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デジコン編集部 2022.5.2

西松建設、高速3Dスキャナ活用した「インバート掘削形状モニタリングシステム」開発

西松建設は、山岳トンネルのインバート施工において、「インバート掘削形状モニタリングシステム」を開発した。

インバートとは、地山の地耐力が不足する場合に、トンネルの底盤に設置される逆アーチ状の構造物のこと。

一般的な山岳トンネル工事のインバート掘削は、掘削面の仕上がりを確認するために、作業員が、トンネル側壁に高さの基準を設置して、定規を使って計測するが、重機との接触災害が発生する恐れがあり、さらに、確認作業は職員の大きな負担となっていた。

(従来のインバート床付け作業と仕上がり確認)

そこで、西松建設では、安全性・品質の向上と効率化を目的に、高速3Dスキャナを使用した『インバート掘削形状モニタリングシステム』を開発。

(インバート掘削形状モニタリングシステム)

本システムでは、高速3Dスキャナを三脚にてインバート掘削区間に設置し、インバートの掘削形状を計測。掘削形状の点群データと設計断面を比較し、重機キャビン内のモニターに、ヒートマップで色分けして表示させるので、重機のオペレータが直感的に床付けの過不足を確認することができ、従来のように重機の近くで作業員が腰線と定規を使って床付け高さを確認する必要がなくなる。

(掘削箇所のヒートマップ表示)

高速3Dスキャナが、任意に配置した後方の特殊基準球を自動で探索することで自己位置を推定するため、トータルステーションとの連動が不要となり計測時間を大幅に短縮。

運転席モニター画面から計測開始の指令を出して、全体的な結果が表示されるまで50秒程度であり、掘削サイクルに影響を与えることなく、効率的な床付け作業が可能となる。


(システム現場計測状況(レーザ光はイメージ))

モニター画面上のヒートマップ表示をタッチすることで、スキャナに併設した指示レーザが照射し実際の掘削箇所との対比が容易にもなる。また特徴的な機能として、掘削作業中に任意の範囲でグリッド分割し、タッチすることで1秒足らずで指定したグリッド内の再計測が可能なので確認しながら床付け作業を進めていける。

今後は現場検証を通じて出てきた新たな課題に対してシステムの改良を進めていく。


西松建設の土木技術
https://www.nishimatsu.co.jp/solution/engineering.php

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デジコン編集部

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