JR東日本新潟支社らがVTOL型ドローンを活用した災害時鉄道設備確認の実証実験を実施。75km区間を最高時速100kmで自動飛行

東日本旅客鉄道株式会社新潟支社、第一建設工業、エアロセンスの3社は、VTOL型ドローンの自動飛行機能を活用した鉄道設備確認の実証実験を磐越西線で実施したと発表した。

飛行画像のリアルタイム配信と点群データ化により迅速な被災状況把握と早期復旧計画の策定を実現

本実証実験は、災害発生時における鉄道設備の迅速な確認を目的として行われた。

現在の鉄道設備確認方法では、徒歩や軌道用カートを使い確認者が直接現地を確認しているが、広範囲にわたる確認には時間がかかる上、二次災害の危険性も伴う。

これに対しVTOL型ドローンを活用することで、迅速に広範囲の状況把握が可能となり、確認者の安全性向上と負担軽減が期待できる。


VTOL型ドローンは、マルチコプターモードで垂直に離着陸し、固定翼モードで水平に飛行する特性を持つ。

水平飛行中は消費電力を大幅に抑えられるため、長距離の飛行が可能となる点が特徴だ。

実験は2024年3月の日中時間帯、磐越西線喜多方駅から馬下駅間の約75km区間で実施された。





離陸から着陸まで事前に設定した経路を、最高速度時は時速100kmで自動飛行を行った。

実験で確認された成果は大きく2つに分けられる。

1つ目は「飛行時のデータ収集・活用」で、位置情報とライブ映像を現地から遠く離れた場所へウェブ配信することにより、被災状況の一次調査に必要な被災有無の確認を速やかに実施できることが確認された。

2つ目は「飛行後のデータ収集・活用」で、飛行後にはオルソ画像の生成やTRANCITYを用いて連続画像から点群データを生成し、寸法の確認や詳細な被災状況把握が可能であることが確認された。

これらのデータは復旧計画の策定や、専門技術者による現地詳細調査の実施に活用できるとしている。

実証実験で使用された自動飛行技術は、GPS、加速度、ジャイロ、地磁気、気圧など複数のセンサーから得られる情報を統合処理することで、あらかじめ設定した経路に沿って飛行するもので、LTE通信により周囲の状況確認や制御維持が可能となっている。