大林組の施工シミュレータ「GEN-VIR」が筋疲労分析機能を強化。東名高速工事で作業改善に成功

株式会社大林組がトヨタ自動車未来創生センターと共同開発した施工シミュレータ「GEN-VIR（ゲンバー）」に、作業姿勢の自動生成機能と精度向上した筋疲労分析機能を実装し、東名高速道路のリニューアル工事で活用したと発表した。

3DCGによる作業シミュレーションで人員配置最適化とモルタルミキサー導入を実現、作業時間40分短縮と肉体負担軽減を達成

GEN-VIRは3DCGによる工事現場と作業を再現するシミュレーション技術で、綿密な作業順序や作業員配置を検討することが可能なツールである。

大林組は東名多摩川橋のリニューアル工事において、作業時間や空間が限られる高速道路上での作業を効率化するためにこのシステムを活用してきた。

今回新たに実装された作業姿勢の自動生成機能は、実際の作業姿勢に近い形でバーチャル現場内の作業員の動きを生成することができる。

これにより、各作業に対する筋疲労を時系列に算出する筋疲労分析機能の精度が向上し、より実態に近い数値の算出が可能となった。


東名多摩川橋工事でのモルタル打設作業では、当初計画していた作業員7名1班体制についてGEN-VIRでシミュレーションを実施した結果、1班6名体制がより効率的な配置であることが判明した。

人員削減による筋疲労の増加が懸念されたため、モルタル打設作業の手順を細分化して筋疲労分析を行ったところ、ハンドミキサーを使用したモルタル練り混ぜ作業が特に筋力への負担が大きいことが分かった。

この分析結果を受けて、作業効率と肉体的負担の両面から改善策としてモルタルミキサーの導入を検討。


モルタルミキサーを用いた施工シミュレーションでは、ハンドミキサー使用時と比較して40分の作業時間短縮と筋疲労の軽減が確認された。

また、シミュレーション映像は実際の作業前の手順説明会でも活用され、施工手順や人員配置、安全対策の確認に役立てられた。


現場の職長や作業員からは「人員配置や作業工程など、シミュレーションを見てイメージできていたのでスムーズに作業できた」といった肯定的な声が上がっており、未経験の作業工程でも事前に全員の共通認識を形成できたことで、効率的かつ作業員の負担を軽減した工程改善を実現した。