ニュース
デジコン編集部 2025.7.14

大成建設、床振動抑制システム「T-Silent TMD Floor」開発。直径420mm薄型円形TMDとAI解析で導入コスト最大50%削減

大成建設は、オフィスなどの床振動を低コストで効果的に抑制する新システム「T-Silent TMD Floor」を開発した。

薄型・円形の新型制振装置TMDと2022年開発のAI解析技術「T-Optimus TMD」を組み合わせ、従来と比べて最大50%の導入コスト削減を可能にしている。

板ばね3本支持の簡易構造で製造コスト20%削減、AI最適配置で設置台数を10台から6台に減少


オフィスなどの鉄骨造建物では、歩行などによる床振動が執務空間の快適性や作業効率を妨げる要因となる場合がある。

従来の対策としてはOAフロアと床スラブの間に振動を抑制する装置TMDを複数台設置する方法(床面積が200~300平方メートルの場合、10~20台程度のTMD設置が必要)が一般的であった。

しかし1台あたりのコストが高く、台数を増やすと施工・維持管理の負担が大きくなるという課題があった。

また建物の供用後に床振動対策としてTMDを設置する際には、床下の狭い空間や家具・什器の移動などの制約から導入の障壁となっていた。

そこで大成建設はTMDの構造を薄型・円形にすることで、オフィスの床下にも設置可能な薄型コンパクトなTMDを開発した。

(新開発TMDの装置構造とOAフロア内の収まりイメージ)

新開発のTMDは直径420ミリメートルの円形錘を板ばね3本で支持する簡易構造を採用しており、高い支持安定性と自由度のある設計が可能で、従来品よりも製造コストを約20%削減できる。

また錘を重くできるため、設置台数を減らしても十分な振動抑制効果が得られる仕組みとなっている。

直径420ミリメートルとコンパクトサイズのTMDは、標準的なOAフロアパネル(500ミリメートル×500ミリメートル)の1枚分に収まる寸法となっている。

これにより既存オフィスでも家具・什器の移動を最小限に抑え、短工期で設置することができる。

薄型のため、OAフロアと床スラブ間の床高が低い場合にも柔軟に設置が可能である。

(TMDのOAフロア設置イメージ平面図)

本システムをAIの一種である進化計算を活用した解析技術「T-Optimus TMD」と組み合わせることで、錘の重量・ばね特性・配置を最適化することが可能である。

従来の設計方法では床振動の抑制にTMDが10台必要だったのに対し、本システムの適用によりTMD6台で同等の効果が得られることを、実際の建物での検証で確認した。




印刷ページを表示
WRITTEN by

デジコン編集部

建設土木のICT化の情報を日々キャッチして、わかりやすく伝えていきます。

建設土木の未来を
ICTで変えるメディア

会員登録

会員登録していただくと、最新記事を案内するメールマガジンが購読できるほか、会員限定コンテンツの閲覧が可能です。是非ご登録ください。