コラム・特集
デジコン編集部 2024.8.1
測量アプリの現在地〜現場で使える?最新事例を紹介

清水建設、トンネル施工で測量アプリ「OPTiM Geo Scan」を導入!!特殊形状でも高精度測量で人的ミス・残コンのロスの削減に成功!

清水建設のトンネル施工「中央自動車道 新小仏トンネル工事」にて、3次元スマホ測量アプリOPTiM Geo Scan(以下、Geo Scan)」が導入された。

今回は実際の施工現場に赴き、Geo Scanを使った感想や手応え、今後の見通しなどについて、清水建設 菊池 順氏と、大矢 剛大氏にうかがった。


今回の現場は、トンネル工事で不可欠となる、底盤を逆アーチ型に掘ってコンクリートで固めるインバートコンクリートの打設工事。

盤ぶくれ(掘削底面が押し上げられる現象)などの予防のために必要な工事だが、形状が特殊なため、正確に測量しにくい。


掘削での余堀りを少なくしたり、残コンのロスがなるべく出ないように、現場では苦労しているという。

例えば、1立米の残コンが発生すると、金額にすると処分費用も含めて3万円ものロスが発生し、コストに大きく関わってくる。



「今回のようなインバート施工は、普通の工事と違って平らな形ではないので、単純に測量ができません。Geo Scanを使って算出すれば、より精度が高く、人的なミスがなくなると考えて導入しました」(菊池氏)

「というのも、現場では巻圧の検測箇所をいくつか人の目で見て大まかに平均の巻圧を計算しているので、ミスが起こりやすい。正確な数値を算出することでこうした状況を防ぎ、正確に発注するという目的が大きいです。そしてそれが、ロス率の減少につながればと」(菊池氏)

実際に、施工現場でのGeo Scanの操作感はどうだったのだろうか。多くのスタッフにとってスマートフォンは身近なものであるため、初めての操作でも、不安より期待感の方が大きかったと二人は言う。

「Geo Scanは、スマホで基地点と基地点を結んでその範囲をスキャンしていくという、すごく簡単な操作で知りたい値が算出されるので、誰でも触りやすく、とっつきやすくていいですね。」(大矢氏)


「それに、みんながこうしたツールを使えれば、最初から最後までずっと同じ現場の打設に張り付いていなくてもいい。最初と最後の確認にだけ行って、その間に内業をしたり、別の現場作業もできるので、すごく効率化できると思っています」(大矢氏)

清水建設にとっても、作業の効率化は大きな課題だ。

日本の土木・建設業界を牽引する大手ゼネコンとして、働き方改革や生産性向上に向け、新しい技術を取り入れていく環境が会社全体に浸透している。




「2024年問題に向けて作業をなるべく効率化したいという思いから、現場では電子化・ペーパーレス化したり、自動化できるものは自動化したりしています」(菊池氏)

「今回の測量も、色々な所を測って計算するのは、時間がかかるし人数も必要ですが、こうしたLiDARなどの新しい技術で簡単に数値を出せれば、働き方改革や生産性向上に直結すると思います。今後も新しい技術を取り入れ、生産性も上がかつ精度も上がるようにしていきたいですね」(菊池氏)


スーパーゼネコン 清水建設が、さらなる生産性向上を目指して導入した、新しいデジタル技術、Geo Scan。

このGeo Scanは現場の声を汲み取り、その都度、迅速にプロダクトに反映させていくというから、清水建設とのパートナーシップが、建設業界の発展をスピーディーに進めていくに違いない。




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