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デジコン編集部 2026.5.29
大人気シリーズ!【いまさら聞けない?】測量のことイチから解説 〜 連載記事一覧 〜

トータルステーション・杭ナビの購入・運用コストはいくら?隠れたコストも含めて徹底解説

トータルステーション(TS)や杭ナビを導入する際、「本体価格」だけに目が行きがちだ。しかし実際には、本体購入後も維持費・校正費・人件費などのコストが継続的に発生する。本記事では、TSと杭ナビにかかる費用の全体像を整理し、導入前に押さえておくべきポイントをまとめる。

トータルステーション(TS)の購入コスト


機種別の価格帯


TSの価格は機種・機能によって幅が大きい。以下は市場参考値をもとにした目安だ(実際の価格は機種・商談・時期により異なる)。

カテゴリ 購入価格の目安
汎用TS(エントリーモデル) 30〜80万円程度
汎用TS(ミドル〜ハイエンド) 80万〜150万円超
自動追尾型TS(汎用) 150万〜400万円前後

測角精度は機種により2"〜10"(アークセカンド)の幅があり、5"前後のクラスが建設現場での主流だ。国内シェアではトプコン(GT-1200系等)が高い実績を持ち、ソキア(トプコングループ)、ニコン・トリンブル等が主な選択肢として挙げられる。

周辺機器のコストも必要になる


本体だけでは現場作業はできない。三脚・反射プリズム(360°プリズム含む)・プリズムポール・タブレット端末・専用ソフトウェアライセンスなど、複数の周辺機器を組み合わせる必要がある。これらを含めると、導入時の総費用は本体価格の1.2〜1.5倍以上になるケースも多い。

リース・レンタルという選択肢


機器を所有せずリース・レンタルで使う選択肢もある。レンタルの市場参考値として、汎用TSで700〜850円/日(別途基本料金8,000円前後)、高機能な自動追尾型TSで3,950〜4,100円/日(基本料金24,000〜25,000円程度)が見られる。頻度が低い現場での単発利用にはコストメリットがある。一方、月単位・年単位で常時使う現場では購入の方がトータルコストで有利になることが多い。

購入・リース・レンタル 選択の目安


状況 推奨する選択肢
年間稼働日数が多い(50日超) 購入またはリース
年間稼働日数が少ない(10〜50日程度) リース(月次コストの平準化)か、頻度によってレンタル
単発・試験的な利用(〜10日) レンタル
初期資金を抑えたい リース(頭金なし)またはレンタル
数年後に最新機種へ入れ替えを想定 リース(期間終了後に最新機種へ切り替えやすい)

損益分岐の概算として、購入費用÷年間レンタル日数(基本料込の実質日額)で「何日以上使えば購入が割安か」を試算できる。たとえば汎用TS購入費100万円・レンタル実質日額5,000円相当であれば、年間200日分のレンタルコストに相当し、それ以上の稼働なら購入が有利という目安になる(実際には校正費・修理費・減価償却も加味した総コスト比較が望ましい)。

関連記事:杭ナビとトータルステーションの違いとは?

杭ナビの購入コスト



LN-160の価格


杭ナビの現行モデルLN-160の国内標準価格は2,673,000円(税込)(トプコン公式発表)。販売店によっては200万円程度の価格で取り扱っているケースもあるが、いずれにせよ自動追尾型TSと同等かそれ以上の初期費用となる。

LN-100では150万円程度の価格で販売されている事例も見られるが、機能・スペックの差を確認した上で選択したい。

対応アプリ・タブレット・周辺機器費用が別途必要


杭ナビ本体に加えて、以下の費用が別途必要になる。

  • 対応アプリのライセンス費用:TopLayout(トプコン・無料)、快測ナビ(建設システム)、FIELD-TERRACE(福井コンピュータ)等、使用するソフトによって異なる
  • タブレット端末:現場での操作に使用するAndroid/iPadタブレット
  • 追加プリズム・ポール等の周辺機器

本体標準価格に対応アプリとタブレットを加えると、フルセットでは280〜330万円超の初期投資になることが多い。

杭ナビのレンタル


杭ナビのレンタル料金は、LN-160で70,000円程度/月、LN-100で48,000円程度/月という

各社「要見積もり」となっているケースが多い。単発使用であれば短期レンタルで費用を抑えることも可能だが、長期稼働が見込まれる現場ではリース・購入との費用比較を行うことをすすめる。

導入後も続く維持・運用コスト


定期校正・点検費用


TSも杭ナビも、精密測量機器として定期的な校正が必要だ。日本測量機器工業会(JSIMA)では年1回の定期校正を推奨しており、稼働頻度が高い現場ではさらに頻繁な点検が求められる。

校正・点検費用は機種・業者によって異なるが、事例として13万円台から(点検・調整費込み)の費用が報告されている。

この費用は毎年発生するため、長期的な維持コストとして計算に入れる必要がある。

修理費・修理期間中の対応


精密機器のため故障リスクもゼロではない。修理費用は見積もりベース(数万〜数十万円)で、修理期間は7〜14日程度が目安となっている。修理中は現場の測量作業ができなくなるため、高稼働現場では代替機の確保や工程への影響も考慮に入れておきたい。

操作習熟・人材確保コスト


TSは操作に専門知識が必要なため、習熟するまでの研修・教育コストがかかる。また、公共測量では測量士・測量士補の資格保持者が必要になるケースがあり、資格者の確保・育成コストも見落とせない。

担当者が異動・退職した際の後継者育成も継続コストとして意識しておく必要がある。

TSと杭ナビのコスト比較


以下に、TSと杭ナビの初期費用・年間維持費をまとめる(数値はすべて目安)。

費用項目 汎用TS(ミドルクラス) 自動追尾型TS 杭ナビ LN-160
本体価格(目安) 80〜150万円 150〜400万円 267万円(標準)
周辺機器等 +α(三脚・プリズム等) +α +アプリ・タブレット等
導入総コスト目安 100〜200万円 200万〜 280〜330万円超
年間校正費(目安) 10〜15万円 同等 13万円前後
修理費(発生時) 数万〜数十万円 同等 同等
最低作業人数 2名 1名 1名

「人件費」が最も大きなコスト差になることが多い


機器の購入・維持費よりも、実は大きな差が出るのが人件費だ。汎用TSは2名体制が必要で、建設技術者の人件費を2.5〜4万円/日/人と仮定すると、1日の測量作業で5〜8万円程度のコストが発生する。年間100日稼働の場合、500〜800万円の試算になる。

一方、自動追尾型TSや杭ナビを使ったワンマン作業に移行すると、同じ想定で年間250〜400万円程度に半減する。機器本体の価格差は数年での人件費削減効果で相殺できるケースも多い。
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OPTiM Geo Scanのコスト構造と比較


参考として、スマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」のコスト構造も整理する。

初期費用


iPhone Pro(LiDAR搭載)とGNSSレシーバーの組み合わせが基本構成で、初期費用の目安は約20〜30万円(機器構成により変動)。iPhone Proが手元にあれば、さらに抑えられる。長距離3次元測量が可能なGeo Scan Advanceモデルを選ぶ場合は、専用ハードウェアを加えた70〜80万円前後が目安だ。汎用TSや杭ナビと比べて、初期投資が大幅に低い点が特徴になる。

ランニングコスト


年間の機器校正費は発生しない。継続費用として、GNSS補正配信サービス(約3,000〜5,000円/月)と携帯回線費用(約5,000円/月前後)が必要になる。アプリのライセンス費用について、詳細は資料請求・問い合わせで確認する必要がある。

習熟コストが低い


スマートフォン感覚のUIのため、操作習熟のための研修コストが低い。若手や未経験者でも短期間で使い始められることが多く、測量業務の「属人化」を防ぐコスト削減効果も期待できる。

関連記事:OPTiM Geo Scanはどんな現場・用途に向いている?TSや杭ナビとの使い分けガイド

コスト以外の判断軸も忘れずに


コスト比較は重要な判断材料だが、費用だけで機器を選ぶことにはリスクもある。

  • 用途・精度要件との適合性:多角測量や精密な構造物測量が主用途であれば、汎用TSが必要になる場合がある
  • 現場環境:電波環境・屋内外・障害物の有無によって適した機器が異なる
  • 現場の規模・稼働頻度:使用頻度が低い場合はレンタルが割安になることがある

「最もコストが安い選択肢」が「最も費用対効果が高い選択肢」とは限らない点を踏まえ、用途・精度・コストを総合的に評価することが重要だ。

総コストで比較すれば、選択肢が広がる


TSや杭ナビのコスト全体像を把握すると、「本体価格だけ」の比較では見えていなかった維持費・人件費の差が明らかになる。TS→ワンマン化で年間数百万円規模の人件費削減効果が見込める場合もあり、総コストでの比較が意思決定の精度を高める。

スマホ測量アプリは初期費用、ランニングコストともに大幅に抑えた選択肢として検討に値する。まずは資料で概要を確認し、コスト試算の出発点にするとよい。

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