ニュース
デジコン編集部 2023.9.20

ドローン自律制御に向けたリアルタイム位置測位の技術実証を実施。NEC通信システム・竹中工務店・センシンロボティクス、

NEC通信システムは、­竹中工務店、­センシンロボティクスと共に、3次元屋内外位置測位(MBS※)の技術を活用したリアルタイム位置測位の技術実証を2023年8月に実施し、自律航行型ドローンの制御に向けた屋内外でシームレスな位置測位が実現可能であることを確認したと発表した。

近年、土木・建設業界では、入職者の減少や働き方改革などにより、労働生産性の向上や労働時間の改善などが強く求められており、より高い生産技術の追求が進められている。

そのため建設現場においてロボットによる定期巡回や物資運搬による作業効率化のニーズが高まっており、特にドローンは路面状況の影響を受けず、建設現場の日々の環境変化に強いため注目されている。

自律制御を行うためにはまず機体の位置の把握が重要となるため、これまで建設業界ではさまざまな取り組みを行ってきた。

例えば、GNSS/RTKなどの衛星測位の技術は、屋外でドローンの位置を詳細に把握するために、すでに数多く利用されている。

(自律ドローンによる巡回イメージ)

一方、屋内では衛星測位が利用できないため、SLAM/VSLAMなどのレーダーや映像を分析し地図のマッピングと自己位置推定を行う方法を利用することが一般的である。

しかしこれらの方式は、特徴点の少ない壁面では測位に失敗する場合や、似たような構造をしているフロアの区別ができないなどの弱点がある。

今回、屋内外を問わずシームレスに測位可能であるMBSの技術を元に、こうした屋内外を行き交うドローンの自律制御のためのリアルタイム位置測位技術が実現可能であるかを検証した。

今回の実証では、まず3次元屋内外位置測位を行うMBSサービスを元に数十ミリ秒ごとのリアルタイム測位を行う独自方式の位置トラッカー(MBSトラッカー)を試作して、ドローンに搭載した。


MBSサービスが建設現場において機能することは2022年10月に実証済みであるため、今回は屋外において係留状態のドローンを手動で航行させ、ドローンでRTKの位置測位をすると同時に真下の地面に向けてレーザー測距を行い、MBSトラッカー、RTK、レーザー距離計のデータを同時に取得して比較分析を行った。

また、MBSサービスの利用やデータの出力先としてクラウドとの通信を行うために、MBSトラッカーと地上との間は、免許が不要なプライベートLTE方式であるsXGP11を用いて高信頼なデータ回線を構築した。

今回の実証により、MBSサービスを元にしたリアルタイム測位が実現可能であることや、sXGPにより高品質なデータ回線が確保できることを確認。また、高さの測位に気圧を利用するMBSに対しドローンのプロペラによる気圧の変動の影響についても確認することができ、測位誤差の修正に向けた知見を得たという。




※ Metropolitan Beacon System。GPSと同じ原理で、地上に設置した異なる配置の基地局からの信号を4つ以上同時に受信することにより、それぞれの基地局と測位端末の距離を計算し、緯度・経度および高さを計算する。

参考・画像元:NEC通信システム プレスリリース
印刷ページを表示
WRITTEN by

デジコン編集部

建設土木のICT化の情報を日々キャッチして、わかりやすく伝えていきます。

建設土木の未来を
ICTで変えるメディア

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。