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デジコン編集部 2021.8.17

業界初、大成建設がAIによる建機オペレータの見守りシステムを開発

大成建設株式会社は、株式会社IIUと共同で、建設機械の操縦席に設置したカメラの画像データを基に、AIが建設機械オペレータの不安全行動を自動検知し、警報を発信して建機災害を未然に防ぐ見守りシステム「T-iSafety※Operator」を開発したと発表した。

建機オペレータの不安全行動に着目したシステムの開発は、業界初となる。

近年、建設工事現場で発生する建設機械に関連する災害は、減少傾向にあるとはいえ、依然として全災害の1~2割を占めている。

こうした災害に対して、建設機械の周囲にいる作業員の行動に着目した安全システムは様々なタイプのものが開発・導入されているが、建機オペレータの行動に着目した建機災害を防止するシステムはこれまで開発されていなかった。

建機災害の発生要因を見ていくと、建機オペレータが確認行為の際に操縦席から身を乗り出すといった不安全行動や建機のロックレバーの操作ミスなどといったものがあり、建機オペレータ自身の行動に起因するものが数多く見受けられていた。

そこで大成建設とIIUは、AIを活用し、正確かつ迅速に建機オペレータの行動を見守り、不安全行動を自動検知して、災害を未然に防止するシステム「T-iSafety Operator」を開発。

本システムは音声や警告灯が点灯する警報装置を連動させることができ、不安全行動に対して建機オペレータに直接注意を促す。その結果、自らの安全確保や作業員との接触など建機災害を防止することが可能となる。

AIによる建機オペレータの骨格および装備の自動検知(通常操作時)


不安全行動範囲内(赤ハッチング部で任意設定可能)では警報発信


T-iSafety Operator の特徴


AIを用いて建機オペレータの不安全行動を自動検知し、注意を喚起
操縦席に設置したカメラで操作状況を撮影し、AIの物体認識により通常操作時の建機オペレータの骨格を検知。それにより、操作中に建機オペレータが窓の外などに身を乗り出すなど、不安全行動をとると警報を発信し注意を促す。

また、建機オペレータの安全装備などの着衣やシートベルトの装着状況、建機のドア開閉状態、ロックレバーの操作忘れ等を自動検知することが可能。

不安全行動をデータベース化し、再発防止や安全教育などに活用可能
警報の発信履歴はサーバー内に蓄積・自動統計処理され、不安全行動の頻度や発生推移をデータベース化し、可視化したデータを関係者へ周知することで再発防止や安全教育に活用することができる。また事故などのトラブル発生時には撮影・記録された映像を基に原因の検証が可能。

既存機材を活用し、高い汎用性を保持
本システムは、既存のカメラ、警報装置(スピーカー、パトライト)、制御用小型PCで構成されており、全てが小型軽量であるため、様々な建設機械への設置、取り外し、後付けでの対応を容易に行えるなど高い汎用性を有している。



※T-iSafety:建設工事現場の作業員の安全確保を目的として、画像データを基にAIを用いて自動で安全確認する、当社で独自開発したシステムの総称。類似システムとして、作業員の入場時における画像データを基に、AIを用いて安全装備の装着を高速・高精度で確認できる「T-iSafety Protection」を開発・導入済。


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デジコン編集部

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