2020年10月26日(月)、27日(火)に、株式会社オプティム(以下オプティム)の主催で、AI・IoTの最新活用事例を紹介する「OPTiM INNOVATION 2020」が開催された。
今年はコロナ禍ということもあり、「今、感染拡大を防ぎながら、経済活動を活発化させるためにAI・IoTができること」というテーマで、オンライン形式でのイベントとなった。
本記事では27日(火)に配信されたウェビナー「コロナの影響をプラスに!建設現場のこれから」の様子をお伝えしていく。
感染症対策の基本は、検温、アルコール消毒、マスク、フェイスシールドの着用、そしてソーシャルディスタンスなどであり、ポイントとなるのが「接触機会を減らすこと」にある。
そこで建設現場の感染症対策において、ICTを活用して何ができるのか、どうすれば業務に支障を来さずに働けるのかなどを、株式会社建設システム 奥田和彦氏が詳しく語ってくれた。
以上の3つに着目し、これに対する具体的なソリューションを、現場監督の行動を追いかけるカタチで紹介された。
まず現場監督は、現場の写真を撮影することが多い。現場で撮影し、事務所などに戻ってデータを共有サーバなどに「保存 > 整理 > 管理」という作業を繰り返すが、この作業こそクラウドを使用することで、簡素化でき、加えて密を避けることができると奥田氏。
株式会社建設システムのクラウドシステムでは、簡単な情報を付与しておけば、写真撮影と同時にアプリケーションから自動でフォルダ分けされた状態で、直接クラウドにデータを保存することができる。
そして保存されたデータは、現場事務所だけでなく、支店や自宅など離れた場所で共有し、作業することが可能に。誰がどの写真を使用しているか確認できるので、分担作業も容易だ。人が集合することがなければ、感染リスクを軽減できるということだ。
現場監督の重要な作業の一つに配筋検査がある。現場では黒板、マーカー、カメラ、図面など、多くのものが必要になるのだが、クラウドやアプリケーションを活用することで、モノを減らすことができる。
まず現場に行く前に、検査に必要なデータを取得して、クラウドに保存しておく。同社アプリケーションでは、構造物の番号、測定箇所、鉄筋番号、径、本数などの情報を、データ化された図面(設計図や配筋図、鉄筋重量表など)の数値をクリックするだけで簡単に反映させることができ、手入力する労力や、打ち間違いなどを大幅に削減。現場では、スマートフォンなどのデバイスを使って情報を呼び出し、検査する対象を選択。
あとは日付や作業者情報、実測値などをそのデバイスに入力していくだけでいい。入力を終えたら、マーカーの色などを選択し配筋を撮影。今撮った画像データ上にマーカーを配置し、現場での作業は終了となる。
ちなみに黒板は電子化されているので、持ち歩く必要はない。実測値などの値はこの段階で自動的に帳票化されているので、あとは事務所などに戻って確認し、必要ならプリントアウトするだけ。
これであれば現場に持っていく物も最低限で済む。一人で簡単に作業できるため、人との接触も避けることができるだろう。こういったアプリケーションが実用化されるようになった背景には、今年(2020年)から写真管理基準(国土交通省定め)でSVGファイルの使用が認められたことにより画像のレイヤー化が可能になったからだという。
今後は画面上でのマーカー設置、注釈画面以外にも、様々な表現方法が提案されるだろう。
立会いや段階確認など、今まで対面で行っていた作業をリモートにすることで、感染拡大リスクが減少する。そこで遠隔臨場を手軽に行うことができるソリューションを提案。これはスマートフォンなどで撮影している映像を配信することができるシステムで、撮影デバイスとPC以外、特別な機材を必要としないのが特徴だ。
発注者側は一般的なブラウザでライブ映像を視聴することができる。現場まで移動する必要がなくなるので、時間的にも費用的にも、受注者、発注者の両方にメリットがあるだろう。自動録画もされているので後で見直すことも可能だ。
建設土木は、在宅勤務が難しい業種と言われていたが、クラウドやアプリケーションを活用することで、在宅勤務やリモートワークを進めていけるはずだ。そして現場に出る時間を短縮できれば、自ずと業界の働き方にも変化が出てくるのではないだろうか。
旧態依然の建設業界も、コロナ禍での影響によって、今では新たな技術、業態を積極的に受け入れる段階に入ってきているのを感じている、奥田氏。
最後には、今後も先進的なソリューションのチカラで、現場を応援をしていきたい、と力強く語りウェビナーを締めくくった。
今年はコロナ禍ということもあり、「今、感染拡大を防ぎながら、経済活動を活発化させるためにAI・IoTができること」というテーマで、オンライン形式でのイベントとなった。
本記事では27日(火)に配信されたウェビナー「コロナの影響をプラスに!建設現場のこれから」の様子をお伝えしていく。
新型コロナにおける、3つの対策
感染症対策の基本は、検温、アルコール消毒、マスク、フェイスシールドの着用、そしてソーシャルディスタンスなどであり、ポイントとなるのが「接触機会を減らすこと」にある。
そこで建設現場の感染症対策において、ICTを活用して何ができるのか、どうすれば業務に支障を来さずに働けるのかなどを、株式会社建設システム 奥田和彦氏が詳しく語ってくれた。
- 同じ空間にいる人を減らす
3密、密集、集合を避けるというのはコロナ感染症対策の基本中の基本。そこでクラウドを利用し働く場所を限定しないようにする。 - 物理的なものを減らす
黒板やマーカーなど、現場で道具を共有することで感染してしまうケースもあることから、現場に持ち込むものを極力減らすことも対策の一つだ。 - 会う回数を減らす
ふだんから頻繁に人と会うことで、ウイルスを拡散してしまう可能性が生じてしまう。そこで対面する回数を減らすことで、拡散リスクも減少することができる。
以上の3つに着目し、これに対する具体的なソリューションを、現場監督の行動を追いかけるカタチで紹介された。
「1.同じ空間にいる人を減らす」ソリューション
まず現場監督は、現場の写真を撮影することが多い。現場で撮影し、事務所などに戻ってデータを共有サーバなどに「保存 > 整理 > 管理」という作業を繰り返すが、この作業こそクラウドを使用することで、簡素化でき、加えて密を避けることができると奥田氏。
株式会社建設システムのクラウドシステムでは、簡単な情報を付与しておけば、写真撮影と同時にアプリケーションから自動でフォルダ分けされた状態で、直接クラウドにデータを保存することができる。
そして保存されたデータは、現場事務所だけでなく、支店や自宅など離れた場所で共有し、作業することが可能に。誰がどの写真を使用しているか確認できるので、分担作業も容易だ。人が集合することがなければ、感染リスクを軽減できるということだ。
「2.物理的なものを減らす」ソリューション
現場監督の重要な作業の一つに配筋検査がある。現場では黒板、マーカー、カメラ、図面など、多くのものが必要になるのだが、クラウドやアプリケーションを活用することで、モノを減らすことができる。
まず現場に行く前に、検査に必要なデータを取得して、クラウドに保存しておく。同社アプリケーションでは、構造物の番号、測定箇所、鉄筋番号、径、本数などの情報を、データ化された図面(設計図や配筋図、鉄筋重量表など)の数値をクリックするだけで簡単に反映させることができ、手入力する労力や、打ち間違いなどを大幅に削減。現場では、スマートフォンなどのデバイスを使って情報を呼び出し、検査する対象を選択。
あとは日付や作業者情報、実測値などをそのデバイスに入力していくだけでいい。入力を終えたら、マーカーの色などを選択し配筋を撮影。今撮った画像データ上にマーカーを配置し、現場での作業は終了となる。
ちなみに黒板は電子化されているので、持ち歩く必要はない。実測値などの値はこの段階で自動的に帳票化されているので、あとは事務所などに戻って確認し、必要ならプリントアウトするだけ。
これであれば現場に持っていく物も最低限で済む。一人で簡単に作業できるため、人との接触も避けることができるだろう。こういったアプリケーションが実用化されるようになった背景には、今年(2020年)から写真管理基準(国土交通省定め)でSVGファイルの使用が認められたことにより画像のレイヤー化が可能になったからだという。
今後は画面上でのマーカー設置、注釈画面以外にも、様々な表現方法が提案されるだろう。
「3.会う回数を減らす」ソリューション
立会いや段階確認など、今まで対面で行っていた作業をリモートにすることで、感染拡大リスクが減少する。そこで遠隔臨場を手軽に行うことができるソリューションを提案。これはスマートフォンなどで撮影している映像を配信することができるシステムで、撮影デバイスとPC以外、特別な機材を必要としないのが特徴だ。
発注者側は一般的なブラウザでライブ映像を視聴することができる。現場まで移動する必要がなくなるので、時間的にも費用的にも、受注者、発注者の両方にメリットがあるだろう。自動録画もされているので後で見直すことも可能だ。
建設現場のこれから
建設土木は、在宅勤務が難しい業種と言われていたが、クラウドやアプリケーションを活用することで、在宅勤務やリモートワークを進めていけるはずだ。そして現場に出る時間を短縮できれば、自ずと業界の働き方にも変化が出てくるのではないだろうか。
旧態依然の建設業界も、コロナ禍での影響によって、今では新たな技術、業態を積極的に受け入れる段階に入ってきているのを感じている、奥田氏。
最後には、今後も先進的なソリューションのチカラで、現場を応援をしていきたい、と力強く語りウェビナーを締めくくった。
WRITTEN by
角田 憲
有限会社さくらぐみにライターとして所属。宅地建物取引士。祖父が宮大工だったことから建築、不動産に興味を持ち、戸建て、マンション等の販売・管理・メンテナンス業務に従事。食、音楽、格闘技・スポーツ全般、健康、トラベルまで幅広く執筆。読書量は年間約300冊。
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