コラム・特集
「丁張り」とは? 〜 ミリ単位の精度が求められる測量に不可欠な作業!〜【測量のことイチから解説】
測量に関する基礎知識を解説する「測量のことイチから解説」シリーズ、第3回は「丁張り(ちょうはり)」を取り上げる。
「丁張り」という名称だけでは、どのようなものかイメージしにくいが、土木造成工事や建築物の出来に大きく関わる工程である。丁張りの目的や作業の手順などについて、くわしく紹介していく。
「丁張り(ちょうはり)」とは、建築や土木・建設の工事の前段階として、木杭や水糸を用いて“施工の基準となる仮設物“を造る作業のことである。
施工の基準には、建築物など構造物の配置、水平方向の高さ、壁や柱の位置といったものがあり、丁張りの作業をあらかじめ行っておくことで、工事に関わる作業者の間で構造物の大きさや形状のイメージを共有することができる。
また、丁張りで位置の基準を決めておくことで、現場を一度離れても施工が再開しやすくなる。
「丁張り」は主に土木分野で使われる用語で、作業を行なうことを「丁張りを掛ける」と言う。なお、建築の分野では「遣り方(やりかた)」や「水盛り(みずもり)」と呼ばれることもある。
丁張りには、仕上がり面や法肩などの位置と高さを示す「トンボ」、側溝などの設置の際に掘削の邪魔になりにくい「門型丁張」、切土や盛土などの造成に使われる「法丁張」など、いくつかの手法がある。
それぞれの掛け方によって必要な道具は異なるが、基本的には杭を打ち込む木槌、木杭に貫板を打ち付けるための釘とハンマー、そして丁張りに印をつけるためのスプレーを用いる。また、水平位置や傾斜、直角を調べるための各種計測ツールも欠かせない。
続いて、丁張りの掛け方について、その手順を紹介しよう。
丁張りを掛けるには、事前準備として座標計算を行ない、貫板の設置位置などを決めておく必要がある。続いて現場で測量を行い、設置位置を確認しながら丁張を掛けるという流れになる。
丁張りは標準的な戸建て住宅の規模であれば、1~2時間程度で終わる。だが、けして楽な作業とは言えない。なぜなら丁張りで示した位置基準が建築物の精度に直結するからだ。
特に測量を行って位置を確認したり、正しく掛けられているか確認したりする場面は、熟練の技術者でも神経を使う。また、その際、トータルステーション(TS)などの測量機器を持ち歩き、複数人の人手が必要という負担もある。
そんな手間のかかる丁張り作業だが、近年は、ICT化により「丁張り」をせずとも、高精度の測量が行えるようになってきている。
なかでも、3次元スマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」は、iPhoneやiPadを使って、測量素人であっても、1人で測量が行える。
iPhone pro/iPad proなどに搭載されているLiDARという計測機能と衛生計測システムGNSSのレシーバーを組み合わせるため、高精度の計測が可能なのだ。
「OPTiM Geo Scan」の開発思想のひとつに、丁張を掛けるまでの、図面の確認~測量機器の準備~測量作業に関する負担を軽減したいという「現場の声」を基にコンセプトが練られているという。
とはいえ、測量士/測量士補を目指すのであれば、丁張りの掛け方を始めとする測量の知識は習得しておく必要があるだろう。
というのも、ICT化が進めば進むほど、「本当に使える製品はなにか」という見極めが必要になるし、その選定能力を養うには、確かな技術力と基礎知識が必須になるからだ。
「丁張り」という名称だけでは、どのようなものかイメージしにくいが、土木造成工事や建築物の出来に大きく関わる工程である。丁張りの目的や作業の手順などについて、くわしく紹介していく。
丁張りとは?その目的は?
「丁張り(ちょうはり)」とは、建築や土木・建設の工事の前段階として、木杭や水糸を用いて“施工の基準となる仮設物“を造る作業のことである。
施工の基準には、建築物など構造物の配置、水平方向の高さ、壁や柱の位置といったものがあり、丁張りの作業をあらかじめ行っておくことで、工事に関わる作業者の間で構造物の大きさや形状のイメージを共有することができる。
また、丁張りで位置の基準を決めておくことで、現場を一度離れても施工が再開しやすくなる。
「丁張り」は主に土木分野で使われる用語で、作業を行なうことを「丁張りを掛ける」と言う。なお、建築の分野では「遣り方(やりかた)」や「水盛り(みずもり)」と呼ばれることもある。
丁張りの掛け方と必要な道具とは?
丁張りには、仕上がり面や法肩などの位置と高さを示す「トンボ」、側溝などの設置の際に掘削の邪魔になりにくい「門型丁張」、切土や盛土などの造成に使われる「法丁張」など、いくつかの手法がある。
それぞれの掛け方によって必要な道具は異なるが、基本的には杭を打ち込む木槌、木杭に貫板を打ち付けるための釘とハンマー、そして丁張りに印をつけるためのスプレーを用いる。また、水平位置や傾斜、直角を調べるための各種計測ツールも欠かせない。
丁張りに用いる基本的な道具
- 木杭、貫板
- 水糸
- スプレー、釘、鋲(ピン)
- スケール、水平器、スラント、差金
- ハンマー(釘抜付き)、ノコギリ、木槌
続いて、丁張りの掛け方について、その手順を紹介しよう。
丁張りを掛けるには、事前準備として座標計算を行ない、貫板の設置位置などを決めておく必要がある。続いて現場で測量を行い、設置位置を確認しながら丁張を掛けるという流れになる。
丁張りの手順
- 【工程 1】測量を行い、高さと位置を確認する
- 【工程 2】木杭を打ち、貫板と筋交いを付ける
木杭が高さ、貫板が水平・垂直の基準となり、筋交いは杭と貫を固定する役目になる。 - 【工程 3】寸法の墨出し・水糸を張る
基礎の出来高を示すしるし(墨出し)を付け、墨に合わせて水糸を張る。これにより構造物の基礎の形が明らかになる。 - 【工程 4】矩出し(かねだし)を行なう
構造物の外周に張った水糸の交点が直角になっていることを確認する。 - 【工程 5】確認・検査を行なう
高さ・位置・方向に設計図とのズレがないか確認して、矩出しを繰り返し、微調整を行なう。
スマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」なら、面倒な「丁張り」が不要!測量素人でも一人でサクサク&高精度で測量ができる!
丁張りは標準的な戸建て住宅の規模であれば、1~2時間程度で終わる。だが、けして楽な作業とは言えない。なぜなら丁張りで示した位置基準が建築物の精度に直結するからだ。
特に測量を行って位置を確認したり、正しく掛けられているか確認したりする場面は、熟練の技術者でも神経を使う。また、その際、トータルステーション(TS)などの測量機器を持ち歩き、複数人の人手が必要という負担もある。
そんな手間のかかる丁張り作業だが、近年は、ICT化により「丁張り」をせずとも、高精度の測量が行えるようになってきている。
なかでも、3次元スマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」は、iPhoneやiPadを使って、測量素人であっても、1人で測量が行える。
iPhone pro/iPad proなどに搭載されているLiDARという計測機能と衛生計測システムGNSSのレシーバーを組み合わせるため、高精度の計測が可能なのだ。
「OPTiM Geo Scan」の開発思想のひとつに、丁張を掛けるまでの、図面の確認~測量機器の準備~測量作業に関する負担を軽減したいという「現場の声」を基にコンセプトが練られているという。
とはいえ、測量士/測量士補を目指すのであれば、丁張りの掛け方を始めとする測量の知識は習得しておく必要があるだろう。
というのも、ICT化が進めば進むほど、「本当に使える製品はなにか」という見極めが必要になるし、その選定能力を養うには、確かな技術力と基礎知識が必須になるからだ。
WRITTEN by
三浦 るり
2006年よりライターのキャリアをスタートし、2012年よりフリーに。人材業界でさまざまな業界・分野に触れてきた経験を活かし、幅広くライティングを手掛ける。現在は特に建築や不動産、さらにはDX分野を探究中。