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角田 憲 2021.2.22

過積載車両が引き起こす、インフラ劣化と重大事故

2020年11月5日、過積載車両を取り締まるため、国土交通省、警察、高速道路株式会社などによる『首都圏大規模同時合同取締』が行われた。関東甲信越エリアの高速道路内全20箇所で同時に取締が実施され、過去最大規模となった。計測車両台数83台のうち39台が道路法に違反。その内9台には処置命令、30台には指導警告が出されている。

国土交通省資料 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001371193.pdf より

深刻化する道路インフラの劣化


道路インフラは高度成長期に集中して建設されたため、2030年には全体の約半数が建設後50年を超えてしまう。当然、整備や修復が追いつくわけもなく問題は年々深刻化していく一方だ。

国土交通省資料 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001371193.pdf より

『大型車両通行適正化に向けた関東地域連絡協議会』では、違法な重量超過車両の走行が特に道路構造物を劣化させる主要因としている。道路の轍や陥没によりハンドルを取られてヒヤリとした経験があるドライバーも少なくないだろう。首都高速道路だけでも1日で100万台近くもの車両が通行しており、もし万が一、大規模な陥没や崩落が起きれば、その被害は計り知れない。

国土交通省資料 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001371193.pdf より

過積載車両の走行が起こす重大な交通事故


重量超過している車両は重心が高くなりバランスが崩れやすくなるため、横転のリスクが高くなる。過剰な積荷は落下の危険も大きくなるだろう。また重量が重くなれば制動距離が長くなり、衝突した際の衝撃も大きくなる。当然、定められている重量を超えれば、そういったリスクが増していくことは想像に難しくない。

2018年には千葉市若葉区の県道で過積載の大型トラックが横転。軽乗用車が下敷きになり3名の方が亡くなる事故があった。2017年には兵庫県でトレーラーの積荷が落下し、対向車に直撃。2名の方が亡くなっている。

国土交通省資料 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001371193.pdf より

2012年にはコンビニエンスストアの駐車場でバックしていたトラックが車止めを超えて進行し、アルバイトの学生と衝突。学生はトラックと店舗壁に挟まれて亡くなった。このトラックは最大積載量の3.4倍を超える荷物を積んでおり、過積載が死亡事故につながったと裁判所により認められている。この他にも過積載が原因の一因とされる重大事故は多く、毎年のように痛ましいニュースが報道される。

過積載がもたらす大きすぎる社会的影響


おそらく多くの事業者やドライバーの方はルールを守っており、近年では過積載は比較的少なくなったと言われている。しかし、コトの重大さを考えると、全体から比べた割合が減っていればそれで良い、ということでもない。ひとたび事故が起こってしまえば重大になる可能性が非常に高く、人命が奪われる事態も少なくないからだ。

ここ数年では一段と過積載の取締が強化されている。つまり過積載がもたらす2大悪『道路劣化への影響』と『重大な交通事故』が社会に与える影響は甚大だと判断されているのだろう。


◎ TOP画像はイメージ(shutterstockより)
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WRITTEN by

角田 憲

有限会社さくらぐみにライターとして所属。宅地建物取引士。祖父が宮大工だったことから建築、不動産に興味を持ち、戸建て、マンション等の販売・管理・メンテナンス業務に従事。食、音楽、格闘技・スポーツ全般、健康、トラベルまで幅広く執筆。読書量は年間約300冊。

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