安藤ハザマが積込み機能付きAI-ロードヘッダを開発。山岳トンネル掘削から排土までの完全無人化へ前進

安藤ハザマと三井三池製作所は、山岳トンネル工事の生産性向上を目指し、集土・排土機能を備えた「積込み機能付きAI-ロードヘッダ」を共同開発したと発表した。

自動掘削・遠隔操作・自己位置推定機能で熟練技能者の知識をデジタル化、切羽作業の安全性と効率を大幅に向上

この新型機械は、ICTを活用した「山岳トンネル統合型掘削管理システム（i-NATMアイナトム®）」の一環として開発されたもので、機械掘削工法における掘削からズリ出しまでの無人化を目指している。


建設業界では就労者の高齢化や人口減少による人手不足が深刻化しており、生産性向上が急務となっている。

特に山岳トンネル工事の切羽作業は最も危険な作業のひとつであり、機械掘削工法では重機オペレーターが長時間の粉じん発生作業に従事するため、作業の無人化が安全面・環境面からも求められていた。

今回開発された積込み機能付きAI-ロードヘッダは、従来のAI-ロードヘッダに集土・排土機能を追加することで、掘削から排土までの一連の作業を無人で行うことを可能にした。

本機は自動運転機能を備えており、自身の位置と掘削対象となる切羽面の位置を把握し、専用PCで生成された移動経路に沿って自動掘削を行う。


機械の目により暗闇でも目標を正確に認識し、切削中の負荷からドラムの速度を自動調整することで最適な運転を実現している。

遠隔操作機能では、遠隔地から「移動」「掘削」「集土」「排土」といった一連の操作が可能となっており、3Dモデルのロードヘッダが実機と連動する掘削アシストシステムにより、ヘッドの角度や機械姿勢を詳細に把握することができる。


さらに自己位置推定機能では、搭載したLiDARセンサの測定値と機体位置の測量結果から坑内のマッピングを行い、作成したマップ上における現在地を推定する。

データ収集機能により、電流電圧などの機械稼働状況や振動・温度などのセンサデータを記録してクラウド上にアップロードし可視化することで、効率的な自動掘削のための動作記録を蓄積している。

今回新たに追加された集土・排土機能では、掘削土砂を搬出するための集土装置・排土装置に加え、掘削土砂運搬機械との位置関係を簡易に調整するための回転式シュートを備えている。

安藤ハザマと三井三池製作所は、2024年6月に「令和3年度 中部縦貫坊方トンネル工事」において、AI-ロードヘッダによる自動掘削および遠隔掘削の実証試験を行い、その有効性を確認している。

積込み機能付きAI-ロードヘッダは、2025年度に実際の山岳トンネルにおいて運用し、その効果を確認する予定である。

また、切羽性状に合わせた作業員の掘削手順を記録し、自動掘削のさらなる高度化を目指すとしている。