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角田 憲 2021.1.28

降りつもる雪の中で過ごす恐怖と不安。昨年12月、関越自動車道で起こった大規模な立ち往生をふり返る

2020年12月、関越自動車道で大雪による大規模な立ち往生が発生。最大時は約2,100台もの車が停滞する事態となった。

記録的大雪による車両の滞留発生


12月16日。その日は強い寒気の影響で日本海側を中心に大雪となり、新潟県の湯沢では24時間降雪量が113㎝を記録し、観測史上1位を更新した日だった。午後6時頃、関越自動車道上り線「塩沢石打インターチェンジ」付近で、複数の大型車がスタック(雪などの影響でタイヤが空回りしてしまうこと)し、車線を塞いだ。

写真はイメージ(shutterstock)

同日午後10時頃には、下り線「湯沢インターチェンジ」付近でも大型車がスタックし両車線とも車線を塞いでしまう。そして後続車が次々と滞留し、最大時には上り線で1,750台、下り線で350台の車が立ち往生する事態になってしまった。

解消したのは、約52時間後


翌17日には自衛隊に災害派遣が要請され、車内に取り残された人たち等の安否確認と、水、食料、燃料、毛布などの救援物資の配布が行われる。降り続く雪の中、東日本高速道路(NEXCO東日本)、警察、陸上自衛隊など約700人体制で、懸命に除雪作業は行われるが、車と車の間に積もった雪を手作業で除く作業は難航し、18日の朝に下り線の立ち往生が解消、同日午後10時15分にようやく上り線の滞留が解消された。

写真はイメージ(shutterstock)

発生から約52時間も経過している。その後も除雪作業は続き、19日朝には通行を再開する見通しだったが、断続的な降雪により大きく遅れ、関越自動車道の通行止めがすべて解除されたのは19日午後9時半だった。

極寒の中、車内に2晩以上も


寝袋などの防寒具を持っていなければ、真冬の高速道路の上で、エンジンを停めた車内で過ごすことはできない。しかしエンジンがかかったままで、マフラーに雪が詰まってしまえば、車内に排気ガスが流れ込み一酸化中毒の危険がある。

写真はイメージ(shutterstock)

そのためほとんどの人が、ゆっくりと休むこともできないまま、マフラー周りの定期的に除雪を続けていたという。中には40時間以上も閉じ込められてしまった人もおり、その不安や恐怖は察するにあまりある。幸い死者は確認されていないが、体調不良のため病院に搬送された人も数人いたと発表されている。

重要インフラで起きた立ち往生


例年、短時間での積雪、いわゆるドカ雪が降ることも多く、その対応で除雪機能が高いと言われている関越自動車道で起こった今回の大規模な立ち往生。記録的な大雪、そしてその雪が湿って重く滑りやすかったこと、一部のトラックなどの大型車が劣化した冬用タイヤを装着していたこと、通行止めの判断が半日以上も遅れたこと、などが原因とされた。

写真はイメージ(shutterstock)

高速道路は重要な交通インフラであり「移動」「流通」という大きな役割を担っている。春夏秋冬、一年を通して、日本全国に物資は行き渡り、多くの人々の生活を支えていることは疑うべくもない。

だが逆に言えば、それだけ社会的な期待や責任も大きい。今年、2021年1月10にも北陸自動車道で最大1500台も車が立ち往生が起こっており、もし物流の停滞を避けることが優先された結果、安全の不徹底や判断のミスを招いたのだとしたら、それは「誰か」の問題ではなく、社会的な問題と言えるのではないだろうか。

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WRITTEN by

角田 憲

有限会社さくらぐみにライターとして所属。宅地建物取引士。祖父が宮大工だったことから建築、不動産に興味を持ち、戸建て、マンション等の販売・管理・メンテナンス業務に従事。食、音楽、格闘技・スポーツ全般、健康、トラベルまで幅広く執筆。読書量は年間約300冊。

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