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デジコン編集部 2025.3.31

鹿島。国道29号で直轄国道初の1車線規制下でUFC道路橋床版取替えに成功

鹿島は国道29号新中島橋の補修工事において、交通を維持したまま幅員方向を分割して超高強度繊維補強コンクリート(UFC)道路橋床版への取替えを実施した。この工法の直轄国道への導入は初めてとなる。

薄型軽量かつ高耐久性を持つUFC床版が道路交通への影響を最小化


国土交通省が推進する「新技術導入促進計画」の「繊維補強コンクリート床版技術」として採択された本工事は、近畿地方整備局姫路河川国道事務所の管轄下で行われた。

この工事では、主要幹線道路である国道29号の交通機能を確保するため、片側交互通行を維持しながら床版取替えが実施された。

UFC道路橋床版は、鹿島と阪神高速道路が共同開発したもので、「サクセム」と呼ばれるUFCで製造されたプレキャスト床版に、橋軸方向と直角方向の2方向にPC鋼材を配置し、高レベルのプレストレスを与えた構造となっている。

使用されたUFCは水結合材比が15%程度、圧縮強度が180N/mm2以上という高い性能を持つ。

この床版は従来の取替用PC床版と比較して、薄型で軽量という大きな特徴を持つ。

薄型設計により床版取替え後の道路面高さ調整が不要となるほか、軽量性によって小型の揚重機での施工が可能となり、狭い場所でも作業がしやすくなる。

また、鋼桁への補強を最小限に抑えられるとともに、橋脚への負荷軽減によって道路橋全体の耐震性向上にも寄与する。


工事は二段階で実施され、一期施工で上り線の床版(一次床版)、二期施工で下り線の床版(二次床版)の取替えが行われた。

特筆すべき技術的な工夫として、一次床版と二次床版の接合部分には、冬期の低温下でも早期に強度が得られる高強度繊維補強セメント系複合材料(VFC)が新たに開発・導入された。

このVFCには水結合材比15%程度、圧縮強度150N/mm2以上という性能があり、給熱養生と組み合わせることで所定の性能を確保し、通行止め期間を最小限に抑えることに成功した。

UFC道路橋床版のもう一つの大きな利点は高い耐久性であり、維持管理性の向上とライフサイクルコストの低減が期待できる。

鹿島は今後、今回の工事で得られた知見を活かし、UFC道路橋床版を用いた幅員方向分割取替え工法の直轄国道への導入拡大を進めていく方針である。





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