ニュース
デジコン編集部 2022.9.21

全自動ドローンの「レベル3飛行」と地表面の変位計測を実現。飛島建設とKDDI

飛島建設は、KDDIスマートドローン、KDDIと共同で、全自動ドローンのレベル3飛行(無人地帯における補助者なし目視外飛行)の実証に成功した。

この取組みは、建設工事現場における計測管理の自動化・高度化を目的に行われたもので、併せて国際航業株式会社の技術協力のもと、全自動ドローンによる地表面変位計測の共同検証も実施された。

近年、建設工事現場においてドローンは急速に普及し始め、多くの建設工事現場に導入されている。


しかし、ドローンによる空撮は、操縦者および補助者の2名以上の配置が必要となる他に、ドローンの撮影場所までの移動やドローンの充電といった労力を要する。

特に地表面変位計測のような頻繁な計測実施においては、これらの労力が計測実施のたびに必要で非効率という課題があった。

そこで、ドローンによる空撮や撮影画像に基づく地表面変位計測の自動化を目的に、自動離発着・自動充電可能な全自動ドローンを採用。

レベル3飛行(無人地帯における補助者なし目視外飛行)の承認を受けた上で、飛鳥建設が現在施工中の「令和2年度北勢BP坂部トンネル工事(発注者:国土交通省中部地方整備局)」にて検証が行われた。
(ゴルフ場上空を自動飛行するドローン)

テストフィールドに選ばれた北勢BP坂部トンネル工事は、トンネル直上に営業中のゴルフ場があり、脆弱な未固結地山を最小土被り約3メートルで掘削する厳しい条件下の現場。

ゴルフ場の営業に支障を与えないように、地表部にGNSSアンテナを備えたGNSS地表面自動変位計測を埋設し、安全性を確保しながら施工された。

検証に用いた全自動ドローンは、自動離着陸の機能を有し、レベル3の無人運用に対応。他にも、事前の3次元フライトルート設定によるドローン空撮の自動化をはじめ、開閉式ハッチを備えたドローンポートで充電や機体のセッティングも省略できる。

(3次元フライトルートに沿った自動ドローン空撮)

さらに、4G LTE通信を介して、遠隔操縦やモニタリング、空撮データのクラウドへのダイレクトアップロードを実装している。
(ドローン運航管理システム画面)

また、現場で設置しているGNSSアンテナの対空標識への活用も試行。通常は、地上部に置く対空標識は、ドローン測量ごとに別途測量しなくてはならないが、GNSSアンテナを用いることで、測量の手間が省ける。
(現場職員による遠隔操縦・ 遠隔モニタリング)

(全自動ドローンによるトンネル縦断方向の地表面変位計測結果の表示例)

検証の結果、変位計測用のGNSSが対空標識として利用できることが分かり、加えて、全自動ドローンによる計測結果と、GNSSによる計測結果との融合が可能なことも証明された。


参考・画像:飛島建設プレスリリース
印刷ページを表示
WRITTEN by

デジコン編集部

建設土木のICT化の情報を日々キャッチして、わかりやすく伝えていきます。

建設土木の未来を
ICTで変えるメディア

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。