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デジコン編集部 2022.5.19

NTT、画像認識AIでインフラ設備の「錆」を97.5%の精度で検出成功

NTTは、画像認識AIを使って社会インフラ設備に発生した「錆」の高精度検出に成功した。

画像認識AIは「MMS:モービルマッピングシステム」で得た沿道画像から、複数のインフラ設備を識別し、それぞれのインフラ設備(道路附属物および柱上設備)に発生している「錆」を97.5%の高精度で検出できることを確認した。

インフラの一括点検で省人化も実現


道路などの社会インフラは、老朽化の進行、点検コストの増加、点検員の不足といった深刻な問題を抱えている。

NTTグループでは、社会から取得できるさまざまなセンシングデータをデジタル空間上で結合・蓄積・分析する「4Dデジタル基盤」によって解決することをめざしており、MMSやドローンなどによる点検を進めている。

今回、MMS搭載の複数の高解像度デジカメで沿道のインフラ設備を一括撮影し、取得画像から設備の「錆」を検出する画像認識AIを構築。

(インフラ設備撮影用MMS)

MMSによる実地でのインフラ設備の撮影は、西日本電信電話株式会社が実施した。今回の撮影では、MMSで沿道のインフラ設備を一定間隔で撮影し、横向きのデジタルカメラによって道路附属物(ガードレール、標識、ミラーなど)の画像、上向きのデジタルカメラによって柱上設備(金物、ケーブルなど)の画像を取得。



さらに、暗い画像から「錆」を見つけられるAIや、微小な「錆」領域を見逃さないAIなど、特徴の異なる複数のAIの結果を総合的に判断することで、逆光や曇りによって暗く写った設備からでも小さな「錆」まで高精度に検出できるようにした。



取得した道路附属物の画像1000枚(設備に錆がある画像は587枚)、柱上設備の画像1000枚(設備に錆がある画像は135枚)に対して、画像認識AIを用いた設備の認識と、各設備の「錆」の検出を行った。
(【表】画像認識AIでの設備の認識と「錆」の検出結果)

道路附属物と柱上設備の合計で、画像2000枚中1885枚において設備を正しく認識し(認識率94.3%)、錆がある画像722枚中704枚において錆を正しく検出した(検出率97.5%)【表】。

現在、管理者ごとに行っている現地点検を、MMS走行での集約が可能となり、点検稼働の大幅削減が期待できる。また、画像認識AIは取得画像から一律基準で高精度に「錆」領域を検出できるため、点検品質の均一化にも寄与する。

画像:NTT プレスリリースより
 
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デジコン編集部

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