大成建設とユーグレナ、CO2排出量51%削減の次世代バイオ燃料を建設現場に国内初導入。東京経済大学工事でHVO51%混合「サステオ」を建設機械・車両に使用

大成建設とユーグレナは、東京経済大学国分寺キャンパス第2期整備事業建設工事において、CO2排出量を約半分に抑える「軽油にHVOを51%混合したサステオ」を建設機械や車両燃料として導入したと発表した。

この次世代バイオ燃料の建設現場への導入は国内初となり、公道走行可能な軽油代替燃料として国内軽油の要求品質に適合しながら、既存の建設機械・車両にそのまま使用できる導入ハードルの低さを実現している。

水素化植物油51%混合で軽油規格適合を実現。ローリー車巡回給油によりダンプトラック・クレーンへ燃料供給体制を構築

今回導入されたHVO51%混合製品は、水素化植物油（HVO）を軽油に51%混合したユーグレナが開発した軽油代替燃料である。

HVOは植物油や廃食油と水素を高温高圧で反応させる水素化処理により、酸化に対して安定になるなど物性が改良された合成燃料として位置づけられる。

この燃料の最大の技術的特徴は、バイオマス由来であることによりCO2排出量を51%削減できる点にある。

従来の軽油と比較して大幅な環境負荷低減を実現しながら、国内軽油の要求品質に完全適合することで公道走行が可能となっている。

既存の建設機械・車両に改造なしでそのまま使用できるため、導入時の設備投資や機械改修が不要という実用性の高さを備えている。

大成建設では施工時のCO2排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボン・コンストラクション」に取り組んでおり、様々な軽油代替燃料の導入を段階的に進めている。

今回のHVO51%混合製品導入は、この脱炭素施工戦略における重要なマイルストーンとして位置づけられる。

建設現場での実際の運用体制として、工事現場におけるローリー車による巡回給油システムが構築されている。
（「HVO51%混合製品」のダンプトラックへの給油状況）

この巡回給油により、ダンプトラックやクレーンなどの建設機械に対して効率的な燃料供給が実施される。

車両の出入りが多い建設現場でもスムーズに導入できる運用体制により、作業効率を維持しながら脱炭素化を推進する環境が整備されている。

国内軽油の要求品質に適合している軽油代替燃料の中で、このHVO51%混合製品は最も高いCO2排出量削減効果が期待できる製品として評価されている。従来のバイオディーゼル燃料と比較して、より高い混合比率を実現しながら軽油規格への適合を両立させた技術的優位性を持つ。

ユーグレナの「サステオ」ブランドとして展開されるこの次世代バイオ燃料は、2024年12月に軽油規格に適合する公道走行可能な混合比率として最高水準を達成したと発表されている。この技術的背景により、建設現場での実用性と環境性能を両立した燃料として位置づけられる。

大成建設のゼロカーボン・コンストラクション戦略は、工事施工におけるCO2排出量を実質ゼロにする包括的な取り組みである。土木事業と建築事業の両分野で技術実証を継続的に実施し、建設業界全体の脱炭素化推進に貢献する方針を示している。

今回の国内初導入により、建設業界における次世代バイオ燃料の実用化に向けた重要な実証データが蓄積される見込みである。他の建設現場への横展開や、より大規模な導入に向けた技術的知見の獲得により、建設業界の脱炭素化加速に寄与することが期待される。