大成建設の建設承認メタバースが「日本DX大賞2025奨励賞」を受賞。アバター探索とゲーミフィケーションで承認業務を変革

大成建設が日立コンサルティング、GlobalLogic Japanと共同開発した「建設承認メタバース（C2Quest）」が、日本DX大賞2025奨励賞を受賞した。

建築BIMモデルを軽量なメタバースデータに変換し、アバターで3D建物空間を探索できるシステムで、建設業界のビジネスモデル変革を目指した取り組みが高く評価されている。

生成AIで承認経緯を記録保管、20件超のプロジェクトで実用化を達成

C2Questは、建築BIMモデルを軽量なメタバースデータに変換し、リアルな3D建物空間をアバターで探索できるデジタルツインシステムである。

仮想空間で検証した確認から承認までの経緯を生成AIを使って記録保管する機能により、建設業法に適用する承認プロセス書面化を自動化している。

従来の会議と会議後の書面化などの紙文化や、データが重く操作性が困難であるBIMの課題を解決し、軽量化されたBIMメタバースをゲームエンジンで最適化した操作性を実現している。


テレワークへの対応などオンライン会議でも活用・連携可能な仕組みとなっており、働き方の多様化にも対応している。

2D設計図で確認や承認業務を進めてきた従来手法を変革し、建設する前段階からリアルな3D仮想空間内をロールプレイングゲームで楽しむようにアバターで自由に探索可能としている。

建物課題をQuest（クエスト）とみなし、課題をクリア（解決）し、発注者承認をゲット（確認）するというゲーミフィケーション要素を導入することで、従来の堅い承認プロセスを親しみやすい形に変換している。

日本DX大賞2025では、戦略性、成長性、変革力、価値創出、推進力の各項目で得点を伸ばし、奨励賞を獲得した。

特に社内システムおよびAPIを効果的に活用するとともに、ゲーミフィケーション要素を導入して承認プロセスを可視化・効率化した点が評価された。

本システムはこれまで20件を超えるプロジェクトに導入されており、施工管理の効率化、発注者との合意形成の高度化、社員の業務負担の低減化、早期空間理解といった効果を実現している。

日本DX大賞は2022年に創設され、日本デジタルトランスフォーメーション推進協会が主催するアワードで、DXを通じて社会やビジネス課題を解決し、持続可能な成長とウェルビーイングを実現する取り組みを表彰している。

事業変革部門では、顧客や社会の変化を踏まえ、データとデジタル技術を駆使して製品・サービス・ビジネスモデルを刷新した取り組みが対象となっている。