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デジコン編集部 2025.7.11

清水建設とレンタルのニッケン、高精度GNSS動態観測システム「GeoLoc」レンタル開始。障害物環境下でも誤差数mm検出

清水建設レンタルのニッケンと共同で、周囲に障害物がある環境下でも観測点の微小な変位を検出できる高精度GNSS動態観測システム「GeoLoc(ジオロック)」のレンタル事業を開始した。

東京海洋大学と共同開発した独自のRTK-GNSS測位アルゴリズムを採用し、上空視界が制限された環境下でも誤差数ミリメートルから1センチメートルの高精度測位を実現する。

RTK方式で衛星信号の誤差検出・除去し樹木・建築物がある環境でも信頼性高い解析結果導出


地すべりやインフラ構造物の動態観測には従前からGNSS(全地球測位衛星システム)が活用されている。

ただし観測対象の周囲に樹木や建築物等の障害物がある場合、衛星からの信号が遮られたり、反射波が発生したりするため、測位精度が著しく低下してしまうという課題があった。

またGNSSの一般的な測位精度はセンチメートルオーダーであるため、地盤やインフラ構造物の微小な変位を捉えることは困難であった。

「GeoLoc」はRTK(Real Time Kinematic)方式の衛星測位技術を用いて観測点の位置情報を常時取得し、測位データの経時変化を観測するシステムである。

基準点と観測点の2カ所で測位を行うRTK方式のGNSS測位システムを採用しており、宇宙空間から発信された複数のGNSS信号のうち、基準点の既知の3次元座標との誤差が大きい信号を検出・除去することで、衛星電波を受信しづらい環境下でも信頼性の高い解析結果を導出する。



本システムに適用した測位技術は清水建設の複数の建設現場において導入実績があり、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)にも「QuartetS」の名称で登録(登録番号KT-230280-A)されている。

「GeoLoc」のレンタル利用はレンタルのニッケンが提供する観測機器とモバイルルーターを任意の基準点と観測点に設置するだけで開始できる。

観測データはWebブラウザを介して複数のユーザーが常時閲覧でき、観測点の変位量が管理値を超過した際には、警報メールを登録先に即時送信することもできる。

今後、工事中の切土盛土トンネル工事の坑口監視、インフラ構造部の動態観測(壁測位)などへの適用を視野に、レンタルのニッケンを営業窓口として事業展開を進める方針である。


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デジコン編集部

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