「3次元測量(3D測量)」という言葉を見聞きする機会は増えたが、それを熟知している人となると、数は限られているかもしれない。なぜなら、3次元測量の分野は今もなお進化を続けているからだ。
今回は3次元測量の基礎的な知識を解説するとともに、「これから3次元測量を導入したい」とお考えの方のために選定のポイントをご紹介する。
3次元測量とは、3次元計測の技術を用いた測量法のことである。3次元計測は、幅・奥行き・高さのような3種類の指標で、対象となる物体の形状を把握する。
計測の手法には複数の種類があるが、3次元測量は非接触型という計測対象(地形や建物)から離れて計測する手法のものが多く、立ち入りが難しい険しい地形や大きな建造物の計測がしやすいというメリットがある。
まず測量の歴史は、古くは古代エジプト時代にまでさかのぼる。1617年に近代測量の基礎となる三角測量方式が開発された。
その後、トータルステーションが誕生し、日本でも1980年頃から普及していった。3次元計測機が日本に紹介されたのは1998年のことと言われている。
海外で原子力発電所向けに開発された3次元(3D)レーザースキャナーが国内に持ち込まれたのだ。その後、トプコンが2008年に国産初となる3次元(3D)レーザースキャナーを発売し、2016年には鹿島がドローンによる測量を導入した。
2022(令和4)年には国土交通省が「3次元測量技術を用いた出来形管理要領(案)」の改訂版を策定し、3次元測量は土木・建設業界においてニュースタンダードとなる流れが来ている。
ひとくちに3次元測量と言っても、用いられる技術や機器によってさまざまな種類がある。ここからは以下の8種類の測量手法について解説していく。
地上レーザー測量とは、パルス式レーザーを使用した測量手法で、主に、地面に設置するタイプの測量機器を用いる。
パルス式レーザーは、連続的にレーザーを照射して対象物との距離を測定する仕組みで、計測対象の形状を点群データとして取得する。
地上型は安定性があり、対象物と近い距離で計測するため精度が高いという強みがある。
一方で、スキャンポイントごとに機器の設置段取りが必要になるという手間がある。
トータルステーションと一体化しているような製品もあり、そのようなものであればトータルステーションの操作になじみがある人に扱いやすいような仕様になっている。なお、製品によって計測範囲が中距離型・長距離型のものもある。
UAV(Unmanned Aerial Vehicle)とは無人航空機のことで、遠隔で操縦を行う航空機やプログラムによる自律制御で飛行するドローンのことを指す。
UAV写真点群測量は、UAVにより地形や建物を撮影し、その数値写真※を用いて3次元点群を抽出、そしてデジタル上で3次元形状を復元して計測するという手法である。
UAV写真点群測量は、立ち入りが険しい地形や広大な地形の測量に強みを持つ。
たとえば、数ヘクタール規模の造成地の測量を行う場合、トータルステーションならば測定に約3日、地上レーザー測量なら約2日かかるところをUAV写真点群測量ならば約半日で測定が行える。
また、航空写真測量と比べると飛行範囲が低空であるため写真の精度が高く、解像度の高い地形データを取得できる。
ただし、UAV写真点群測量にはドローンや立体観測装置など専門的な機器と、それを操作する専門知識・技術が必要であるためコストがかさむというデメリットがある。
UAVレーザー測量は、ドローンなどのUAV(無人航空機)を用いてレーザー計測を行う測量方式のことである。
UAV写真点群測量がカメラから垂直方向の画像を撮影して、画像解析を行なうのに対し、UAVレーザー測量はレーザーを照射して計測を行う。
写真点群測量は表層的なデータしか取得できないため、森のような木々が覆い重なる場所では地面まで計測できないが、レーザー測量は木々の隙間をぬって地面の形状を計測することも可能だ。
木々が生い茂る山などで植生下の地形データを取得したい場合に適している。
車載写真レーザー測量は、レーザースキャナと360度全周囲カメラを搭載した自動車を使った測量手法である。
レーザースキャナ、全周囲カメラ、走行距離計、GNSSアンテナ(位置情報)を連動させることで高精度のデータを取得することができる。
自動車であるため道路やトンネル、道路周辺の測量に強みを持つ。その一方で、道路から離れた対象物や自動車が乗り入れられない場所の計測には適さない。
航空レーザー測量は、レーザースキャナを搭載した航空機による測量手法のことである。
UAV(無人航空機)とは異なり、ヘリやセスナなど有人航空機をしようしたもので、計測範囲はドローンのようなUAVであれば地上100メートル程度の位置であるのに対し、有人航空機は地上1000メートル以上の高さとなる。
航空レーザー測量は航空機に搭載したレーザースキャナ、GNSS受信機、IMU(慣性計測装置)の情報を連動させてデータを取得する。
レーザースキャナで地表までの距離を計測し、GNSS受信機で位置情報を付加する。IMUは航空機の姿勢や加速度を計測する装置で、これを用いてレーザー光の発射された方向を補正する機能がある。
航空レーザー測量は数百ヘクタール規模の広範囲に強みを持つ。ただし、青色や黒色の屋根や池どの静水面はレーザーが反射し難く計測を苦手とする。
なお、グリーンレーザーを用いて海底の形状を3次元測量する航空レーザー測深という手法もある。
セスナなどの有人航空機に搭載されたカメラで撮影された空中写真を用いた測量手法が、空中写真測量である。
航空機にはカメラのほか位置情報を把握するGNSS受信機とIMU(慣性計測装置)が搭載されており、写真の中心位置と航空機の姿勢を計測しながら3次元計測を行う。
空中写真はカメラの特性により中心位置から外側に向かうにつれ高さのあるものは傾いて映る。
そのため自動標高抽出技術を用いて画像上の傾きを補正(正射変換)し、オルソ画像という加工データを作成する工程が欠かせない。
このオルソ画像にさまざまな地理空間情報を重ねることで、デジタル上で活用できるデータができあがる。
衛星画像処理は写真測量の1種で、人工衛星に搭載したセンサーでデジタルデータを取得し、オルソ画像に処理した上で3次元測量に活用する。
人工衛星から取得するデジタルデータは、可視光線や近赤外線など、波長帯に分けて解析を行うことができる。
航空写真なら地上300~3000メートルほどの高さからの撮影になるのに対し、人工衛星は高度600キロメートル以上になり、航空写真測量と比べて広範囲を一度に観測できる。
また、航空機が飛行できないエリアの観測が可能という強みを持つ。
ただし、人工衛星の種類によっては軌道外の観測ができない、観測周期が2週間程度と長い、高所から撮影する画像になるため解像度が低いといった弱みがある。
音波を送受信する装置を船底に装備し、海底に向けて発射した扇状の音波の反響で海底の地形情報を取得する手法が、マルチビーム測深である。扇状の音波(マルチビーム)は浅海用・中深海用・深海用の3種類ある。
前項で紹介したように、3次元測量は複数の種類がある。
3次元測量を導入しようという場合、その選定のポイントとなるのは以下の4点だ。
道路を長距離にわたって計測するのに強みを持つ車載写真レーザー測量機や海面の形状を把握するためのマルチビーム測深機のように、測量手法や機器によってそれぞれ特徴を持っている。
何かに特化することで機能を絞っている製品は珍しくない。
いい点ばかりに注目するのではなく、弱みにも目を向け、それを受け入れるかリスクヘッジするなどの対策を考えることも大切だ。
狭い現場に有人航空機を飛ばすのは効率が悪い。
どのような場所で使用するかも考慮する必要がある。また、写真測量は写真に写り込んだ情報を解析してデータ化するのに対して、レーザー測量はレーザー光線の反射を利用して測量を行う。
それぞれの手法で得られる情報が異なるため、どのような情報が必要かを整理したうえで選定するとよいだろう。
3次元測量は、測量からデジタルデータ化するまでが一連の流れである。
測量機器に加えて解析・データ変換ソフトが必要になるケースは珍しくない。そしてその機器を扱える人材にかかる人件費も忘れてはならない。
また、衛星測量を打ち上げるよりもドローンを飛ばす方が安上がりではあるが、専門サービスを利用すれば衛星写真データ1枚が数千円で手に入るということもある。
3次元測量の分野は日進月歩の世界であり、日々、新しい技術やサービスが開発されている。数年前の知識で測量機器を選定するのは注意すべき。
定期的に新製品情報をチェックする、めぼしい製品があればメーカーに機能の説明を受けるといった情報収集は欠かせない。
旧来の測量機器メーカー以外に、近年は他分野から3次元測量に進出しているメーカーもある。なかには測量の技術や知識を持たなくても簡単に操作できるものも。
さまざまな技術を組み合わせることで利便性を高めたり、デメリットを抑えたり工夫が施されており、3次元測量に切り替えることで測量業務の大幅な効率化につながることも期待できる。
「地上型レーザー測量」の項目では、トータルステーションを代表とする地上型のレーザー測量機を例に解説していたが、地面に設置する形状以外にハンディタイプの製品も登場している。
衛星測位システムを利用して、スマートフォンにインストールしたアプリを使って測量を行う、“スマホ測量”という手法だ。
3次元測量アプリ「OPTiM Geo Scan」は、GNSS受信機と組み合わせることで、1人で簡単に測量が行える。
「OPTiM Geo Scan」はiPhone ProやiPad ProといったLiDAR機能※が搭載されたスマートフォンで利用できる。(※LiDAR:レーザー計測技術の一種で、自動車の自動運転技術にも活用されており、物体の検知能力が優れている。)
本アプリは、現場でスマートフォンからアプリを立ち上げ、現場を歩きながらポイントで画面をタップすると位置情報と3次元測量データがひも付けられる。
体感としてはスマホゲーム並みの簡単さで、測量の技術は必要としない。測量したデータはタイムラグなしにその場で確認でき、クラウドにアップすれば遠隔でのデータ確認も可能だ。
歩きながら測量するということもあり比較的小規模な現場に適している。ドローンやレーザースキャナの搬入が難しい場所で役立ち、トンネルや建物内など衛星電波の届かない場所ではトータルステーションを連携して使用することもできる。
費用は、初期費用としてiPhone Pro/iPad ProとGNSSレシーバーの本体の購入費といったものがあり、その後は月々のサービス利用料と通信費用程度で済む。
地上型レーザー測量の一式を揃えるのに比べると約1/100程度と超低コストで利用できるのだから魅力的だ。
さらに、杭打ちアプリ「OPTiM Geo Point」と図化アプリ「OPTiM Geo Design」も無料オプションとして同時に利用できる。
3次元測量をこれから導入しようという場合、測量機器だけでなく測量データの加工や管理を行う機材も揃える必要があることを忘れてはならない。
その点、Geo Scanは測量から図化まで行え、国土交通省の出来形管理要領に準拠している。3次元測量の便利さをしっかりと体験できるサービスとなっている。
今回は3次元測量の基礎的な知識を解説するとともに、「これから3次元測量を導入したい」とお考えの方のために選定のポイントをご紹介する。
3次元測量とは?
3次元測量とは、3次元計測の技術を用いた測量法のことである。3次元計測は、幅・奥行き・高さのような3種類の指標で、対象となる物体の形状を把握する。
計測の手法には複数の種類があるが、3次元測量は非接触型という計測対象(地形や建物)から離れて計測する手法のものが多く、立ち入りが難しい険しい地形や大きな建造物の計測がしやすいというメリットがある。
3次元測量が始まったのはいつ?
まず測量の歴史は、古くは古代エジプト時代にまでさかのぼる。1617年に近代測量の基礎となる三角測量方式が開発された。
その後、トータルステーションが誕生し、日本でも1980年頃から普及していった。3次元計測機が日本に紹介されたのは1998年のことと言われている。
海外で原子力発電所向けに開発された3次元(3D)レーザースキャナーが国内に持ち込まれたのだ。その後、トプコンが2008年に国産初となる3次元(3D)レーザースキャナーを発売し、2016年には鹿島がドローンによる測量を導入した。
2022(令和4)年には国土交通省が「3次元測量技術を用いた出来形管理要領(案)」の改訂版を策定し、3次元測量は土木・建設業界においてニュースタンダードとなる流れが来ている。
3次元測量のバリエーション
ひとくちに3次元測量と言っても、用いられる技術や機器によってさまざまな種類がある。ここからは以下の8種類の測量手法について解説していく。
3次元測量の手法
- 地上レーザー測量
- UAV写真点群測量
- UAVレーザー測量
- 車載写真レーザー測量
- 航空レーザー測量
- 空中写真測量
- 衛星画像処理
- マルチビーム測深
地上(地上型)レーザー測量
地上レーザー測量とは、パルス式レーザーを使用した測量手法で、主に、地面に設置するタイプの測量機器を用いる。
パルス式レーザーは、連続的にレーザーを照射して対象物との距離を測定する仕組みで、計測対象の形状を点群データとして取得する。
地上型は安定性があり、対象物と近い距離で計測するため精度が高いという強みがある。
一方で、スキャンポイントごとに機器の設置段取りが必要になるという手間がある。
トータルステーションと一体化しているような製品もあり、そのようなものであればトータルステーションの操作になじみがある人に扱いやすいような仕様になっている。なお、製品によって計測範囲が中距離型・長距離型のものもある。
UAV写真点群測量
UAV(Unmanned Aerial Vehicle)とは無人航空機のことで、遠隔で操縦を行う航空機やプログラムによる自律制御で飛行するドローンのことを指す。
UAV写真点群測量は、UAVにより地形や建物を撮影し、その数値写真※を用いて3次元点群を抽出、そしてデジタル上で3次元形状を復元して計測するという手法である。
UAV写真点群測量は、立ち入りが険しい地形や広大な地形の測量に強みを持つ。
たとえば、数ヘクタール規模の造成地の測量を行う場合、トータルステーションならば測定に約3日、地上レーザー測量なら約2日かかるところをUAV写真点群測量ならば約半日で測定が行える。
また、航空写真測量と比べると飛行範囲が低空であるため写真の精度が高く、解像度の高い地形データを取得できる。
ただし、UAV写真点群測量にはドローンや立体観測装置など専門的な機器と、それを操作する専門知識・技術が必要であるためコストがかさむというデメリットがある。
UAVレーザー測量
UAVレーザー測量は、ドローンなどのUAV(無人航空機)を用いてレーザー計測を行う測量方式のことである。
UAV写真点群測量がカメラから垂直方向の画像を撮影して、画像解析を行なうのに対し、UAVレーザー測量はレーザーを照射して計測を行う。
写真点群測量は表層的なデータしか取得できないため、森のような木々が覆い重なる場所では地面まで計測できないが、レーザー測量は木々の隙間をぬって地面の形状を計測することも可能だ。
木々が生い茂る山などで植生下の地形データを取得したい場合に適している。
車載写真レーザー測量
車載写真レーザー測量は、レーザースキャナと360度全周囲カメラを搭載した自動車を使った測量手法である。
レーザースキャナ、全周囲カメラ、走行距離計、GNSSアンテナ(位置情報)を連動させることで高精度のデータを取得することができる。
自動車であるため道路やトンネル、道路周辺の測量に強みを持つ。その一方で、道路から離れた対象物や自動車が乗り入れられない場所の計測には適さない。
航空レーザー測量
航空レーザー測量は、レーザースキャナを搭載した航空機による測量手法のことである。
UAV(無人航空機)とは異なり、ヘリやセスナなど有人航空機をしようしたもので、計測範囲はドローンのようなUAVであれば地上100メートル程度の位置であるのに対し、有人航空機は地上1000メートル以上の高さとなる。
航空レーザー測量は航空機に搭載したレーザースキャナ、GNSS受信機、IMU(慣性計測装置)の情報を連動させてデータを取得する。
レーザースキャナで地表までの距離を計測し、GNSS受信機で位置情報を付加する。IMUは航空機の姿勢や加速度を計測する装置で、これを用いてレーザー光の発射された方向を補正する機能がある。
航空レーザー測量は数百ヘクタール規模の広範囲に強みを持つ。ただし、青色や黒色の屋根や池どの静水面はレーザーが反射し難く計測を苦手とする。
なお、グリーンレーザーを用いて海底の形状を3次元測量する航空レーザー測深という手法もある。
空中写真測量
セスナなどの有人航空機に搭載されたカメラで撮影された空中写真を用いた測量手法が、空中写真測量である。
航空機にはカメラのほか位置情報を把握するGNSS受信機とIMU(慣性計測装置)が搭載されており、写真の中心位置と航空機の姿勢を計測しながら3次元計測を行う。
空中写真はカメラの特性により中心位置から外側に向かうにつれ高さのあるものは傾いて映る。
そのため自動標高抽出技術を用いて画像上の傾きを補正(正射変換)し、オルソ画像という加工データを作成する工程が欠かせない。
このオルソ画像にさまざまな地理空間情報を重ねることで、デジタル上で活用できるデータができあがる。
衛星画像処理
衛星画像処理は写真測量の1種で、人工衛星に搭載したセンサーでデジタルデータを取得し、オルソ画像に処理した上で3次元測量に活用する。
人工衛星から取得するデジタルデータは、可視光線や近赤外線など、波長帯に分けて解析を行うことができる。
航空写真なら地上300~3000メートルほどの高さからの撮影になるのに対し、人工衛星は高度600キロメートル以上になり、航空写真測量と比べて広範囲を一度に観測できる。
また、航空機が飛行できないエリアの観測が可能という強みを持つ。
ただし、人工衛星の種類によっては軌道外の観測ができない、観測周期が2週間程度と長い、高所から撮影する画像になるため解像度が低いといった弱みがある。
マルチビーム測深
音波を送受信する装置を船底に装備し、海底に向けて発射した扇状の音波の反響で海底の地形情報を取得する手法が、マルチビーム測深である。扇状の音波(マルチビーム)は浅海用・中深海用・深海用の3種類ある。
3次元測量の選定ポイントは?
前項で紹介したように、3次元測量は複数の種類がある。
3次元測量を導入しようという場合、その選定のポイントとなるのは以下の4点だ。
① いずれの手法も強み・弱みがある
道路を長距離にわたって計測するのに強みを持つ車載写真レーザー測量機や海面の形状を把握するためのマルチビーム測深機のように、測量手法や機器によってそれぞれ特徴を持っている。
何かに特化することで機能を絞っている製品は珍しくない。
いい点ばかりに注目するのではなく、弱みにも目を向け、それを受け入れるかリスクヘッジするなどの対策を考えることも大切だ。
② 測量する現場に適したものを選ぶ
狭い現場に有人航空機を飛ばすのは効率が悪い。
どのような場所で使用するかも考慮する必要がある。また、写真測量は写真に写り込んだ情報を解析してデータ化するのに対して、レーザー測量はレーザー光線の反射を利用して測量を行う。
それぞれの手法で得られる情報が異なるため、どのような情報が必要かを整理したうえで選定するとよいだろう。
③ トータルでのコストを考える
3次元測量は、測量からデジタルデータ化するまでが一連の流れである。
測量機器に加えて解析・データ変換ソフトが必要になるケースは珍しくない。そしてその機器を扱える人材にかかる人件費も忘れてはならない。
また、衛星測量を打ち上げるよりもドローンを飛ばす方が安上がりではあるが、専門サービスを利用すれば衛星写真データ1枚が数千円で手に入るということもある。
④ 技術は刻々と進化する
3次元測量の分野は日進月歩の世界であり、日々、新しい技術やサービスが開発されている。数年前の知識で測量機器を選定するのは注意すべき。
定期的に新製品情報をチェックする、めぼしい製品があればメーカーに機能の説明を受けるといった情報収集は欠かせない。
旧来の測量機器メーカー以外に、近年は他分野から3次元測量に進出しているメーカーもある。なかには測量の技術や知識を持たなくても簡単に操作できるものも。
さまざまな技術を組み合わせることで利便性を高めたり、デメリットを抑えたり工夫が施されており、3次元測量に切り替えることで測量業務の大幅な効率化につながることも期待できる。
3次元測量を手軽に始めるなら、3次元スマホ測量アプリ「OPTiM Geo Scan」で決まり!しかも国交省の要領にも準拠!
「地上型レーザー測量」の項目では、トータルステーションを代表とする地上型のレーザー測量機を例に解説していたが、地面に設置する形状以外にハンディタイプの製品も登場している。
衛星測位システムを利用して、スマートフォンにインストールしたアプリを使って測量を行う、“スマホ測量”という手法だ。
3次元測量アプリ「OPTiM Geo Scan」は、GNSS受信機と組み合わせることで、1人で簡単に測量が行える。
「OPTiM Geo Scan」はiPhone ProやiPad ProといったLiDAR機能※が搭載されたスマートフォンで利用できる。(※LiDAR:レーザー計測技術の一種で、自動車の自動運転技術にも活用されており、物体の検知能力が優れている。)
本アプリは、現場でスマートフォンからアプリを立ち上げ、現場を歩きながらポイントで画面をタップすると位置情報と3次元測量データがひも付けられる。
体感としてはスマホゲーム並みの簡単さで、測量の技術は必要としない。測量したデータはタイムラグなしにその場で確認でき、クラウドにアップすれば遠隔でのデータ確認も可能だ。
歩きながら測量するということもあり比較的小規模な現場に適している。ドローンやレーザースキャナの搬入が難しい場所で役立ち、トンネルや建物内など衛星電波の届かない場所ではトータルステーションを連携して使用することもできる。
費用は、初期費用としてiPhone Pro/iPad ProとGNSSレシーバーの本体の購入費といったものがあり、その後は月々のサービス利用料と通信費用程度で済む。
地上型レーザー測量の一式を揃えるのに比べると約1/100程度と超低コストで利用できるのだから魅力的だ。
さらに、杭打ちアプリ「OPTiM Geo Point」と図化アプリ「OPTiM Geo Design」も無料オプションとして同時に利用できる。
3次元測量をこれから導入しようという場合、測量機器だけでなく測量データの加工や管理を行う機材も揃える必要があることを忘れてはならない。
その点、Geo Scanは測量から図化まで行え、国土交通省の出来形管理要領に準拠している。3次元測量の便利さをしっかりと体験できるサービスとなっている。
WRITTEN by
三浦 るり
2006年よりライターのキャリアをスタートし、2012年よりフリーに。人材業界でさまざまな業界・分野に触れてきた経験を活かし、幅広くライティングを手掛ける。現在は特に建築や不動産、さらにはDX分野を探究中。