HPが墨出し作業を自動化するロボット「HP SitePrint」の日本販売を開始。従来作業と比較して最大10倍の生産性を実現

HP Inc.と日本HPは、建設現場での複雑な墨出し作業を高精度に行うロボティックソリューション「HP SitePrint」の日本市場での販売開始を発表した。

北米や欧州での成功を受け、日本の建設業界の生産性向上に貢献する。

自律型障害物回避機能と多様なインク対応で建設現場のDX化を促進

HP SitePrintは、建設現場での墨出し作業を自動化し、従来の手作業と比較して最大10倍の生産性を実現するロボティックソリューションである。

自律型障害物回避機能を搭載しており、センサーによる障害物検知で作業現場での自律性が向上している。

これにより、ロボットが墨出し作業を行っている間に担当者は他の作業に集中できるようになり、現場全体の効率化が図れる。


実際の導入例では、米Level 5 Drywall社の事例が示すように、手作業チームが2～3部屋を仕上げる間に、HP SitePrintは7～8部屋の墨出し作業を完了させている。

墨出し作業のリソースを早期に解放して本格的な着工が可能となるため、プロジェクト全体の進行を迅速化できるメリットがある。

また、墨出し段階でのミスを減少させることで、後工程での壁の撤去などの手戻りを防ぎ、工期を数週間短縮することも可能としている。





HP SitePrintは、様々な表面（ターマック、粗いコンクリート、合板、型枠など）に対応するため、3色（シアン、マゼンタ、ブラック）で8種類のインクを用意している。

用途（吸水性のある表面、防水の表面）と耐久性（消えない、消えにくい）に応じて選択可能であり、カートリッジ方式のため簡単に交換できる設計となっている。

2025年4月1日からは、業界をリードするロボティックトータルステーションとの互換性も確保され、Leica、Trimble、Topconなどの主要機種に対応する。

クラウドベースのツールを使用した墨出し作業の管理システムも備えており、ワークフロー全体をどこからでも管理することが可能だ。

サポートリクエストの記録や設計事務所と作業現場間でのCADドキュメントの共有もできる。

背景として、日本の建設市場は2024年の6,092億ドルから2029年には7,166億ドルに成長すると予測されており、この期間の年平均成長率は3.30%と見込まれている。

一方で、建設業界は生産性向上と人材確保という課題に直面しており、マッキンゼー社の調査によると、過去20年間で製造業の労働生産性が年平均3.6%向上しているのに対し、建設業ではわずか1%の成長にとどまっている。

日本HPの岡戸伸樹社長は、「建設現場の生産性向上により、業界のDX化に貢献できるよう、HPのロボティックソリューションを提案していく」とコメントしている。






参考・画像元：日本HPプレスリリースより