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【推奨技術】(15技術)
- 1.クラウド型転圧管理ソリューション「Solution Linkage Compactor」
- 2. 建設用3Dプリンティング
- 3. クラウド型空中写真測量解析サービス「Solution Linkage Point Cloud」
- 4. 硬質地盤クリア工法(フライホイール式パイルオーガ)
- 5. スマートフォン活用3D計測ソリューション(Solution Linkage Survey)
- 6. トモロボ(自律型全自動鉄筋結束ロボットシステム)
- 7. 自動荷重測定装置を搭載したバックホウを用いた積載重量管理システム(LOADEX 100)
- 8. 浚渫グラブバケット角度制御装置
- 9. パワーブレンダー工法(横行施工)
- 10. スマートバッチャープラント
- 11. センチメートル級精度の対空標識「エアロポマーカー」
- 12. 3D作業船位置管理支援システム
- 13. 侵食防止及び植生の自然侵入促進をはかる土壌藻類資材
- 14. 3次元モデルを利用したBIM/CIMコミュニケーションシステム TREND-CORE
- 15. 3次元点群処理ソフト(TREND-POINT)を用いた施工土量計測システム
- 【準推奨技術】(8技術)
- まとめ
建設業界は今、深刻な人手不足や環境問題、安全性向上などの課題に直面している。
こうした課題解決のため、国土交通省は毎年、公共工事における優れた新技術の活用を促進するための技術選定を行っている。
令和7年度は、外部有識者の審査を経て、推奨技術15件と準推奨技術8件の計23技術が選定された。
これは過去最多の選定数となり、工事等技術のさらなる強化が期待される。
今回選定された技術を紹介する前に、国土交通省のNETISに登録された新技術の中から、外部有識者の審査を経て、画期的な新技術を有用な新技術として選定しており、本省では「推奨技術」・「準推奨技術」・「評価促進技術」を選定していることを押さえておこう。
それでは、23技術すべてを簡潔に紹介していく。
転圧状況を専用タブレット端末で確認できるとともに、クラウドで帳票作成ができる転圧管理システム。
従来はRI法や砂置換法による締固め管理及び人による帳票作成で対応していたが、本技術の活用によりRI試験等に掛かる費用を低減できるため経済性が向上する。

建設用3Dプリンタに最適化した専用モルタル材料を活用して建設現場に必要な多種多様なコンクリート構造物を少ない人手と資源で品質良く製造可能な技術。
人手不足や工期の不安定課題に対しての施工効果はもちろん、迅速性や安全性が特に求められる状況や地域においても高い施工効果を発揮する。

UAV撮影画像をクラウドにアップロードすることにより自動的に3次元点群データ等を生成できるシステム。
従来は施工者がSfMソフトウエアを使って生成していたが、本技術の活用により、高性能パソコンやSfMソフトウエアの購入が不要となるため、経済性が向上する。

フライホイール機構搭載オーガを用いて硬質地盤に鋼矢板を圧入する工法。
径の大きな玉石層や硬岩Ⅰまでの岩盤層を含む換算N値600以上の超硬質地盤においても先行掘削砂置換することなく鋼矢板を油圧式圧入により打設可能となる。

スマートフォンを用いて土量を計測するシステム。
従来は縦横断測量で得られた断面図を用いた平均断面法で対応していたが、本技術の活用により1人作業により短時間で計測が可能となるため経済性の向上が図れる。

建設現場で行われている格子状に組まれた鉄筋の交点を鋼線で締め上げて固定する"鉄筋結束作業"という心身ともに大きな負担を伴う作業を人の代わりに行うロボット。
作業効率の向上と作業者の負担軽減を実現する。

バックホウのブームシリンダの油圧を計測し、角度・ストローク・加速度センサーからバケット内積載重量を計測・管理するシステム。
リアルタイムで積載量確認が可能なため、土質変化や含水比変化があっても同じ積載重量まで積込みができる。

グラブ浚渫工において、旋回時のグラブバケットを常に船体と平行に制御するシステム。
従来は旋回に応じてグラブ浚渫跡が扇状となるバケットで対応していたが、本技術の活用により、浚渫時の重複割合を小さくできるため、作業効率が向上する。

軟弱地盤を強固にする地盤改良技術(セメント固化)。
地盤改良は、互層地盤を均質に固化させる必要があるため、全層(複雑な地層)を鉛直方向に撹拌しながら横方向にも連続施工させることを可能とした横行施工技術である。

冬期における山岳トンネル工事の吹付けコンクリート製造時に、各材料を加温して練上がり温度を自動制御する設備。
急結剤添加率を低減できるため、圧縮強度の増大効果や余吹き率の低減効果が見込まれる。

エアロポマーカーは高精度な対空標識で、標定点や検証点に設置するだけで高精度な測量が可能となるシステム。
従来のトータルステーションによる測量をGNSS測位に置き換えることで、大幅な省力化と経済性の向上が実現できる。

ICTを活用する海上工事全般において、作業船の位置や作業の状態、工事目的物の形状などを三次元表示するシステム。
従来は平面の二次元データ等で対応していたが、本技術の活用により、施工状況の可視化が可能となるため、作業の効率化、施工精度の向上が期待できる。

崩壊斜面、工事による荒れ地やのり面に吹付けるための土壌藻類資材。
種子吹付工用機器や水中ポンプ等で施工でき、緑化基礎工が不要で適用できるメリットがある。
世界中に分布している汎存種であり、無性生殖なので遺伝子撹乱が起きないという特性を持つ土壌藻類を利用した環境にやさしい技術。

工事現場を3DモデルやVRで表現し、設計・施工計画・3Dシミュレーションを行い、施工から検査まで効果的かつ効率的な施工管理を行うことができ、施工計画作成時のシミュレーションや地域住民に対する現場説明資料、BIM/CIM対応工事に適用できる。

UAVによる空中写真撮影やレーザースキャナー等の3次元計測で取得される複数の点群データを用いた3次元土量計算により、時系列での土量変化を把握できる技術。
土工や浚渫工など地形変化を伴う工事の進捗管理に適用できる。

高出力の連続波レーザーを回転させて鋼構造物のサビ、塗膜と腐食の要因となる塩分を除去できる素地調整工法。
従来技術は残留塩分に課題があったが、本技術の活用により、塗膜再劣化が抑制でき、鋼構造物の長寿命化とライフサイクルコスト軽減が期待できる。

除草場所の傾斜角度に応じてエンジン等の重量物を傾斜面山側へ向け自動的に傾動させることで、機体重心位置を傾斜面山側へ移動させ、急傾斜法面でも横転し難い安定した除草作業を可能にした遠隔操作草刈機。
傾斜角度45度までの急傾斜法面での除草作業を効率化する。

コンクリート構造物の表面に貼り付けて、コンクリート表面含浸材が規定塗布量以上に塗布又は散布されているかを確認するための塗布量確認シール。
変色確認の1工程で済むため経済性の向上と工程の短縮が図れる。

敷板の材質をナイロン繊維強化特殊合成ゴムに変えたことにより、高強度ゴム性能を有するとともに、耐荷重が36Tonあり、重量車両や重機の走行も問題ない軽量安全敷板。
タイヤ製造工程から出てくるナイロン繊維入り端材を利用し、環境への負荷を軽減できる。

漏水が発生した簡易鋼製ジョイントの止水材を撤去し、バキュームブラストを用いて止水材が剥がれた原因である鋼材面の錆を完全に除去し、シリコーン系シーラント(超伸張性)を充填して止水する工法。
伸縮装置を取り替えることなく止水機能を回復させることができる。

切土や盛土の施工面及びコンクリート構造物等を雨水や降雪、風から保護する養生シート。
従来は連結のための紐や抑えのための土のうが必要だったが、マジックテープによって密着接合でき、風による飛散や雨および雪の侵入を防止できる。

道路舗装面(歩道含む)と道路縁石や中央分離帯の境界隙間から雑草が生えてくるのをレベリング材(流動性の高い材料)とトップコート材(水性塗料)を塗布することにより雑草を抑制する工法。

法面工事で安全に作業構台を作る技術。従来は単管とクランプ及び番線を用いた足場で対応していたが、本技術では固定部材がシステム化され、安全性と施工性の向上が図れる。
また、作業工数が削減されるため、工程の短縮と経済性の向上が見込める。

今回、国土交通省が選定した令和7年度の推奨技術15件と準推奨技術8件の計23技術は、建設現場の生産性向上、安全性確保、環境負荷低減など多様な課題に対応するものだ。
ICT・AI・ドローン・レーザー技術など最先端テクノロジーを活用し、単なる効率化だけでなく、作業者の負担軽減や安全確保、環境保全にも配慮されている点が特徴的である。
建設業界は少子高齢化による人手不足や環境問題など多くの課題に直面しているが、今回選定された技術はそれらの解決につながる可能性を秘めている。
特に、これまで人力や熟練技術者の経験に頼っていた作業や判断をICTやAIで効率化・高度化する点は、今後の建設業界の方向性を示すものと言えるだろう。
建設技術の革新は私たちの生活や社会インフラの安全性・耐久性に直結する重要課題だ。今後も国土交通省による新技術選定・推奨の取り組みが続くことで、より安全で効率的、環境に配慮した建設技術の発展が期待される。
こうした課題解決のため、国土交通省は毎年、公共工事における優れた新技術の活用を促進するための技術選定を行っている。
令和7年度は、外部有識者の審査を経て、推奨技術15件と準推奨技術8件の計23技術が選定された。
これは過去最多の選定数となり、工事等技術のさらなる強化が期待される。
今回選定された技術を紹介する前に、国土交通省のNETISに登録された新技術の中から、外部有識者の審査を経て、画期的な新技術を有用な新技術として選定しており、本省では「推奨技術」・「準推奨技術」・「評価促進技術」を選定していることを押さえておこう。
それでは、23技術すべてを簡潔に紹介していく。
【推奨技術】(15技術)
1.クラウド型転圧管理ソリューション「Solution Linkage Compactor」
転圧状況を専用タブレット端末で確認できるとともに、クラウドで帳票作成ができる転圧管理システム。
従来はRI法や砂置換法による締固め管理及び人による帳票作成で対応していたが、本技術の活用によりRI試験等に掛かる費用を低減できるため経済性が向上する。

2. 建設用3Dプリンティング
建設用3Dプリンタに最適化した専用モルタル材料を活用して建設現場に必要な多種多様なコンクリート構造物を少ない人手と資源で品質良く製造可能な技術。
人手不足や工期の不安定課題に対しての施工効果はもちろん、迅速性や安全性が特に求められる状況や地域においても高い施工効果を発揮する。

3. クラウド型空中写真測量解析サービス「Solution Linkage Point Cloud」
UAV撮影画像をクラウドにアップロードすることにより自動的に3次元点群データ等を生成できるシステム。
従来は施工者がSfMソフトウエアを使って生成していたが、本技術の活用により、高性能パソコンやSfMソフトウエアの購入が不要となるため、経済性が向上する。

4. 硬質地盤クリア工法(フライホイール式パイルオーガ)
フライホイール機構搭載オーガを用いて硬質地盤に鋼矢板を圧入する工法。
径の大きな玉石層や硬岩Ⅰまでの岩盤層を含む換算N値600以上の超硬質地盤においても先行掘削砂置換することなく鋼矢板を油圧式圧入により打設可能となる。

5. スマートフォン活用3D計測ソリューション(Solution Linkage Survey)
スマートフォンを用いて土量を計測するシステム。
従来は縦横断測量で得られた断面図を用いた平均断面法で対応していたが、本技術の活用により1人作業により短時間で計測が可能となるため経済性の向上が図れる。

6. トモロボ(自律型全自動鉄筋結束ロボットシステム)
建設現場で行われている格子状に組まれた鉄筋の交点を鋼線で締め上げて固定する"鉄筋結束作業"という心身ともに大きな負担を伴う作業を人の代わりに行うロボット。
作業効率の向上と作業者の負担軽減を実現する。

7. 自動荷重測定装置を搭載したバックホウを用いた積載重量管理システム(LOADEX 100)
バックホウのブームシリンダの油圧を計測し、角度・ストローク・加速度センサーからバケット内積載重量を計測・管理するシステム。
リアルタイムで積載量確認が可能なため、土質変化や含水比変化があっても同じ積載重量まで積込みができる。

8. 浚渫グラブバケット角度制御装置
グラブ浚渫工において、旋回時のグラブバケットを常に船体と平行に制御するシステム。
従来は旋回に応じてグラブ浚渫跡が扇状となるバケットで対応していたが、本技術の活用により、浚渫時の重複割合を小さくできるため、作業効率が向上する。

9. パワーブレンダー工法(横行施工)
軟弱地盤を強固にする地盤改良技術(セメント固化)。
地盤改良は、互層地盤を均質に固化させる必要があるため、全層(複雑な地層)を鉛直方向に撹拌しながら横方向にも連続施工させることを可能とした横行施工技術である。

10. スマートバッチャープラント
冬期における山岳トンネル工事の吹付けコンクリート製造時に、各材料を加温して練上がり温度を自動制御する設備。
急結剤添加率を低減できるため、圧縮強度の増大効果や余吹き率の低減効果が見込まれる。

11. センチメートル級精度の対空標識「エアロポマーカー」
エアロポマーカーは高精度な対空標識で、標定点や検証点に設置するだけで高精度な測量が可能となるシステム。
従来のトータルステーションによる測量をGNSS測位に置き換えることで、大幅な省力化と経済性の向上が実現できる。

12. 3D作業船位置管理支援システム
ICTを活用する海上工事全般において、作業船の位置や作業の状態、工事目的物の形状などを三次元表示するシステム。
従来は平面の二次元データ等で対応していたが、本技術の活用により、施工状況の可視化が可能となるため、作業の効率化、施工精度の向上が期待できる。

13. 侵食防止及び植生の自然侵入促進をはかる土壌藻類資材
崩壊斜面、工事による荒れ地やのり面に吹付けるための土壌藻類資材。
種子吹付工用機器や水中ポンプ等で施工でき、緑化基礎工が不要で適用できるメリットがある。
世界中に分布している汎存種であり、無性生殖なので遺伝子撹乱が起きないという特性を持つ土壌藻類を利用した環境にやさしい技術。

14. 3次元モデルを利用したBIM/CIMコミュニケーションシステム TREND-CORE
工事現場を3DモデルやVRで表現し、設計・施工計画・3Dシミュレーションを行い、施工から検査まで効果的かつ効率的な施工管理を行うことができ、施工計画作成時のシミュレーションや地域住民に対する現場説明資料、BIM/CIM対応工事に適用できる。

15. 3次元点群処理ソフト(TREND-POINT)を用いた施工土量計測システム
UAVによる空中写真撮影やレーザースキャナー等の3次元計測で取得される複数の点群データを用いた3次元土量計算により、時系列での土量変化を把握できる技術。
土工や浚渫工など地形変化を伴う工事の進捗管理に適用できる。

【準推奨技術】(8技術)
1. 回転式レーザー素地調整工法(CoolLaser工法)
高出力の連続波レーザーを回転させて鋼構造物のサビ、塗膜と腐食の要因となる塩分を除去できる素地調整工法。
従来技術は残留塩分に課題があったが、本技術の活用により、塗膜再劣化が抑制でき、鋼構造物の長寿命化とライフサイクルコスト軽減が期待できる。

2. 急傾斜法面対応の遠隔操作草刈機
除草場所の傾斜角度に応じてエンジン等の重量物を傾斜面山側へ向け自動的に傾動させることで、機体重心位置を傾斜面山側へ移動させ、急傾斜法面でも横転し難い安定した除草作業を可能にした遠隔操作草刈機。
傾斜角度45度までの急傾斜法面での除草作業を効率化する。

3. 塗布量管理革命「シール de チェッカー」
コンクリート構造物の表面に貼り付けて、コンクリート表面含浸材が規定塗布量以上に塗布又は散布されているかを確認するための塗布量確認シール。
変色確認の1工程で済むため経済性の向上と工程の短縮が図れる。

4. ナイロン繊維強化特殊ゴムマットシリーズ
敷板の材質をナイロン繊維強化特殊合成ゴムに変えたことにより、高強度ゴム性能を有するとともに、耐荷重が36Tonあり、重量車両や重機の走行も問題ない軽量安全敷板。
タイヤ製造工程から出てくるナイロン繊維入り端材を利用し、環境への負荷を軽減できる。

5. リフレッシュジョイント工法(REJ工法)
漏水が発生した簡易鋼製ジョイントの止水材を撤去し、バキュームブラストを用いて止水材が剥がれた原因である鋼材面の錆を完全に除去し、シリコーン系シーラント(超伸張性)を充填して止水する工法。
伸縮装置を取り替えることなく止水機能を回復させることができる。

6. ピタットシート
切土や盛土の施工面及びコンクリート構造物等を雨水や降雪、風から保護する養生シート。
従来は連結のための紐や抑えのための土のうが必要だったが、マジックテープによって密着接合でき、風による飛散や雨および雪の侵入を防止できる。

7. クサデナーズ(塗布型防草対策工法)
道路舗装面(歩道含む)と道路縁石や中央分離帯の境界隙間から雑草が生えてくるのをレベリング材(流動性の高い材料)とトップコート材(水性塗料)を塗布することにより雑草を抑制する工法。

8. 法面作業構台マルチアングル工法(法面構台用ユニット足場)
法面工事で安全に作業構台を作る技術。従来は単管とクランプ及び番線を用いた足場で対応していたが、本技術では固定部材がシステム化され、安全性と施工性の向上が図れる。
また、作業工数が削減されるため、工程の短縮と経済性の向上が見込める。

まとめ
今回、国土交通省が選定した令和7年度の推奨技術15件と準推奨技術8件の計23技術は、建設現場の生産性向上、安全性確保、環境負荷低減など多様な課題に対応するものだ。
ICT・AI・ドローン・レーザー技術など最先端テクノロジーを活用し、単なる効率化だけでなく、作業者の負担軽減や安全確保、環境保全にも配慮されている点が特徴的である。
建設業界は少子高齢化による人手不足や環境問題など多くの課題に直面しているが、今回選定された技術はそれらの解決につながる可能性を秘めている。
特に、これまで人力や熟練技術者の経験に頼っていた作業や判断をICTやAIで効率化・高度化する点は、今後の建設業界の方向性を示すものと言えるだろう。
建設技術の革新は私たちの生活や社会インフラの安全性・耐久性に直結する重要課題だ。今後も国土交通省による新技術選定・推奨の取り組みが続くことで、より安全で効率的、環境に配慮した建設技術の発展が期待される。
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