ニュース
コロナ影響を踏まえ、将来の建設技術者の需要動向を予測。ヒューマンタッチ総研が「2030年未来予測(2021年版)」公表
建設業界の人材動向、市場動向、未来予測などの調査・分析を行うシンクタンクである、ヒューマンタッチ総研。同研究所が、将来の建設技術者と需要について試算した「2030年未来予測(2021年版)」を公表した。
今回の未来予測では、経済に大きな打撃を与えている新型コロナウイルス感染症拡大が、今後の建設技術者の需給バランスにどのような影響を与えるのかについて分析している。
建設技術者数については、2015年の国勢調査における建設技術者数をベースに、「新卒の建設技術職入職」「他職種からの入職」を増加要因、「他職種への転職」「定年による離職」を減少要因として試算。建設技術者数は2015年の475,200人から緩やかな増加傾向が続き、2027年には500,360人(2015年比105.3%)に達するが、その後は減少し、2030年には498,826人(2015年比105.0%)になると試算された。
建設技術者の需要数は「ベースライン」「成長実現」「ゼロ成長」の
建設技術者の需要数は、2020年までは国土交通省の「2020年建設投資見通し」(2020年10月)での建設投資額をベースに試算した。2021年以降については内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」(2020年7月)でのベースラインケース、成長実現ケースのGDP成長率、消費者物価上昇率を使った試算に加え、2021年以降をゼロ成長として試算。
この「ベースライン成長シナリオ」「成長実現シナリオ」「ゼロ成長シナリオ」の3つのシナリオで試算し、2030年までの建設技術者の需給動向を予測している。
試算の結果、建設技術者の需要数は各シナリオ共通で2019年の54万3千人から2020年には52万3千人、2021年には50万5千人に減少。2022年以降は成長実現シナリオでは増加傾向が続き2030年には需要数は55万人、ベースラインシナリオでは横ばいで2030年には51万9千人、ゼロ成長シナリオでは減少傾向が続き2030年には49万人になると予測された。
そして、建設技術者数と建設技術者の需要数の試算結果から需給ギャップの推移をみると、2030年ではべースライン成長シナリオでは2万人の不足、成長実現シナリオでは5万1千人の不足、ゼロ成長シナリオでは9千人の過剰になるという結果となった。
中長期的には人材不足が拡大する可能性も踏まえ、
今回の予測について、ヒューマンタッチ総研所長・髙本和幸(ヒューマンタッチ代表取締役)氏は、「建設技術者の需給ギャップは2019年に6万人の不足にまで拡大しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で建設投資が減少する影響を受けて2021年には1万5千人程度の不足にまで需給ギャップは縮小すると試算。コロナ禍による建設投資額の減少に伴い、建設技術者の需給はかなり緩和されはしますが一定レベルの人材不足は続きそうです」とコメントしている。
また、「足元では、緊急事態宣言が再び発出され、新型コロナウイルス感染症拡大の収束の目途が立たない状況であり、2020年度のGDP成長率は今回の試算で使った▲4.5%よりもさらに下振れすることも考えられます。2020年12月に発表された政府経済見通しでは2020年度の実質GDP成長率は▲5.2%とされており、緊急事態宣言の再発出を受けてさらに下振れする危険性もあると考えられることから、短期的には縮小マーケットを想定しながらも中長期的には建設市場の動向次第で建設技術者の不足数が拡大する可能性も踏まえて採用戦略をフレキシブルに見直していくことが重要になると考えられます」との指摘も。経済状況に応じた建設業界の人材の需給動向に、今後も注意が必要だ。
今回の未来予測では、経済に大きな打撃を与えている新型コロナウイルス感染症拡大が、今後の建設技術者の需給バランスにどのような影響を与えるのかについて分析している。
建設技術者の試算は2030年に、49万9千人(2015年比105.0%)
建設技術者数については、2015年の国勢調査における建設技術者数をベースに、「新卒の建設技術職入職」「他職種からの入職」を増加要因、「他職種への転職」「定年による離職」を減少要因として試算。建設技術者数は2015年の475,200人から緩やかな増加傾向が続き、2027年には500,360人(2015年比105.3%)に達するが、その後は減少し、2030年には498,826人(2015年比105.0%)になると試算された。
建設技術者の需要数は「ベースライン」「成長実現」「ゼロ成長」の
3シナリオで試算
建設技術者の需要数は、2020年までは国土交通省の「2020年建設投資見通し」(2020年10月)での建設投資額をベースに試算した。2021年以降については内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」(2020年7月)でのベースラインケース、成長実現ケースのGDP成長率、消費者物価上昇率を使った試算に加え、2021年以降をゼロ成長として試算。
この「ベースライン成長シナリオ」「成長実現シナリオ」「ゼロ成長シナリオ」の3つのシナリオで試算し、2030年までの建設技術者の需給動向を予測している。
試算の結果、建設技術者の需要数は各シナリオ共通で2019年の54万3千人から2020年には52万3千人、2021年には50万5千人に減少。2022年以降は成長実現シナリオでは増加傾向が続き2030年には需要数は55万人、ベースラインシナリオでは横ばいで2030年には51万9千人、ゼロ成長シナリオでは減少傾向が続き2030年には49万人になると予測された。
そして、建設技術者数と建設技術者の需要数の試算結果から需給ギャップの推移をみると、2030年ではべースライン成長シナリオでは2万人の不足、成長実現シナリオでは5万1千人の不足、ゼロ成長シナリオでは9千人の過剰になるという結果となった。
中長期的には人材不足が拡大する可能性も踏まえ、
採用戦略を柔軟に見直すことがキーポイントに
今回の予測について、ヒューマンタッチ総研所長・髙本和幸(ヒューマンタッチ代表取締役)氏は、「建設技術者の需給ギャップは2019年に6万人の不足にまで拡大しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で建設投資が減少する影響を受けて2021年には1万5千人程度の不足にまで需給ギャップは縮小すると試算。コロナ禍による建設投資額の減少に伴い、建設技術者の需給はかなり緩和されはしますが一定レベルの人材不足は続きそうです」とコメントしている。
また、「足元では、緊急事態宣言が再び発出され、新型コロナウイルス感染症拡大の収束の目途が立たない状況であり、2020年度のGDP成長率は今回の試算で使った▲4.5%よりもさらに下振れすることも考えられます。2020年12月に発表された政府経済見通しでは2020年度の実質GDP成長率は▲5.2%とされており、緊急事態宣言の再発出を受けてさらに下振れする危険性もあると考えられることから、短期的には縮小マーケットを想定しながらも中長期的には建設市場の動向次第で建設技術者の不足数が拡大する可能性も踏まえて採用戦略をフレキシブルに見直していくことが重要になると考えられます」との指摘も。経済状況に応じた建設業界の人材の需給動向に、今後も注意が必要だ。
WRITTEN by
建設土木の未来を
ICTで変えるメディア