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デジコン編集部 2023.1.6

5Gで重機を遠隔操縦。低遅延でスムーズな操作を実現。金沢工業大学、NTTコミュニケーションズらが実証

金沢工業大学、株式会社ヨシカワ(石川県)、NTTコミュニケーションズ株式会社は、5Gを活用した重機の遠隔操縦の実証実験を行った。

実施された期間は、2022年年9月12日~14日。金沢工業大学・白山麓キャンパスにて行われた。

遠隔操作システムを搭載した重機。白山麓キャンパスの実証実験フィールドにて)

今回、3者が共同研究で開発したシステムは、既存の遠隔操縦機能付き重機に自由視点の俯瞰映像システムと、映像伝送システムを組合わせることで、直接目視が難しい遠隔地からでも重機の周囲の安全を確認できる機能だ。

既存の遠隔操縦機能付き重機に搭載することで、既存重機を活かしながら、比較的安価に、直接目視できないような遠隔地からの遠隔操縦を実現した。

(遠隔操作中の画面。全方位映像(右)で重機の周囲を確認できる)

また映像伝送システムは、金沢工業大学・白山麓キャンパスに設置されたNTTドコモの5G回線を活用。重機オペレータは、重機を自由な視点から見下ろした全方位360度の映像、前方映像、後方映像の3映像を確認しながら、重機を遠隔地から操作することが可能だ。

(白山麓キャンパスのイノベーションハブから重機の遠隔操作を行った。)

実験の結果、重機の俯瞰映像をNTTドコモの5G回線により低遅延で伝送することにより、重機をまったく目視できない遠隔地においても、円滑に操縦できることが実証されたとしている。

5Gを使った通信に関しては、Wi-Fi通信による操作と比べても遜色がなく、支障のないレベルでの遠隔操作が可能ということも判明。

(白山麓キャンパスのコテージ前の実験フィールドで実証実験を実施)

また、目視を伴う遠隔操作と比べ、自由視点の俯瞰映像システムのおかげで重機の周囲の状況が把握しやすいというメリットがあることも分かったとしている。

使用した回線の通信速度は、5Gが上り平均77Mbps、下り平均759Mbps。Wi-Fiは上り下りともおよそ150Mbps程度。なお、映像の伝送にはおよそ20Mbps程度の通信速度が出せれば問題なく、低遅延で操作の反応が速いことが重要だという。

(コテージ前の実験フィールド)

今後は、人が立ち入れない危険な現場や災害現場などでの活用が期待されるとしている。また、遠隔操作の実現により、重機オペレータの安全性の向上、作業効率の向上などが予想でき、生産性向上と働き方改革にも資するとしている。



参考・画像元:金沢工業大学プレスリリース
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デジコン編集部

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