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デジコン編集部 2022.9.22

鹿島、AIでコンクリート構造物の表層品質を評価するアプリを開発

鹿島建設は、コンクリート打設後における表面状態の検査、品質管理が行えるアプリを開発した。

橋梁やトンネルといったンクリート構造物の大部分の工事では、長期にわたり大量のコンクリートを打設する。こうした現場では、コンクリート打設のたびに表層品質向上のPDCAサイクルを回し、改善を図っている。

しかし打設後におけるコンクリートの品質を評価・分析するためには、硬化前のコンクリートに見られる性質、状態、環境温度などの入力や書類の保管に多くの労力が必要で、データ連携による施工へのフィードバックが難しかった。

そこで鹿島建設は、コンクリート構造物の品質の確保および向上するアプリを開発。

新アプリでは、コンクリート構造物表面の写真からAIが品質を評価する機能を備え、誰でも一定の精度でコンクリートの品質を評価可能な他、評価結果はリアルタイムに専用クラウドに集積されるため、施工条件や環境条件などのデータと連携した表層品質向上のPDCAサイクルを回せる。
(新アプリでコンクリートの表層を撮影している様子)

新アプリの評価手順はまず、タブレットのカメラでコンクリート表層の写真を撮影。コンクリート表層品質を6項目(打重ね線、表面の色つや、表面気泡、沈みひび割れ、ノロ漏れ、砂すじ)に分けて、1点から4点まで、0.5点刻みでタブレットに評価を入力する。

点数入力の際には、グレード分けされたサンプル画像と撮影した写真が表示され比べられるため、容易に判定可能。

次に、AIが6項目の評価値を0.1点刻みで表示し、AIによる評価を目安に上記で入力した評価をチェックするため、入力者の個人差を解消した一定精度での評価できる。評価結果はクラウド上に自働保存されるため、同一現場のコンクリート品質の評価推移などを即座に確かめられるだけでなく、帳票の出力もワンタッチで行える。

(新アプリによる判定と出力帳票一例)

すでに鹿島建設では、水処理施設の建設現場に新アプリを適用している。具体的には、新アプリでコンクリートの表層品質を評価し、そのデータに基づいた分析から、打込み順序と層厚の変更により打重ね時間間隔を短くするなど、表層品質向上のPDCAサイクルを回した。



その結果、アプリ適用前と比較して打重ね線の項目が高い評価となり、コンクリートの品質が高まったという結果が出たという。


参考・画像:鹿島建設プレスリリース
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デジコン編集部

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