コラム・特集
デジコン編集部 2025.2.5

自動追尾型トータルステーションとは? 〜 主力メーカーの機能特徴を紹介!〜

CONTENTS
  1. トータルステーションの基礎知識
  2. 主力メーカーの製品特徴
  3.  
    1. トプコン GT-1500/700シリーズ
    2. ライカジオシステムズ Nova TS60
    3. ニコン・トリンブル Focus 50
    4. ペンタックス P-100シリーズ
  4. まとめ
建設現場のICT化が進む中、測量機器の進化も目覚ましい。特に自動追尾型トータルステーションの普及は、測量作業の効率化と高精度化に大きく貢献している。

本記事では、各メーカーの最新機種の特徴と性能を比較しながら、この自動追尾型トータルステーションを探る。

トータルステーションの基礎知識


トータルステーション(TS)とは、距離と角度を同時に測定できる測量機器だ。

従来の手動式トータルステーションでは、測量者が望遠鏡を覗きながら手動でターゲット(プリズム)を視準する必要があった。

一方、自動追尾型トータルステーション(自動追尾TS)は、一度ターゲットを捕捉すると、そのターゲットの動きを自動的に追従して測定を続けることができる。

この自動追尾機能により、ワンマン測量が可能となり、作業効率が大幅に向上した。

また、リアルタイムでの三次元位置測定やICT施工における位置情報の取得など、建設現場のICT化に不可欠な技術となっている。

主力メーカーの製品特徴

自動追尾型トータルステーションの国内市場では、トプコン、ライカジオシステムズ、ニコン・トリンブル、ペンタックスなど、各社が特徴的な製品を展開している。

それぞれが独自の技術を駆使し、追尾性能、測角精度、環境耐性など、様々な面で性能向上を図っている。以下、各メーカーの代表的な機種について、その特徴を詳しく見ていく。

 

トプコン GT-1500/700シリーズ


新開発のブラシレスDCモーターを採用の「Silky Drive®」システムを搭載したGT-1500/700シリーズは、本体重量5.9kgという軽量化を実現している。

(画像元:トプコン製品サイトより)

通信性能においては、Bluetooth®クラス1規格により600mの通信距離を確保し、10Hzのデータ更新レートによってリアルタイム性の高い測位を可能としている。

ライカジオシステムズ Nova TS60


ATRplusシステムを搭載したNova TS60は、ISO17123-3準拠の測角精度0.5秒、ISO17123-4準拠の測距精度0.6mm + 1ppmを実現している。

(画像元:ライカジオシステムズ製品サイトより)

また、IEC 60529準拠のIP65等級の防塵防水性能を備え、雨天や強日照下などの厳しい環境下でも安定した測定が可能だ。

ニコン・トリンブル Focus 50


電磁誘導モーター「MagDrive™」による毎秒90度の旋回性能と、独自の「SurePoint™」傾き補正システムを特徴とするFocus 50は、KGC 90%反射率条件下で1,300mまでのノンプリズム測距を実現している。
(画像元:ニコン・トリンブル製品サイトより)

また、Robotic方式とAutolock方式の2種類の通信モデルを用意し、現場条件に応じた選択が可能だ。

ペンタックス P-100シリーズ


P-100シリーズは、ノンプリズム測距において最大600mの測定範囲と約0.3秒という高速な測距時間を実現している。
(画像元:PENTAX製品サイトより)

測距精度はノンプリズムモードで3+3ppm(標準偏差)を確保。また、±3分の補正範囲を持つ2軸コンペンセータと、標準バッテリー使用時約26時間の連続測距時間により、長時間の安定した測定を可能としている。

まとめ


自動追尾型トータルステーションは、各メーカーが独自の技術開発により、追尾性能と測定精度の向上を実現している。

導入に際しては、使用環境や用途に応じて、通信距離、測角精度、環境性能などの諸元を総合的に判断し、最適な機種を選定することが重要である。



参考文献:各メーカー製品カタログ(2024年版)/ 各メーカー技術資料 / 国土地理院測量機器検定基準
印刷ページを表示
WRITTEN by

デジコン編集部

建設土木のICT化の情報を日々キャッチして、わかりやすく伝えていきます。

建設土木の未来を
ICTで変えるメディア

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。