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デジコン編集部 2025.7.14

再生資源活用の人工魚礁「有機体ブロック」開発。磯焼け対策で藻場再生を実現。環境内水面資源研究所(山形県)

環境内水面資源研究所(山形県鶴岡市)が、海藻や付着生物の定着を促進する人工構造材「有機体ブロック」を開発し発表した。

磯焼けによって失われた藻場の再生を目的とし、2023年3月から山形県酒田港北港で石坂産業と共同実証実験を進めている。

食品残渣や腐葉土を活用した循環型素材で海洋環境を回復


有機体ブロックは、食品残渣・腐葉土・石材などの再生資源を原材料として製造される。

セメントをほとんど使用せず、海水中でもpHバランスに優れた適応性を持つのが特徴である。

最終的にはゆるやかに分解されながら砂や栄養塩として自然に還る循環型の設計となっている。


表面には藻類やフジツボ、シロボヤなどの初期付着生物が着生しやすい微細な凹凸を設けている。

この構造により、アカモクやワカメなどの海藻の胞子定着を促進し、藻場形成を早期実現する仕組みである。

配置を工夫することで小魚や稚貝の隠れ家となる空間構造も備えており、生物多様性の回復にも寄与する。

実証実験では2023年9月に海洋投入を行い、ベースとなる素材にはアイエスエンジニアリングが有するリサイクル盛土材「NS-10」を使用している。

特に酒田では、ホンダワラ類の藻場形成によってハタハタの卵塊着生場所が確保され、漁業資源の回復が期待される。

海藻による炭素吸収効果の検証も実施しており、持続可能な沿岸生態系の再生と地域漁業の活性化への貢献を目指している。




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