
(画像元:国土地理院 三角点の測量方法 WEBサイトより引用)
この状況を一変させたのが光波測距儀である。
日本では1960年代後半(昭和40年代)から光波測距儀の本格的な運用が始まり、光を使って距離を直接測れるようになったことで、三角測量に代わる三辺測量などが可能になり、長距離の測量を効率化できるようになった。
測量に要する時間と人員は大幅に削減され、測量の効率と可能性は飛躍的に広がったのである。
なお、光波測距儀の考え方の源流は、19世紀のフランスの物理学者アルマン・フィゾーによる光速測定の実験にあるとされる。

実用的な機器としては、1940年代後半にスウェーデンのエリック・ベルグストランドが開発し、その後AGA社から商用機が登場した「ジオジメーター」が先駆と言われている。
(画像元:スウェーデンのAGA社 ジオジメーター(Geodimeter)6BL型/https://uenishi.on.coocan.jp/k200keiigi.htmlより引用)
では、光波測距儀はどのようにして距離を測っているのか。
代表的な方式の一つが、光を変調して、その位相差を利用する「位相差測定方式」だ。
光波測距儀は、一定の周期で強度を変化させた(変調した)光を、反射プリズムに向けて発射する。
発射された光はプリズムで反射して戻ってくるが、その間に光は測定対象との間を往復している。

このとき、発射した光に与えた変調信号と、反射して戻ってきた光の変調信号との「位相のずれ(位相差)」を測定する。
変調信号の周波数は分かっているため、位相差と整数周期の関係から光の往復距離を求め、2点間の距離を高精度に算出する。
位相差だけでは、光が何周期分進んだのかを一意に判断できない場合がある。
そこで、異なる変調周波数(=異なる変調波長)の信号を組み合わせることで、距離の「曖昧さ」を解消しながら、長い距離でも高精度に測定できるようにしている。
なお、光源には赤外線などを用いるものがあり、レーザーを利用した機種もある。
レーザーは指向性が高く、測距対象を狙いやすいことから、測量機器で広く利用されている。
距離を測る測距儀には、光を使う「光波測距儀」のほかに、電波を使う「電波測距儀」がある。
この2つを合わせて「電磁波測距儀」と総称する。
両者の違いを整理すると、次のようになる。
光波測距儀では、赤外線などの光を利用するほか、レーザーを利用した機種もある。レーザーは指向性が高く、測距対象を狙いやすいことから、測量機器などで利用されている。
一方で、光を使う以上、雲・霧・雨といった悪天候の影響を受けやすいという弱点がある。
日本の測量現場で「測距儀」といえば、一般に光波測距儀を指すことが多い。
光波測距儀の登場後、距離を測る光波測距儀と、角度を測る経緯儀(セオドライト)を併用する測量が一般的になっていった。
やがて、経緯儀の上に光波測距儀を装着する形が広がり、1980年には両者を一体化した測量機器が登場する。
日本では同年、光波距離計と経緯儀を一体化した「EDMセオドライト GTS-1」が発売された。
これが後に「トータルステーション(TS)」と呼ばれるようになる機器だ。
トータルステーションは、電子セオドライト(角度測定)と光波距離計(距離測定)を組み合わせ、1台で水平角・鉛直角・距離を測定できる。
多くのトータルステーションでは、望遠鏡の視準方向と測距光の光軸を同軸化しており、同じ対象を狙って測角と測距を行える。測定したデータを電子的に記録・出力できるのも特長だ。
さらに近年は、記録・計算・図化までを一連の流れで行えるようになり、一部の機種では1人での遠隔操作(ワンマン測量)も可能になった。
つまり、現在広く使われているトータルステーションの「距離を測る」部分は、光波測距儀の技術がそのまま受け継がれ、進化したものなのである。
距離測定を革新した光波測距儀だが、光を使う原理ゆえの弱点もある。
ひとつは、前述のとおり悪天候に弱いことだ。雨や霧、雪による光の減衰・散乱だけでなく、気温や気圧、湿度などの大気状態も、光の屈折率を変化させて測距精度に影響する。
もうひとつは、測る2点の間に「見通し」が必要なことだ。光を往復させて測る以上、器械とプリズムの間に障害物があると測定できない。
さらに、器械やプリズムを正確に据え付ける技術も求められる。据え付け位置がずれれば、そのまま測定誤差につながる。
これらは、光学的に距離を測るという方式である以上、避けて通れない特性といえる。
なお、現在のトータルステーション(TS)には、反射プリズムを使わず、対象物からの反射光を利用して距離を測る「ノンプリズム測距」に対応した機種もある。
光波測距儀とトータルステーションは、長らく測量の主役を担ってきた。
しかし、これまで見てきたように、「2点間の見通しが必要」「器械とプリズムの据え付けに技術がいる」「従来のプリズム測量では、器械側とプリズム側に分かれて作業することが多かった」といった制約も抱えている。
こうした制約にとらわれない、新しい測量のかたちとして広がっているのが、衛星測位(GNSS)を使った測量だ。
GNSS測量は、地上の2点間で直接光を通す必要がなく、衛星からの信号を利用して位置を求めるため、地上の2点同士が見通せない場所でも測量できる場合がある。
このGNSS測量を、普段使いのiPhone Proで実現するのが、高精度スマホ測量「OPTiM Geo Scan」である。

LiDAR搭載のiPhone Proと、GNSSレシーバーで取得した位置情報を組み合わせて測量を行う。
専門的な測量機器の操作に不慣れな人でも、簡単に1人で測量できることを特徴としている。
注目すべきはその精度である。2026年3月、オプティムは「OPTiM Geo Scan」の単点計測において、水平・鉛直方向ともにミリ単位の測位精度を実現している。

これにより、位置のXYZ座標を高精度に取得でき、従来はトータルステーションで行っていた構造物の位置出しや墨出しにも対応できるとしている。
「OPTiM Geo Scan」は、国土交通省の新技術情報提供システムNETISにおいて、事後評価の最高評価「VE」を獲得している(登録番号:QS-210050-VE)。
NETIS登録技術の活用提案は、工事成績評定や総合評価方式での加点対象となる場合がある。
プリズムを使う従来の光波測量とは異なる、スマートフォンを活用した新しい測量の選択肢が広がっている。
いまや測量の主役はトータルステーション(TS)やGNSS測量へと移っているが、その距離測定の心臓部には、光波測距儀が切り開いた技術が受け継がれている。
光波測距儀とは、光(赤外線やレーザー)を使って、2点間の距離を高精度に測定する測量機器のことである。
一方の点に光波測距儀を、もう一方の点に反射プリズムを据え付け、光を往復させることで距離を求める。
(画像元:レックス 光波距離計 のレンタルWEBサイトより引用)本記事では、光波測距儀の測定原理から、電波測距儀との違い、トータルステーションへと発展した歴史、そして弱点までを、基礎からわかりやすく解説していく。
光波測距儀とは? 距離測定を一変させた測量機器
かつての測量では、離れた2点間の距離を直接測ることは容易ではなかった。
明治から昭和初期にかけては、三角形を次々に作り、角度から距離を計算する「三角測量」が主流で、基準となる基線の測定には、基線尺などを使って慎重に距離を測る必要があった。
(画像元:国土地理院 三角点の測量方法 WEBサイトより引用)この状況を一変させたのが光波測距儀である。
日本では1960年代後半(昭和40年代)から光波測距儀の本格的な運用が始まり、光を使って距離を直接測れるようになったことで、三角測量に代わる三辺測量などが可能になり、長距離の測量を効率化できるようになった。
測量に要する時間と人員は大幅に削減され、測量の効率と可能性は飛躍的に広がったのである。
なお、光波測距儀の考え方の源流は、19世紀のフランスの物理学者アルマン・フィゾーによる光速測定の実験にあるとされる。

実用的な機器としては、1940年代後半にスウェーデンのエリック・ベルグストランドが開発し、その後AGA社から商用機が登場した「ジオジメーター」が先駆と言われている。
(画像元:スウェーデンのAGA社 ジオジメーター(Geodimeter)6BL型/https://uenishi.on.coocan.jp/k200keiigi.htmlより引用)光波測距儀の測定原理とは? 「位相差」で距離を測る
では、光波測距儀はどのようにして距離を測っているのか。
代表的な方式の一つが、光を変調して、その位相差を利用する「位相差測定方式」だ。
位相差測定の基本的な考え方
光波測距儀は、一定の周期で強度を変化させた(変調した)光を、反射プリズムに向けて発射する。
発射された光はプリズムで反射して戻ってくるが、その間に光は測定対象との間を往復している。

このとき、発射した光に与えた変調信号と、反射して戻ってきた光の変調信号との「位相のずれ(位相差)」を測定する。
変調信号の周波数は分かっているため、位相差と整数周期の関係から光の往復距離を求め、2点間の距離を高精度に算出する。
複数の周波数を使う理由
位相差だけでは、光が何周期分進んだのかを一意に判断できない場合がある。
そこで、異なる変調周波数(=異なる変調波長)の信号を組み合わせることで、距離の「曖昧さ」を解消しながら、長い距離でも高精度に測定できるようにしている。
なお、光源には赤外線などを用いるものがあり、レーザーを利用した機種もある。
レーザーは指向性が高く、測距対象を狙いやすいことから、測量機器で広く利用されている。
光波測距儀と電波測距儀の違いは?
距離を測る測距儀には、光を使う「光波測距儀」のほかに、電波を使う「電波測距儀」がある。
この2つを合わせて「電磁波測距儀」と総称する。
両者の違いを整理すると、次のようになる。
| 項目 | 光波測距儀 | 電波測距儀 |
| 使う波 | 光(赤外線など) | 電波(マイクロ波など) |
| 測定精度 | 高精度な測距に適する | 光波方式とは異なる特性を持つ |
| 天候の影響 | 受けやすい | 光波より受けにくい |
| 国内の測量 | 広く普及 | 光波方式ほど一般的ではない |
光波測距儀では、赤外線などの光を利用するほか、レーザーを利用した機種もある。レーザーは指向性が高く、測距対象を狙いやすいことから、測量機器などで利用されている。
一方で、光を使う以上、雲・霧・雨といった悪天候の影響を受けやすいという弱点がある。
日本の測量現場で「測距儀」といえば、一般に光波測距儀を指すことが多い。
トータルステーション(TS)への進化。光波測距儀の現在
光波測距儀の登場後、距離を測る光波測距儀と、角度を測る経緯儀(セオドライト)を併用する測量が一般的になっていった。
やがて、経緯儀の上に光波測距儀を装着する形が広がり、1980年には両者を一体化した測量機器が登場する。
日本では同年、光波距離計と経緯儀を一体化した「EDMセオドライト GTS-1」が発売された。
これが後に「トータルステーション(TS)」と呼ばれるようになる機器だ。
トータルステーションは、電子セオドライト(角度測定)と光波距離計(距離測定)を組み合わせ、1台で水平角・鉛直角・距離を測定できる。
多くのトータルステーションでは、望遠鏡の視準方向と測距光の光軸を同軸化しており、同じ対象を狙って測角と測距を行える。測定したデータを電子的に記録・出力できるのも特長だ。
さらに近年は、記録・計算・図化までを一連の流れで行えるようになり、一部の機種では1人での遠隔操作(ワンマン測量)も可能になった。
つまり、現在広く使われているトータルステーションの「距離を測る」部分は、光波測距儀の技術がそのまま受け継がれ、進化したものなのである。
光波測距儀の弱点(デメリット)とは?
距離測定を革新した光波測距儀だが、光を使う原理ゆえの弱点もある。
ひとつは、前述のとおり悪天候に弱いことだ。雨や霧、雪による光の減衰・散乱だけでなく、気温や気圧、湿度などの大気状態も、光の屈折率を変化させて測距精度に影響する。
もうひとつは、測る2点の間に「見通し」が必要なことだ。光を往復させて測る以上、器械とプリズムの間に障害物があると測定できない。
さらに、器械やプリズムを正確に据え付ける技術も求められる。据え付け位置がずれれば、そのまま測定誤差につながる。
これらは、光学的に距離を測るという方式である以上、避けて通れない特性といえる。
なお、現在のトータルステーション(TS)には、反射プリズムを使わず、対象物からの反射光を利用して距離を測る「ノンプリズム測距」に対応した機種もある。
光波測距儀とは異なる新しい選択肢。高精度スマホ測量「OPTiM Geo Scan」
光波測距儀とトータルステーションは、長らく測量の主役を担ってきた。
しかし、これまで見てきたように、「2点間の見通しが必要」「器械とプリズムの据え付けに技術がいる」「従来のプリズム測量では、器械側とプリズム側に分かれて作業することが多かった」といった制約も抱えている。
こうした制約にとらわれない、新しい測量のかたちとして広がっているのが、衛星測位(GNSS)を使った測量だ。
GNSS測量は、地上の2点間で直接光を通す必要がなく、衛星からの信号を利用して位置を求めるため、地上の2点同士が見通せない場所でも測量できる場合がある。
このGNSS測量を、普段使いのiPhone Proで実現するのが、高精度スマホ測量「OPTiM Geo Scan」である。

LiDAR搭載のiPhone Proと、GNSSレシーバーで取得した位置情報を組み合わせて測量を行う。
専門的な測量機器の操作に不慣れな人でも、簡単に1人で測量できることを特徴としている。
注目すべきはその精度である。2026年3月、オプティムは「OPTiM Geo Scan」の単点計測において、水平・鉛直方向ともにミリ単位の測位精度を実現している。

これにより、位置のXYZ座標を高精度に取得でき、従来はトータルステーションで行っていた構造物の位置出しや墨出しにも対応できるとしている。
「OPTiM Geo Scan」は、国土交通省の新技術情報提供システムNETISにおいて、事後評価の最高評価「VE」を獲得している(登録番号:QS-210050-VE)。
NETIS登録技術の活用提案は、工事成績評定や総合評価方式での加点対象となる場合がある。
プリズムを使う従来の光波測量とは異なる、スマートフォンを活用した新しい測量の選択肢が広がっている。
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