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デジコン編集部 2025.7.4

東急建設ら、切羽遠隔監視システム試験導入。4K映像と音声無線で山岳トンネル工事の肌落ち災害防止

東急建設、マック、レントの3社は、デジタル技術を活用した切羽遠隔監視システムの試験導入を開始した。

山岳トンネル工事での土砂や岩盤崩れによる「肌落ち」死傷災害の防止を目的とし、和歌山県の有田海南道路1号トンネルで実証している。

4K映像伝送とパンチルトズーム機能で作業エリアから離れた安全監視を実現


山岳トンネル工事では土砂や岩盤が崩れる「肌落ち」による死傷災害リスクがあるため、安衛則384条においてその防止措置が義務付けられている。

令和6年3月26日にガイドラインが改正され、切羽監視時のデジタル技術の活用について明記されたことを受け、切羽遠隔監視システム車両の開発に着手した経緯がある。

本システムでは監視カメラや集音マイクを搭載した重機から、後方の監視車両に4K映像・音声専用無線が送られる仕組みとなっている。


機器の設定・制御は別途設けられた制御用無線(Wi-Fi)により行われ、制御信号の通信負荷による監視画像や音声の遅延、欠損が発生しない仕様を実現している。

切羽監視責任者はこれまで切羽近傍で目視により監視を行っていたが、監視車両内から4Kモニター及びスピーカーを用い監視を行い、ジョイスティックによるパンチルトズームを使うことで、湧水箇所や切羽性状を従来よりも作業エリアから距離を置き、安全に確認できる。

また画像の3方向同時監視や、非常釦による切羽エリアへのLED警報発報ができるのも特徴である。

国土交通省近畿地方整備局発注の有田海南道路1号トンネル(和歌山県有田市~海南市)に試験導入を実施し、本システムに装備された4K画像伝送及びパンチルトズーム機能による湧水箇所や切羽性状の近接目視機能、複数個所の同時監視機能により「目視で監視する場合と同等以上の安全衛生水準」を達成できる可能性が示された。

これにより監視位置が作業エリアから離れることによる切羽監視責任者自身の被災リスクの低減のみならず、切羽監視責任者の心身的負担も軽減され、担い手不足解消の一助となることが期待される。




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デジコン編集部

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