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デジコン編集部 2025.5.21

大成建設が自律走行ロボット用緊急停止装置「ロボストップシステム」を開発。床面の反射テープで作業区域外への暴走を防止

大成建設は法和と共同で、建設現場における自律走行ロボットの安全運転性能向上を目的とした自動緊急停止装置「ロボストップシステム」を開発した。

作業範囲の床に反射テープで境界線を設け、ロボットに取り付けた反射センサーがこれを検知して自動停止する仕組みで、有線接続による高い安全性と低コストが特徴である。

反射テープとセンサーの二重化で無線通信リスクを解消、自律フォークリフトなど大型ロボットの事故防止に効果


従来、自律走行ロボットには、人や障害物を検知し回避するシステムや接触した場合に瞬時に停止するテープスイッチなどの安全装置が搭載されるのが一般的であった。

軽量の自律走行ロボットについてはこれらの安全処置で十分な場合も多いが、大成建設が開発したT-DriveXのようなフォークリフトを自律走行させる場合、システムの異常や検知不良が重なると大きな事故につながる可能性があるため、さらなる安全措置が必要となる。

自律走行環境下では、システムの暴走に対応する2重の安全システムと別回路での緊急停止ボタンを装備する対応が多く取られているが、緊急停止ボタンでの最終的な安全対応は常に監視者が必要である。

また、人為的な見落としミスがないことを前提として無線で作動させるケースが多いため、安全性が万全とは言えない状況があった。

さらに、フォークリフトは積載物があるため、積載・荷下ろし時には安全センサーを遮断する必要が生じたり、接触センサーなどの物理的な安全装置の装備が難しいという特性がある。

〈 Rapyu.(ラピュー)に搭載された自動緊急停止装置(技術協力:株式会社アイ・ビーム)〉

これらの課題に対して、レーザーバリアを設置し、バリアが遮断された場合に緊急停止信号を出すようなシステムも考えられるが、設置の手間や製品コストを考えると現実的ではなく、無線通信に対するリスクも残る。

そこで同社は、自律制御上の安全対策や物理的な安全対応の上位に位置する緊急停止システム「ロボストップシステム」を開発した(特許出願中)。


(左:反射テープ/右:巻取機)

このシステムの最大の特長は、作業範囲の床に幅25mmほどの反射テープを配置して囲い、ロボットに取り付けた反射センサーによって反射信号を検知することで、システムトラブルが重なる誤作動が起きても、自律走行ロボットが作業エリア外へ暴走することを防止できる点である。

また、有線接続を採用することで安全への信頼性を高めている点も重要な特徴である。

反射センサー装置は1台につき2重の機能を有しており、取り付け台数を2台、3台、4台と増やすことで、万一のセンサー検知ミスも起きない構造となるよう工夫されている。

設置面での利便性も高く、停止区画を設定する反射テープは専用の巻取機に納められており、巻き尺のように簡単に設置できる。

さらに、センサーは強さを調整できる機構となっているため、様々なロボットへの取り付け位置(高さ)の変化にも対応可能である。

センサーの機構も簡単で安価に製作可能であり、取り付けも容易なことから、全体として低コストなシステムを実現している。





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