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デジコン編集部 2025.6.6

大成建設、道路トンネル工事で無線電子雷管を用いた試験発破に国内初成功。

大成建設は、内閣府・戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期の一環として、国道13号新及位トンネル工事において無線電子雷管「ウインデット®Ⅱシステム」を用いた試験発破を2025年5月下旬に実施し、全数で成功したと発表した。

道路トンネル工事での無線電子雷管使用は国内初となり、従来の有線式雷管で必要だった切羽近傍での手作業による脚線つなぎ合わせ作業を無線化することで、安全性と生産性の飛躍的向上を実現した。

従来有線式雷管の脚線手作業つなぎで岩盤肌落ちリスク。約10m3岩盤で親ダイ無線化、T-クイックショット装填装置と組み合わせ自動化推進


従来の発破作業では有線式雷管が使用されており、装薬後に雷管から伸びる脚線をすべて手作業によりつなぎ合わせる必要があった。

この作業は岩盤の肌落ちリスクのある切羽近傍で実施されるため、作業時間の長期化により安全性や生産性に深刻な課題を抱えていた。

今回の試験発破は、国土交通省東北地方整備局が発注する国道13号新及位トンネル工事において実施された。


トンネル側壁部での試験として、約10m3の岩盤に対して無線電子雷管を取り付けた親ダイとそれ以外の紙巻含水爆薬を装薬した上で発破を行い、全数での成功を達成した。

無線電子雷管「ウインデット®Ⅱシステム」は、日油が開発した無線通信技術を活用した電子雷管である。

この技術により、装薬後の通信確認、発破信号の送信などがすべて無線により操作可能となり、切羽近傍での滞在時間が大幅に削減される。

(無線電子雷管を用いた発破の概要)

大成建設は、SIP第3期の課題「スマートインフラマネジメントシステムの構築」のサブ課題A「建設生産プロセスの構築」において、筑波大学永谷圭司教授を研究開発責任者とする研究プログラムに参画している。

同社は無線電子雷管を用いた発破システムの最適化に取り組み、岩質の異なるトンネル内での通信性能などの確認試験を繰り返し実施してきた。


(無線電子雷管(ウインデット®Ⅱシステム))

SIPでの開発体制として、ゼネコン各社が無線電子雷管の開発に協調して取り組むとともに、各社が無線電子雷管を機械的に装薬する技術開発を競合している。この官民協働アプローチにより、技術開発の加速と実用化の促進が図られている。

大成建設は各社に先駆けて、2024年に無線電子雷管を機械的に装薬可能な装填装置「T-クイックショット」を開発済みだ。

この装填装置と今回の試験発破に使用した無線電子雷管との組み合わせにより、切羽から離れた場所から安全で効率的な装薬作業が可能となる。



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デジコン編集部

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