コラム・特集
デジコン編集部 2022.6.29
測量アプリの現在地〜現場で使える?最新事例を紹介

現場にこそ、建設DXの浸透を!「OPTiM Geo Scan」に込めた期待。建設ITジャーナリスト・家入龍太氏の講演レポート

CONTENTS
  1. 建設業界が直面する喫緊の課題とは?
  2. 現場レベルにもデジタルツインをベースにした仕事の仕方を
  3. 現場での“普段使い”を促進する「OPTiM Geo Scan」
株式会社オプティムでは、土木・建設業界をはじめとするビジネスの分野ですぐに活用できるAI・IoTソリューションや、AI・IoTの最新活用事例などを紹介するイベント「OPTiM INNOVATION 2021」を開催してきた。さる2021年末にオンラインで開催された「OPTiM INNOVATION 2021 Construction メインセッション」では、日本唯一の建設ITジャーナリストの家入龍太氏がゲストとして参加。Webメディア「建設ITワールド」を主宰する家入氏の当日の講演から概要をご紹介する。

建設業界が直面する喫緊の課題とは?


冒頭、家入氏は建設業がいま抱えている課題について言及。最重要課題として挙げたのが、やはり担い手不足だった。

「すでに減り始めている日本の人口減少は、22世紀まで続くと思われる。当然ながら、建設業界を支えていく15~64歳のいわゆる生産年齢人口も同じように減っていくだろう。これが何を意味するのか? それは、今までのように建設現場に多くの人が集まって手作業でものをつくっていくという仕事の仕方が通用しなくなるということだ。このことを真剣に考えなければならない。」


「自動車業界では、かつてベルトコンベアで流れる部品を左右に並んだ人が組み立てていく光景が見られたが、今はそのような“流れ作業”を見ることはない。工場内の組み立て作業はほとんどすべてロボットが行っているからだ。建設業界も、素材を一つひとつ人がつくっていくような仕事のやり方から脱却しなければならない。担い手が減っていく以上、人間以外の労働力を利用していく発想が必要だ」

ある調査によれば、現場監督が1日8時間の労働時間のうち3時間半ほどが移動に費やされているという。とにかく現場に集まるという「現場合わせ」が慣例だった建設業界の働き方を見直す必要がある、と家入氏は言う。

現場レベルにもデジタルツインをベースにした仕事の仕方を


こうした課題を克服する手段こそ、DXにほかならない。

「たとえばAI。近年のAIの進化はめざましい。コンクリートのひび割れを探す技術にしても、人間が行って探し出せるのはせいぜい0.2㎜程度のひび割れだが、AIなら0.05㎜ほどのひび割れも検知できる。」

「退屈と言っては語弊があるが、ひび割れ探しのような作業は、人間が行うよりAIに任せたほうが正確で効率的だ。AIやロボットに任せられるところは任せて、本当に人手が必要な作業に人を集約することが、担い手減少に対応していくためには必要ではないか。」


「AIやロボットはスーパーゼネコンなど大企業では導入が進んでいるが、いわゆる中小の企業にはまだまだハードルが高い。今後、建設業界全体が発展していくためには、そうした普通の建設会社にも浸透させていくことが必要だ」

下請けの多重構造が土木・建設業界では、直接現場を担うのが中小の企業であることが珍しくない。


「現場における仕事の仕方も、デジタルツインをベースとしたものに変革していく必要があるだろう。3次元点群データや3Dレーザースキャンといった新ソリューションを現場レベルで浸透させ、人間にもロボット・AIにもわかりやすく情報を共有することで、仕事の仕方を変えていくことができると思う」

現場での“普段使い”を促進する「OPTiM Geo Scan」


では、現場レベルでDXを浸透させていくには、具体的にどんなことが必要なのだろう。“普段使い”ができるソリューションが求められる、と家入氏は言う。


「たとえば3次元点群データのシステムは高価でデバイスも大掛かりで現場では導入しづらかったのはたしかだろう。しかし近年、「LiDAR」を搭載したiPhoneが登場し手軽にローコストで3次元点群データを取得できるようになってきた。

(OPTiM Geo Scan 製品サイトより)

非常に精度も高く、ポケットに入る手軽さで、“普段使い”ができるものだ。スマホやタブレットを用いて簡単に高精度次元測量ができる株式会社オプティムの『OPTiM Geo Scan』が代表的な例だろう。建設業界のDXを加速するソリューションとして非常に期待している」




「OPTiM Geo Scan」と連携するオンライン3D点群処理ソフト「スキャン・エックス」(ローカスブルー株式会社)にも家入氏は期待を寄せる。

「最近では公共座標系のオープン化が進んでいて、たとえば国交省は21年3月に『PLATEAU』という全国56都市の点群データをマッシュアップし、3D都市モデルを無料公開した。こうした、全国の公共の点群データがマッシュアップする動きをわたしは公共座標マッシュアップと呼んでいるが、これらと個人が取得した点群データを組み合わせることで3次元点群データの活用範囲がさらに広がっていくはずだ。」

(OPTiM Geo Scan 製品サイトより)

「いきおい、建設DXの推進にも大きく寄与するだろう。これら公共座標系の活用には、膨大なデータをクラウド処理できるソリューションが必要だ。その点で、『スキャン・エックス』に対する期待は大きい。AIタイプの自動フィルタリング機能によって、いくつもの点群データをマッシュアップし容易に処理できるこのプラットフォームによって、点群データの普段使いがさらに進展するはずだ」

最後に家入氏は、新ソリューション導入のポイントについてアドバスをくれた。


「新ソリューションをどう使うか、ということを先に考えてしまってはなかなかうまくいかない。まずは、自分たちの課題は何のか、何が非効率なのか、といういわば“困りごと”を見極め、その解決のためにどんなソリューションが必要なのか考えることが大切だ」

担い手不足など、すでに待ったなしの課題が山積みとなっている建設現場。新たなソリューションの導入についてためらっている時間はないといえる。家入氏がおっしゃるように、自分たちの困りごとを解決するためのアクションがいま、求められているといえるだろう。






家入氏主宰の建設ITワールド :https://ken-it.world/


編集・文:デジコン編集部 / 写真:OPTiM INNOVATION より 
WRITTEN by

デジコン編集部

建設土木のICT化の情報を日々キャッチして、わかりやすく伝えていきます。
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