積水ハウス、「現場クールプロジェクト」始動。日野興業と共同開発の「ひんやりBOX」で仮設トイレ躯体活用の冷房休憩施設導入

積水ハウスは6月から、建設現場における熱中症リスク高まりを受け、作業従事者の安全と健康を守るための新たな取り組み「現場クールプロジェクト」を始動した。

従業員のアイデアをもとに夏場の現場環境改善施策と熱中症対策をアップデートし、日野興業との共同開発による「ひんやりBOX（仮称）」を導入している。

2024年職場熱中症1195名発症30名以上死亡と改正労働安全衛生規則施行で対策強化

日本国内では熱中症による労働災害が年々増加しており、厚生労働省の統計によれば、2024年には1195名が職場で熱中症を発症し、30名以上が死亡するという深刻な状況が報告されている。

また2025年6月1日より改正労働安全衛生規則が施行され、事業者には「熱中症の早期発見体制の整備」「重篤化防止のための手順作成」「関係者への周知」が義務付けられた。

こうした背景を踏まえ、積水ハウスではより実効性の高い熱中症対策を推進している。

「現場クールプロジェクト」では施工現場に従事する作業員を対象に、冷却効果の高い設備や製品の導入を通じて現場環境の改善を図る。

本年度は屋外作業（基礎・建方・外構工事等）を対象とした施策として、日野興業との共同開発による「ひんやりBOX（仮称）（エアコン休憩BOX）」を導入し、2025年6月より選定エリアにてパイロット運用を実施している。

「ひんやりBOX（仮称）」は仮設トイレの躯体を活用した省スペース型の冷房休憩施設であり、壁面に設置された冷房機器「ウインドエアコン」により、冷風を直接首元などに当てることで高い清涼感を得られる構造となっている。

輸送がしやすく、また狭小地でも設置が可能なのが特徴である。

内部にはベンチとテーブルを設置可能で、1～2名の利用を想定している。

また「ウインドエアコン」については水捨てが不要なノンドレン方式であり、一部の屋内の施工現場においても使用を開始している。

これには高い冷却効果が確認されており、併せて導入を推進している。

積水ハウスではその他内装工事を含めた全工程での熱中症対策の情報を収集し、その中でも高い効果が確認できた施策を取りまとめ、来期以降の全国展開に向けて運用体制の整備を進めている。