コラム・特集
基準点測量の計画で押さえるべき基礎を紹介! 〜 新点間距離・夾角・外周角・路線長の要点を整理 〜
はじめに 〜 すべての測量は「基準点」から始まる 〜
道路や橋、造成といったあらゆる工事は、正確な位置の基準がなければ成り立たない。
その位置の拠りどころとなるのが「基準点」であり、基準点を新たに設ける作業が基準点測量だ。
ただし、基準点はどこにどう置いてもよいわけではない。
公共測量では「作業規程の準則」によって、基準点をどう配置し、どんな形状の路線で結ぶかが細かく定められている。
計画の段階でこの決まりを外すと、後続の作業に支障をきたし、成果が認められないことにもなりかねない。
本記事では、国土地理院が示す基準点測量の計画の基礎知識をもとに、新点間距離、路線図形(夾角・外周角)、路線長、路線辺数といった、計画段階で押さえるべき要点を整理する。
そもそも「基準点測量」とは何か?
基準点測量とは、既知点を基準として基準点を新設・改測・復旧する測量のことである。
このうち本記事で扱うのは、新たに基準点を設ける「新設」の計画だ。
このとき、よりどころとなる既存の点を「既知点」、新たに設ける点を「新点」と呼ぶ。

既知点には、国が設置した電子基準点や三角点、あるいは公共団体が設けた基準点などがあり、いずれも位置座標が正確に定められている。
これらの既知点からトータルステーション(TS)やGNSSによって方向・角度・距離を観測し、新点の位置を決めていく。
1級から4級までの区分
公共測量における基準点測量は、既知点の種類、既知点間の距離、そして新点間の距離に応じて、1級・2級・3級・4級の4つに区分される。
そして、1級基準点測量によって設けられた基準点を1級基準点、2級基準点測量によるものを2級基準点、というように呼ぶ。
ここで注意したいのが、数字と精度の関係だ。基準点測量では、数字が小さいほど上位にあたる。
1級がもっとも規模が大きく既知点間距離や新点間距離も長い。級が下がるにつれてより狭い範囲を細かく測る測量になっていく。
この「上位から下位へ」という考え方が、以下で見ていく各種の規定を理解する土台となる。
新点間距離。級ごとに定められた点の間隔
計画でまず意識するのが、新点をどれくらいの間隔で設けるかという「新点間距離」だ。
新点間距離とは隣り合う新点同士の距離をいう。
後続の作業を適切に行うためには、各級に応じた新点間距離を確保することが望ましいとされている。
作業規程の準則(第22条)にもとづく級ごとの新点間距離は、次のとおりである。
| 項目 \ 区分 | 1級基準点測量 | 2級基準点測量 | 3級基準点測量 | 4級基準点測量 |
| 新点間距離 | 1,000m | 500m | 200m | 50m |
上位の級ほど新点の間隔が広く、下位になるほど密に配置されることが、この数値からも読み取れる。
既設の基準点が近くにある場合
ひとつ補足しておきたいポイントがある。近くに既設の基準点がある場合は、それらの基準点を含めた「点間距離」を考慮する必要がある。
そして、既設の基準点が近くにある場合には、新点同士の距離が定められた値より長くなってもよいとされている。

現場に既存の基準点が点在しているケースでは、この考え方が計画の自由度を広げてくれる。
路線図形の制限。夾角と外周角
新点をどこに置くかと並んで重要なのが、既知点と新点をどう結ぶか、すなわち路線の「形」だ。
極端に鋭く折れ曲がった路線や、いびつな形状は、観測の精度を損なう。
そのため準則(第23条)では、路線図形に関する制限が設けられている。
夾角(きょうかく)は60°以上
夾角とは、路線の途中の辺と辺で形成される角のことである。
路線が途中で極端に鋭角的に折れ曲がっていると、測量の精度に影響する。

このため夾角は、1級から4級まですべての級で、60°以上とすることが定められている。
| 項目 \ 区分 | 1級基準点測量 | 2級基準点測量 | 3級基準点測量 | 4級基準点測量 |
| 路線図形の夾角 | 60°以上 | 60°以上 | 60°以上 | 60°以上 |
計画の際は、路線の途中に極端に鋭角で折れ曲がる新点がないかを確認しておきたい。
外周角は級によって40°または50°以内
もうひとつの制限が外周角だ。
外周角とは既知点同士を結ぶ基線から外側へ、路線が折れ曲がる角のことである。
より厳密にいえば、既知点と他の既知点を結ぶ直線と、その外側にある新点方向とがなす角をいう。
この外周角には、級によって異なる上限が定められている。

1級・2級基準点測量では40°以内、3級・4級基準点測量では50°以内である。
| 項目 \ 区分 | 1級基準点測量 | 2級基準点測量 | 3級基準点測量 | 4級基準点測量 |
| 路線図形の外周角 | 40°以内 | 40°以内 | 50°以内 | 50°以内 |
夾角が全級共通なのに対し、外周角は上位の級ほど制限が厳しくなる点が特徴だ。
路線長と路線辺数。方式によって変わる規定
最後に、路線そのものの長さと、路線を構成する辺の数に関する規定を見ておく。
ここは、測量の「方式」によって値が変わるため、やや複雑だ。
2つの方式
基準点測量の路線には2つの組み方がある。
ひとつが、既知点から交点を経由して既知点へとつなぐ結合多角方式。

もうひとつが、既知点から他の既知点までを一本の路線で結ぶ単路線方式である。
国土地理院の資料では、1級・2級は結合多角方式が基本とされている。路線長の規定
路線長は、単路線の場合は既知点から他の既知点までの路線の長さ、結合多角の場合は既知点から交点まで、または交点から他の交点までの路線の長さをいう。
準則(第23条)にもとづく主な値は、次のとおりだ。
- 結合多角方式:1級が3km以下、2級が2km以下、3級が1km以下、4級が500m以下
- 単路線方式:1級が5km以下、2級が3km以下、3級が1.5km以下、4級が700m以下
なお、1級・2級でGNSS測量機を使用する場合:結合多角で5km以下とするなど、条件に応じた例外も定められている。
路線辺数の制限
路線辺数とは、単路線の場合は既知点から他の既知点までの辺の数、結合多角の場合は既知点から交点まで、または交点から他の交点までの辺の数をいう。
準則(第23条)にもとづく主な値は、次のとおりである。
- 結合多角方式:1級が5辺以下、2級が6辺以下、3級が7辺以下、4級が10辺以下
- 単路線方式:1級が7辺以下、2級が8辺以下、3級が10辺以下、4級が15辺以下
いずれも、路線が長く辺の数が多くなるほど誤差が蓄積しやすくなるため、級に応じた上限が設けられている、と理解しておけばよい。
なお、路線長・路線辺数のいずれについても、電子基準点のみを既知点として設置した基準点を既知点に使用した場合には異なる値が定められている。
計画にあたっては、使用する既知点の種類まで含めて準則を確認することが欠かせない。
計画例で見る「よくあるNGと対処法」
ここまで見てきた規定は、実際の平均計画図(測量の計画段階で作る路線の設計図)の上で、しばしば「引っかかる」ポイントになる。
国土地理院が示す計画例をもとに、代表的なつまずきと対処の考え方を見ておこう。
いずれも共通するのは、点の級や路線の組み方を見直すことで解消できるという点だ。
新点間距離・路線長の超過
新設する路線が長くなりすぎ、級ごとに定められた新点間距離や路線長の上限を超えてしまうケース。
途中の点をより上位の級の基準点に変更し、区間の取り方を見直すことで解消できる。
(画像元:国土地理院 資料より引用)夾角の不足
路線が途中で鋭く折れ曲がり、夾角が60°を下回ってしまうケース。
該当する新点を上位の級に変更し、既設点を活用した多角方式へ組み替えることで、夾角を確保する。
(画像元:国土地理院 資料より引用)外周角の超過
既知点同士を結ぶ基線からの折れ曲がりが大きく、外周角が制限(1〜2級で40°以内、3〜4級で50°以内)を超えてしまうケース。
近傍の既知点を路線に追加することで、外周角の超過を解消する。
(画像元:国土地理院 資料より引用)路線辺数・路線長の超過
辺の数が多くなりすぎ、路線辺数や路線長が上限を超えてしまうケース。
路線を一度分割したうえで、上位級の基準点へと変更することで、規定内に収める。
節点の交点化
路線が長くなりすぎる場合、路線を分割して節点を設けて対応する。
ただし、節点は準則で使用が原則認められていないため、路線長の調整のために点を設ける場合は、その点を「交点」に変更する必要がある。
(画像元:国土地理院 資料より引用)既知点の不足・過剰
既知点が近傍に足りず、既知点間距離を超えてしまうケースでは、近傍の路線基準点を既知点として追加する。

(画像元:国土地理院 資料より引用)逆に、既知点が多すぎて計画図が煩雑になるケースでは、一部の既知点を新点(近傍の路線基準点)へと変更し、既知点として使用する数を絞る。
《 計画図の上で「事前に」気づくことの意義 》
これらの例に共通するのは、いずれも観測を始める前の、計画図の段階で発見・修正できるという点だ。
現場で観測を進めてから制限違反に気づけば、大きな手戻りになる。
だからこそ、新点間距離・路線長・夾角・外周角・路線辺数といった規定を、平均計画図の上で一つひとつ確認することが重要になる。
これらの例に共通するのは、いずれも観測を始める前の、計画図の段階で発見・修正できるという点だ。
現場で観測を進めてから制限違反に気づけば、大きな手戻りになる。
だからこそ、新点間距離・路線長・夾角・外周角・路線辺数といった規定を、平均計画図の上で一つひとつ確認することが重要になる。
高精度スマホ測量「OPTiM Geo Scan」で、基準点測量の超時短を達成しよう
ここまで見てきたように、基準点測量の計画は、新点間距離から路線図形、路線長・路線辺数まで、準則にもとづく多くの規定を突き合わせる緻密な作業だ。
そして、こうして整備された基準点は、現場のさまざまな測量の拠りどころとして活用されていく。
その現場側の測量に今、いつものスマートフォンを使うという選択肢も広がっている。
オプティム社の高精度スマホ測量「OPTiM Geo Scan」はiPhone ProとGNSSレシーバーで測量が完結するサービスだ。

精度面では、独自の測量データ処理技術により、単点計測において水平・鉛直方向ともにミリ単位の測位精度を実現している
国土交通省の新技術情報提供システムNETISでは、事後評価における最高評価「VE」を獲得している(登録番号:QS-210050-VE)。

現場の測量がどう変わるのか、詳しくは以下の特設サイトで確認してほしい。
WRITTEN by
建設土木のICT活用など、
デジコンからの最新情報をメールでお届けします
(画像元: